吃音をもつ子供の親ができること(再掲載一部改編:初掲載は2011年4月28日)

 いつも書いていますが「どもり」は実に多様です。症状も重さも人それぞれ大きく違います。
 自分のなかで、どもることをどのようにとらえて生きていくのか(いけるのか)。
 また、どもることが結果として人生にどれだけ悪影響を与えるのかも、人ごとに大きく違います。
*「どもり経験が自分にとって結果的に良いことだった」とまで言う人もいますから。

 これもまたいつものように書いていますが、どもりの子供の家庭環境(精神的、経済的)が、その後の人生に大きく影響することも忘れてはいけません。

 どもっている子供がいる家のなかが、たとえば・・・、
★常に夫婦喧嘩をしているような険悪な雰囲気の家庭
★おじいちゃんおばあちゃんと同居している場合に、孫がどもることで嫁を責めたり、聞きかじったとんちんかんな治療法(お灸?)を強制するような雰囲気
★権威主義的な雰囲気に満ちた家庭
★親兄弟がどもりを持つ身内に「どもることくらいで悩んでいるおまえは甘い、世の中にはもっと苦労している人が大勢いる」などと言うような雰囲気
*これをしなければどもりが治るということではありません。でも、学校などの外の世界でさんざん傷ついて帰った家庭がこんなふうでは、うつ病などの心の病気になってしまいます。

 大人になれば人生は自己責任です。誰も守ってくれません。
*思春期以降の年齢の吃音者に対する公的なサポートは事実上ありません。

 そのときになってどもりという「余計なこと」で必要以上の苦労しないように、どもりを持つ子供の親がしてあげられれることと言えば、子供の頃(幼少期~思春期)の環境を良くしてあげることくらいしかありません。
*もちろん、必要に応じて、言語聴覚士や精神科医などに相談したり、学校のことばの教室に通う、(親む含めて)どもりのセルフヘルプグループに参加するなどの工夫も必要です。

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吃音仲間でできること(セルフヘルプグループの原点に戻る):初掲載は2012年5月5日、お互いに信頼できる吃音者が集まってできること:初掲載は2012年5月13日、(どちらもたびたび再掲載)

吃音仲間でできること(セルフヘルプグループの原点に戻る)

 今回は、しばらく書いていなかったどもりに対する直接的な働きかけについて書いてみます。

★「自分がどもること」を、あらためて心と体でしっかりと受け止めること
★「信頼できるどもり仲間」の間で、安心してどもる経験を積んで自己肯定感を高めていくこと
★必要に応じて、ことばの流ちょう性を高める訓練をする、同時にその限界も知る。(どもりの重さや症状によっては、いたずらに流ちょう性を求めないなど、個人差に十分に配慮する)
★いろいろな重さ・症状、環境にある吃音者と語り合い、どもりに対する偏った考え方をなくしていく。
★どもりについての情報を広く社会に発信し、吃音者の本当のこと、本当の苦しみを知ってもらう。同時にネットでの活動の限界も知る。

 これから書くことはサークル的な活動になりますので、運営の仕方が悪いと個人攻撃となってしまうことがあります。十分な注意が必要です。
 どもりを持っていると言っても実に様々です。この「違い」を十分に考えた上での運営が必要です。

●「自分でもほとんど困らないくらいのごく軽いどもりの方」から、「就学・就職などの節目でも大きな影響が出ないくらいの比較的軽い方」、「日常生活や学校生活、仕事に支障が出る方」、そして「どもることにより引きこもりになったり、うつ病などの心の病気になっているなどのきわめて深刻な方」まで実に様々です。
●また、吃音者が生きている環境も様々です。
どもりに対する家族の理解があるかどうか?、職場や学校でも、どもっている自分のことを受け入れてもらっているか?

