どもりを持った人のいまの時期(入学・進級・就職の時期)その2

 どもりを持った人、それもある程度以上の重さのどもりをもっている場合は、新学期、入学、入社、転職後に大きな困難が伴います。
*いつも書いていることですが、どもりの重さとは、傍から見てどもっているその重さだけではありません。傍から見てほとんどどもっていないか、むしろ饒舌に見えても、名前などの特定のことばを言うときに突然、おおどもりになる場合もあり、それで仕事や学業に自分として支障がでていて自殺を考えている場合もあります。

 もっとも、それ以前に、どもりを原因として、それら(入学・進級、就職・転職)がうまくできずに、どうして良いかわからない状態(でも家族からは非難されている)か、引きこもり(がち)になっている方もそれなりの数いらっしゃると思います。私もそういう経験があります。

 ここでのキーワードが、「いまの自分に合った環境なのかどうか?」ということです。
入ったのが名門の学校か、有名会社かということではないのです。
 いまの自分のしゃべりのレベル(流暢性)が、いまの学校や職場で必要とされているそれに合っているかどうかということなのです。

 向上心のある方ほど無理をします。また、前向きな生き方を提案している文章や他のひとの考え方に影響されて、がんばればなんとかなり道が開けると考えてがんばってしまうと、無理がたたってこころが疲弊してしまい、気がついたときにはこころの病気になり追い詰められているということはよくあることです。

 どもりは言語の障害であり、原因が不明、治療法も確立されていません。

 せめて、ことばの問題の国家資格者である「言語聴覚士」、それも子供から大人までのどもりに幅広い知識と臨床経験を持つ方がいて、吃音者が住む街で日常的に通える範囲で開業しいるか、その地域の総合病院にて気軽にかかれる吃音外来をしているような状況であれば相談できるのですが、そういう状況ではありません。

 そういう前提のもとで我々ができることは、21世紀の2024年現在でも・・・私が80年代末から90年代初め頃にしていたのと同じように、
 どもりのセルフヘルプグループに参加して、いままでは誰にも打ち明けられなかったどもりの悩みを分かち合って、疲れ切ったこころをほぐし、
必要に応じて仲間内での様々な工夫で流暢性を確保する、
このような、何十年も前の過去から行われてきた「苦しまぎれの民間療法」をすることくらいです。

参考:
「吃音者が本来希望する仕事に就くために、ことばの流暢性を高める工夫をすることと、努力しても希望通りにいかないときに諦めて別の生き方見つけること(プラクティカルな見地から) その1からその4 まで」

「真面目で向上心のある吃音者がむしろ追い込まれる」

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