♥少人数で目的を合わせるとうまくいきやすい。
 最初から本格的な活動を望まないで、やりやすいとことから。
 同じくらいの年齢で、例えば就職、再就職を控えているのになかなか第一歩が踏み出せないというような、同じような境遇にいる人たちで集まるグループ活動がやりやすいでしょう。
 仲間をみつけるには、まずはセルフヘルプグループに参加してみて、そのなかで気の合う仲間をみつけるところからはじめればよいと思います。
 地域の公民館の会議室は低価格で借りられますので活動の拠点にできます。
 いまでは、携帯やスマホで簡単に連絡を取り合えますので、日程や会場の変更にも柔軟に対応できます。

♥皆が苦手な電話の練習は、お互いの携帯にかけるところからはじめて、次第に家族が出ることもあるお互いの家の電話にかけるようにしていきます。相手がいないときは、104の電話番号調べや企業などのお問い合わせ電話にかけるのも良いでしょう。

♥街なかで、買い物で
 仲間で、あらかじめテーマを設定してから街中に出て、歩いている人に道を聞く、デパートやスーパーで店員にいろいろと質問をするなど、日常や仕事のなかで話す環境に近い経験をする。
 その際の注意は、「どもらないようにする」というよりも、上手にどもりながらでも結果的に相手とコミュニケーションをとれることを体験することにより少しずつ自信をつけていく。
 活動が終わってからは、お互いの違いを認めながらざっくばらんに話し合う。

♥サークル感覚で運営し深刻にならないように、
 グループにはバランス感覚に優れた統率力のあるリーダーを置き、個人攻撃的にならないように、ボス的な人が出てこないように注意しながら楽しく行う。

♥サークルのホームページ、ブログなどを作り情報を発信していく。同時に新しい仲間を集めることもできます。

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お互いに信頼できる吃音者が集まってできること

 前回の書き込み「吃音仲間でできること(セルフヘルプグループの原点に戻る)」では、気の合うどもり仲間でできることを書きました。

 いまの日本において、どもりで深く悩んでいる人がその悩みをすべて打ち明けることができ、また共感を持って持って聞いてもらえる人がいるところ。必要に応じて言葉の流ちょう性を確保するために練習したり、または、いたずらに治そうとしないでうまく共存しようとする、などの、試行錯誤ができる環境はセルフグループしかありません。
 しかし、セルフグループも人の集まりですから場合によっては人間関係で苦しむことがあるかもしれません。

 既存のセルフヘルプグループに入ってみて自分には合わないと感じたら、我慢などする必要なありません。余計な苦労をしないように、生きるうえで大切にしたい価値観を共有できる仲間をみつけて自分達なりのセルフヘルプグループを作って活動してください。
*いまではスマホや携帯で互いの連絡が自由に取れるようになったので、既存のどもりセルフヘルプグループにこだわらずに、気の合うどもり仲間を集めて自分達なりの活動ができます。

 さて、私がかつて行っていた方法で書き忘れたものがあります。サイコドラマ(心理劇)です。
サイコドラマというといかにもぎょうぎょうしくて専門的知識が必要に思えるかもしれませんが簡単です。
 例えば、授業中に指名されて本を読まされるとボロボロになってしまうという、ある程度以上の重さの吃音者にはあたりまえのようにある悩み(私もそうでした)
 そのような場合は、安価で借りられる地域の公民館の会議室を借りてサイコドラマをしてみましょう。

 学校ですから教室のように机といすを並べ替えます。
 先生役の人、同級生役の人、そして困っている本人が「教室」に座り先生役の人から指名されて応えたり、本を読まされたりします。
 大きくどもったり、最初の言葉が出てこないで行き詰まった場合には進行を止めて皆で話し合います、「私の場合はこうしたらよかった」、「こう考えていけば楽になるのでは」などと自由に楽しく話し合うのです。

 注意することは、人格円満で公平公正、リーダーシップをとれる人がリーダーとなり、大きな流れをコントロールすることです。
★個人攻撃にならないように
★誰かが一方的なな意見を押しつけることがないように。
★グループ内でボスを作らない。グループ内で先輩も後輩もない、みんな同じ。

 公民館の会議室が教室にもオフィスにも化けるわけです。
終わってからは楽しく打ち上げしながら話し合えば良いと思います。
*やはり、ネット上のバーチャルな集まりばかりではなくて、実際に顔をつきあわせて語り合うことです。互いが十分に分かってきたところで携帯やスマホで連絡を取り合ったり、仲間でグループのWebページなどを作って情報を発信していけば良いのではないでしょうか。

吃音:哲学的な議論はそろそろやめにして・・・(再掲載一部改編:初掲載は2012年6月28日)

 80年代末のことですが、私は大卒後もどもりのために就職できずに(せずに)約2年間引きこもりました。
 その後、民間の無資格どもり矯正所に通い、生まれて初めてどもりについて語り合える友をもつことができ、元気を取り戻しました。
 その後、ハローワークで小さな会社の営業職を見つけて就職することができました。

 その後30歳前後のちょっと自信がついた頃でしょうか、自慢げにいままでの顛末を話していたことを思い出します。
その内容はひと言で言えば、「自分がどもりであることを覚悟を持って、自分なりに受け入れて生きていく」というようなことでした。

 吃音者の会合などで、「どもりを持ちながらもそれなりに生きてきた方の力強い話」を、いまどもりで悩んでいる人が聞くと、会場の雰囲気も影響してかその場では感銘を受けるかもしれませんが、
日常生活のコミュニケーションに影響が出ているような、ある程度以上の重さのどもりを持ちながら現実の毎日を生きている人(特に子供)にとっては、こんな話はかえって酷かもしれません。
*いつも書いていますが、客観的にみて「軽いどもり」に見えても、本人が必要以上に気にして悩んで生活に支障が出ていれば、それは「重いどもり」です。また、どもりの重さは、吃音者を囲む家庭や学校、職場の雰囲気や人間関係でも 大きく変わってきます。

 日常生活に支障が出ているようなある程度より重い吃音者が、自分がどもっていることをそれなりに受け入れられるようになるには、子供の頃からどもりによる耐えがたいような経験を数限りなくして、まさに七転八倒の人生を送りながら、その後にそのような境地になるのがほんとうのところと思うからです。
決して誰かに言われて達する境地ではありません。
*就職できなかった方が就職できたり、引きこもっていた方が学校や会社に通えるようになるなど、「自分でも良い方向に向かってきていると実感できた時」にそんなふうに思える余裕が出てくるのかもしれません。

 学校でも職場でも、どもりが重い場合は日常生活のすべてのシーンで、ある程度以上の重さのどもりを持っていると大きな支障が出てきます。

 そのような過酷な毎日を過ごしている人にとっては、「自分がどもりを持っていることを覚悟を持ってこころから受け入れて生きる」ことなどなかなかできることではありません。
 多くの場合は、生きていくためにどもりと共存していくしかないので、結果的にそうなっているだけです。

「自分がどもっていることを受け入れていく」という考え方は、誰かに言われてできるものではなくて、苦労の末にこころのなかで自発的に出てきてはじめて意味をなすものです。

 ですから、「どもりを受け入れる」とか、「治そうと努力する」など、吃音者が持つ考え方に優劣をつけるのはやめにして、
★吃音者それぞれのどもりの重さや症状の違い、
★生きている環境(主にどもり出した子供の頃から就職くらいまでの家庭の経済的・精神的環境)の違い、
★性格の違い、
★本人のどもり以外の能力(学力、仕事の能力)の違い
などを考えながら・・・、

 ある人はできるだけ軽くなるように努力する、またある人は今のどもっている状態を受け入れながら無理をしないで生きていく・・・などというように、個々のケースごとに現実的な対応をしていけば良いと思います。
*努力したとしても結果的に、就職できずに経済的に困窮する、性格が結果的に暗くなる、学習意欲が落ちたり授業中の発表が怖くて成績不振、電話や会話が怖かったりうまくできず職場での仕事にも支障が出るということも起こりえます。これらは極めて深刻な問題です。

 ですから、吃音者をサポートする側(家族、専門家など)がまずすべきことは、
 できる限り吃音者の今の悩みや直面しているつらい状況をしっかりと見て、語ることばを傾聴することです。夢物語や理屈を語ることではなくて、いま現実にできる援助を確実にすることです。

 その結果として、どもりを持って悩んでいる人に心の余裕が少し出てきて、現実の生活に追われるだけではなくて深い考えを少しずつ持てるようになり、自分のどもりを自分なりに人生のなかで位置づけて頑張っていくことができるようになると思います。

吃音:親を恨むこころは・・・(再掲載一部改編:初掲載は2013年6月20日)

 私は大卒後も就職できずに引きこもってから2年近く過ぎて、20歳代半ばを過ぎてから、なんとか通うことができた民間のどもり矯正所においてはじめて、どもりという同じ悩みを持つ友を持つことができました。
 それまでは、家族にも友達にも話すことのできなかった「どもりの悩み」を、心ゆくまで話し合えるようになったときの開放感は、ことばでは表現できるものではありません。
 自分のこころのなかには、どもりに対する想いがこんなに多く詰まっていたのかと驚いたものです。
 また、こどもの頃からどもりに関する想いを無理やり自分のこころのなかに押し込んできたことが、自分のこころとからだに大きな悪影響を与えてきたことを確信し、これからも影響を与え続けるだろうことを予感しました。

 その中のひとつが、「こどもの頃からこころのなかに押し込んできた想い」
・・・「親に対する根深い恨み」でした。

 どもりの悩みは人それぞれですが、いろいろな吃音者に接するうちに、それなりの割合で「親に対する恨みの感情を持っている人」に会いました。
★こどもの頃、どもることで学校でも笑われたり、からかわれたり、いじめられたりしていたのに、そして、それを親に訴えたのに相手にされなかった
★それどころか、「どもりくらいたいしたことはない、もっと苦労している人はたくさんいる・・・」と説教をされてしまった。

 「家族にすら理解されずに苦しみのなかで生きてきた話し」を仲間から聞きました。
なかには話しながら泣き出してしまう方もいらっしゃいました。
 こどもの頃からいままで、自分のこころのなかだけで持っていて誰にも言えなかった感情が、共感して聞いてくれる人の前で話すことによりあふれ出てしまったのでしょう。

 少し冷静になって背景を考えてみます。
★親はどもりのことが分からない?
 こどもの多くは、自分のどもりを知られたくないので家庭のなかでさえも極力隠そうとします。
特に、言いにくいことばは言わないようにします。会話も最低限のものにします。

 ことばの調子の良いときにだけ話すようにすれば、親からは「だいぶ軽くなったね、良かったね!」などと頭をなでられるかもしれません。

 しかし、これでは親は、自分の子供がどもりで悩んでいることを正確に把握できません。
*学校でいじめられているにもかかわらず、家ではそのそぶりさえ見せないで、ある日突然自殺してしまうことに似ています。

ここで考えなければいけないこと・・・
★世の中にどもりに対する正確な情報がほとんどないし、気軽に相談に行ける公的な専門機関も(ほとんど)ない。

 これが致命的かも知れません。
 せめて、住んでいる市町村のなかに(日常的に気軽に通える範囲に)一カ所でも良いから、吃音に関心を持って取り組んでいる臨床心理士、言語聴覚士などがいる施設があれば、状況はだいぶ変わってくるはずです。
*学校の「言葉の教室」も、その量・質ともに問題が大きいようです。

 親を憎んでいる場合はどうすれば良いか?
★同じどもりを持つ友人(親友)を作り、いままでのことなどを打ち明けることにより、こころの中にある負荷を下げていく。
★どもりのセルフヘルプグループの会合に参加して、いろいろな立場(性別、年齢、育った環境の違いなど)の吃音者に接することにより、自分のどもりや育った環境を客観的に見てみる。
★自分のいまやこれからを充実していくことにより過去にとらわれない(とらわれにくい)ような状況に自分を持っていく。

 なんと言っても、自分のことをこぼせる信頼できる友人を(ひとりで良いので)作ることが第一だと思います。
*なんでも話せるホームドクターとしての精神科医や臨床心理士を持つことも良いことです。

(ある程度より重い)吃音とうつ病の関係(再掲載一部改編:2012年8月28日)

 このブログではどもりの問題を考えていますが、どもることで日常生活や学校生活、職場での様々な不都合が積もり積もって発症することのあると思われる「うつ病」の問題についても考えています。

 今日(2012年現在)の報道では、新卒の大学生の2割強が進路未定者や不安定な非正規雇用であると報じられています。
 背景には、大前提として不況や経済社会構造の大きな変化があるのはもちろんですが、自分の能力を適性に自己評価しないで高望みしているということも大いにあると思います。

 一般のこの状況を考えると、日常のコミュニケーションに支障の出るくらいのどもりを持った若者(大学や高校・専門学校既卒や私のように卒業後数年の引きこもりを経て就職に望む人を含む)が、どのような立場におかれているかは容易に想像がつきます。

 電話がまともにかけられなかったり社内や社外ではきはきと会話ができない(かつての私です)ような人が一般的な企業の就職活動に望むには、最初からかなり絶望的な闘いとなります。

 このようなどもりという現実を抱えながら就職・転職活動に臨んでいる人には経験者としてエールを送るとともに、場合によっては考え方や生き方をを大きく変えて、就社ではなく、「就業」という観点から仕事や人生について見直していく必要があるのではないかとも言いたいのです。

 そして、そういう生き方をしていくには、両親や学校の就職課、ハローワーク、仲の良い友達(親友)などのバックアップが是非とも必要となります。

 これらがない状態である程度以上の重さのどもりを持ちながらひとりぼっちで就職・転職活動をしていくと、こころの負担の大きさにうつ状態そしてうつ病へと進行してしまうこともまれではないでしょう。
*現実にはそれなりの人数の、そういう状態におかれている人がいると思われます。

 そのようにならないようにするためには、吃音者本人、バックアップする側、ともに、「いまの世の中の現実的な動き」を十分に踏まえてプラクティカル(現実的)な対処をする必要があります。

★吃音者本人は、自分を守ることを第一に考える。
 現在の日本におけるどもりを持った人に対する公的サポートは実に貧弱で頼りないものです。特に思春期以降については実質的には公的なサポートはない状況はここ何十年の間全く変わっていません。
 以前、ネット上で質問を受けたどもりで困っている人のために、言語聴覚士の団体に「どもりに詳しい、熱心に取り組んでおられる言語聴覚士や病院を紹介していただけますか?」と聞いたことがありますが答えは返ってきませんでした。
*個人情報や会の規約の関係があるのかもしれませんが・・・

 厳しい言い方ですが、「自分で自分の身を守ること」を覚悟しましょう。

★自分のどもりをバックアップしてくれる人や施設を見極めること。
 自分がどもりで悩んでいることを心から理解してくれる人をひとりでも良いので確保することは大きな安心を与えてくれます。
逆に言えばそうでない人を自分のまわりから排除していくことも必要です。

 こころを守ってくれる手伝いをしてくれる精神科医、言葉の専門家である言語聴覚士もまさに玉石混淆の状態ですが「自分にとっての良い人」をみつけてください。
また、吃音者のセルヘルプグループも有効に活用しましょう。
*子供の場合はたいへんでしょうが、子供の頃から孤独で戦わなければならない場合も多いと思います。

★インターネットという良い道具があります。
 インチキな情報はよく読めば分かるはずです。そんなものには目も触れずに良い情報を真剣に探してこちらからアクティブに接触し活動しましょう。
*セルフヘルプグループの仲間うちで「インチキ情報」について情報を交換し合えば安全性が増します。

人(他人)に説明できない吃音者の想いについて(再掲載一部改編:2015年3月6日)

 第三者が見た場合に同じようなどもりの重さや症状に見えても、吃音者を囲むいろいろな環境(家庭環境、学校の環境、職場の環境)の違いにより、吃音者の心のなか、その想いは大きく違う場合がしばしばで、吃音者の人生に影を落としていきます。

 何を言いたいかというと・・・、
こどもから大人までの吃音者には、なかなか言葉では表現できないような「孤独感」を持っている方が多いのです。
 それは、自分の想いや気持ちを、家族や友人、同僚、恋人、配偶者、ときには同じ吃音者にさえも分かってもらえないことの「焦り」であったり、「あきらめ」、「怒り」もあるかもしれません。

 例えば、「学校の授業中に指名されるかもしれないという恐怖感の質や量」について考えてみても・・・
それぞれの症状・重さの違い、いままでのどもりでの失敗の経験の積み重ねによる違い、
 また、学校のクラスの雰囲気・職場の雰囲気の違いにより、吃音者本人に襲いかかってくる恐怖心の量や質は大きく違ってくるでしょう。

 仕事で、顧客に電話をする、社内電話をしたり、難しい交渉をする、ときも同じようなことが言えます。(民間企業と公務員の違い、会社の規模の違いも影響してきます)

 いまの自分が置かれているどもることによる緊張感や恐怖心を他人と(家族や友人とでも)なかなか共有できないことが、吃音者の孤独につながってきます。

 そして、ときには、心安まるはずの吃音者の集まりでも・・・、
(悪意はないにしても)、誰かの、自分の経験値や思い込みで「こうすれば良い」「こうできるはずだ」などの意見やアドバイスに、心を傷つけられることが往々にしてあり、孤独感を余計に感じてしまうのです。

家族の理解が得られない吃音者の現状(たびたび再掲載一部改編:初掲載は2014年11月5日)

 いまさら言うまでもないことかもしれませんが、どもりで困っている子供から大人までの方々は、その悩みを家族(親・兄弟・祖父母そして配偶者)にさえ理解してもらえずに、悩みながら人生を送っていることが多いのです。
*吃音者の集まりなどでよいとしをした大人が、「子供の頃からのどもりの悩みを、家族にすら、いや、家族だからこそ、理解されずにきたこと」を泣きながら訴える場に何回か遭遇しています。

 なぜ、なかなか理解されないかというと・・・、
★学校の授業ではひどくどもってしまい、先生やクラスメイトに笑われたりいじめられたりしている一方、家族の前ではほとんど話さないか、話しやすいことばのみをを発すればよいので(そうしているので)ごく軽いどもりに見られてしまっている。

★大人の場合、たとえば、お子さんの学校のPTA関係の電話で、自分の名前が言えずに変な人に思われたり、PTAの集まりでも同様で、自分の名前も言えずに笑われたりします。

★職場では、電話で自分の名前や会社名が言えずに(なかなか言えずに)顧客に笑われたり、それらのことで結果として仕事の流れに支障を来たし・・・、顧客から「担当を変えてくれ」といわれることもあり(私も経験者です)、ついには居づらくなりやめざるを得なくなることもあります。

 吃音者は日常的にこのような状況に置かれているのです。
*困っている度合いは、重さや症状の違いによりかなり大きく変わります。

 しかし、「子供の頃からどもることによってどれほど苦労してきたか」を、ほんとうに理解してくれている家族は、まず、いない、というのが本当のところなのではないでしょうか。
 寂しく思われる方もいらっしゃるかもしれませんが現実はそんなものです。
*それでは、日常の何気ない会話でも常に大きくどもるような方は家族の理解を得られているということではありません。しかし、問題の本質がより深刻であることは間違いありません。

 結局、現状では、自分の身は自分で守るしかありません。
*家族から理解されるどころか、「それほど重いどもりでもないのに何を甘えたことを言ってるんだ!」と怒られてしまうくらいなのがよくある光景です。

 それでは、理解を得られないなかで吃音者はどうしたらよいのでしょうか?
 わかってもらえない家族に対してどもりで困っていることを執拗に訴えてみても不毛な応酬が続くだけでかえって自分の心が疲れるだけですし、形だけでも均衡が保たれてきた家庭内の人間関係を悪化させるだけで生産的ではありません。

 そのような場合は、(寂しいことですが)、家族に理解されることを期待しないで発想を転換しましょう。
 たとえば、どもりのセルフヘルプグループに参加して、自分の悩みをわかってくれる人の前で気持ちをはき出せる環境を作ることです。
 それだけでも精神的に大きく救われるでしょう。
 グループのなかで特に気の合う人ができれば、さらに深く語り合うのもよいでしょう。

 また、日常的に気軽にかかれる、なんでも話せる精神科医、臨床心理士、言語聴覚士がみつかればよいことです。
そうすることでなによりも自分が救われるし、結果的に家族との(表面的な関係も)悪化せずにすみます。

 しかし、家庭内、学校、職場で、ことばによる虐待、暴力、パワハラを受けている場合は話が全く違ってきます。
 いろいろな公的・私的機関に相談して(児童相談所、警察など、法テラス、弁護士会など)しかるべき手を打ちましょう。自分を守ってください。

(参考):吃音(になったの)は自分の責任ではないので「スミマセン」はいらない。卑屈にならないで!

吃音:期待と現実

 子供の頃から、ある程度以上の重さのどもりで日常生活や学校生活・仕事において、その人なりの困難さを抱えながら生きている人にとって、「どもり」は仕方なくでも付き合わなければいけない障害です。

 朝起きていちばんの「おはよう」の「お」が出ずに、「今日もうまくいかないな」と感じるときが、今日一日のどもりとの付き合いのはじまりになります。

 また、今日は調子よく言葉が出るな・・・という日もありますが、
 今日は調子が良いがそのうち悪くなるだろうなという予感も感じていました。
*次の日に発表などのどもりそうなイベントがあることがわかっている場合には、前の日からよく眠れずに新しい日を迎えているかもしれません。
*もちろん常に大きくどもる人もいます。どもりは人それぞれです。

 2~3歳からどもりだして小学校2~3年くらいからはどもりを強く意識して、その後悩んできた私は・・・、
あるときは比較的調子の良い自分の言葉を感じ「これならそのうち治るかな?」と期待し、また、数日後には、授業中に指名されて大きくどもってしまったり、言葉がなかなか出ずに立ちんぼしているときには、「これから先、自分はどうなるんだろう!」と大きな不安につぶされそうになり、その繰り返しの少年時代・思春期でした。

 それでも学校は、どもりではクビにはなりません。
*陰湿ないじめに遇えば大変なことになる危険性は常にあります。いじめによる自殺の報道は絶えることがありません。
*子供でもスマホを持ちLINEなどのSNSをあたりまえにしているいま、見えないところでのいじめも多いでしょう。

 しかし、なんといっても、どもり持ちの最大の難関は就職(就業)です。
 他人のなかで、大小様々な組織の中で・・・、自分を主張し、しっかり・はっきりと言葉で伝えて競争のなかで生きていくというサラリーマンではあたりまえなことが、きわめて不得意なのが吃音者なのです。
*高度成長が遠い昔話となったいまの日本では、真面目に・人並みにやっていればなんとかなる、などどという状況ではないことは、皆さんおわかりのことと思います。

 私の生まれる前(高度成長前半の昭和30年代前半くらいまでの)の日本ならば、サラリーマンにならなくても(都市部でも)自分の家の仕事(商店などの自営業)を継いで生きていく方法もありましたが、いまではそういう選択は現実的ではありません。じり貧に追い詰められるだけです。
 また、いまでも、地方で安定した農家に生まれるような幸運なことがあれば、どもりを抱えていても、いままでの人間関係のなかで仕事をして穏やかに生きていくことができると思います。
*しかし、家族のなかで仕事をするという別の意味の息苦しさはあるでしょう。

 いままで書いてきたような吃音者を取り巻く現実をしっかりと見直したうえで、
★どもりだした小さな子供に対する、また、親に対する公的な支援体制(カウンセリング・治療)をどのように構築していくべきか?(市役所・保健所・医師・カウンセラーなど)
★小学校以降のどもりを持ったこどもに対する指導をどのような形で行なっていくべきか(土曜、日曜、休日、放課後を含めた、専門領域を履修した教師、言語聴覚士、精神科医、臨床心理士などによる継続的なサポートの構築と、どもりの子供同士が日常的に触れあえるサロン的な環境の構築)
★事実上公的サポートのなくなる高校生以上の吃音者に対して、進学や就職という難関を前にして、また、今どきのいじめ問題にも対処できるような、公的サポート・カウンセリング体制をどうやって構築していくべきか?

このあたりを考えていくべきと思います。

吃音:(結果として)うまくいくときも、うまくいかないときもある。でも、吃音を持ちながらの人生は耐えがたいことが多い。

 日常生活のコミュニケーションにも影響の出るようなある程度以上の重さのどもりを持った人(子供~大人)、または、傍からみてわからないくらいの軽いどもりでも、自殺を意識するほど(密かに)深刻なまでに悩んでいる場合・・・、
「どもること」を原因として、吃音者は子供の頃から実にいろいろな試練に遇います。

 例えば、学校(場合によっては幼稚園から)や職場で・・・、
 同級生や先生・同僚や上司からの陰湿なからかいやいじめ・パワハラ、
 就職や転職がなかなかできない、
 やっと入った職場での仕事に大きな支障が出る、などです。

 家庭においても、子供の頃から、どもりの悩みを家族に理解してもらえないこともあいまって次第にうつ状態となり・・・、学校や職場を休みがちになりついには引きこもりになることは、決してまれなことではありません。

 また、子供の頃から親にさえどもりの苦しみを理解してもらえなかったことや、それどころか、どもるたびに注意されたり怒られたりしたことから親に対する恨みの感情が芽生えてきて、成人してからもその感情が消えるどころか大きくなり、コントロールすることができずに(自分を責めて)苦しむこともよくあります。
*このブログ宛てに未公開の形で、そのような複雑な想いを送られてくることもあります。

 そのような状況に置かれているときに吃音者である我々が注意しなければいけないことは、
 ひとりでどもりについて考えるときも、セルフヘルプグループなどの集まりで話し合うときなども、「どもりながらも・・・結果的にうまくいった。」というケースのみを話し合ったり参考にしない、考えないことです。

 どもっている人が・・・「何々ができた」、「何かになれた」「何々を達成した」という話ばかりをしない、考えないことです。
*現実は努力してもうまくいかないことも多いのです。

 吃音者ごとに、重さや症状はもちろん、育った環境・いま生きている環境が違います。

 人生に支障が出るようなある程度以上の重さのどもりを持っていてもなんとか生きていけるように、身近に理解してくれる人がひとりでもいてくれる場合もあれば、近くに理解者がいなくて、ひとりで厳しい現実と戦っている場合もあります。
*吃音の実態を調査するのであれば、最低でも数百人、できれば千人規模、それも様々な年齢層、男女、職業も様々の、しっかりとした調査をしてほしいものです。

 どもりは、21世紀初頭の現在でも、原因もわからず、したがって確実な治療法もリハビリ方法もありません。

 どもりながらもうまくいく場合もあれば、うまくいかない場合もあります。「うまくいかないのは努力しないからだ!」などと決めつけないでください。
*現実は(軽い場合を除いて)、「どもったままでも、それを受け入れて生きていける」ほど甘くありませんし、その傾向はますます強まっていくでしょう。そういうアドバイスはかえって現実を生きる吃音者を苦しめることがほとんどでしょう。

 吃音者は100人いればそのどもりは百様です。どもりを持った人のバックグラウンドも百様です。
 悪い方向にも楽観的な方向にも偏った考え方をせずに、現実を踏まえて柔軟に生きていきましょう。

吃音:新年度のはじまりの時期に(再掲載一部改編:2012年4月2日)

 新年度の4月になり少し過ぎました。
 ただでさえ緊張して迎える新年度。
いろいろとつらい立場になったり、精神的に追い詰められているどもりを持った方が多くいらっしゃることと思います。

 私も就職できずに引きこもってしまったこの時期のことを屈辱感とともに鮮明に思い出します。
*この場合のどもりとは、日常生活(家庭内、学校、職場)のコミュニケーションにおいても支障が出るくらいの重さ・症状のどもりを指します。
*傍からは軽く見えても自分の人生に支障が出ていれば、それは重いどもりです。

★どもりの不安を持ったまま進級・進学した(できた)小・中・高校・専門・大学(院)生
★どもりをもちながらも自力でなんとか就職(就業)した(できた)新社会人
★コネをつかってでも、なんとか就職した(できた)新社会人
★結局どもりで就職できなかった(しなかった)人
★いろいろあった末に、結果として引きこもりか、引きこもりに近い状態や不登校、出社できない状態に陥っている人(小・中・高校・大学生、社会人、他)
★どもりを原因としていままでの仕事をやめることとなり失業中の人

 実にいろいろな立場に分かれてきます。
 さらには、経済的環境が恵まれているかどうか?、家族がどもりの苦しみに理解があるかどうか?によっても大きく変わって来ます。
 もちろん、どもりの重さの違いということは決定的に大きな要因です。

 事態が深刻な方ほど、孤独にならないことが重要です。
 家族、友人などにどもりで悩んでいることを隠さず話せることができれば良いのですが、そういう人がいない場合には、精神科医、臨床心理士などの心の専門家にかかって話を聞いてもらいましょう。
それだけでもだいぶ楽になりますし、もしもうつ的な症状が出ていれば投薬もしてもらえます。
*精神・神経科の病院にかかるコツは、個人病院よりも先生が複数いる中規模以上の病院が良いです。
*NHKが運営しているサイト「うつサポート情報室」がいろいろと参考になります。病院が見つからない場合は、全国の精神保健福祉センターに相談すれば良いのではと思います。

 すこし落ち着いたら、どもりのセルフヘルプグループの門たたき同じ悩みを持つ仲間を見つけて語り合いましょう。
そのなかで特に気の合う人を見つけて一緒に頑張ることもできます。

 心を落ち着かせてから、次のステップの進めば良いのです。どうか、腐らずに、少しずつ頑張ってください。
 日本中に、まだ見ぬ同じ悩みを持った仲間がいます。
それぞれにもがき苦しみながらも今日を生き抜こうとしています。