吃音を原因として引きこもっている方へ(再掲載一部改編:2012年6月19日)

 吃音者で、どもりを原因として引きこもっている方はかなりの数いらっしゃるのではないかと思います。(私もそのひとりでした)
*引きこもりの人数すら把握できていないのに、どもりで引きこもっている方の人数は分かるはずがありません。

 引きこもりといっても実にいろいろな原因で(多くは複合的な原因からでしょう)始まっていて、部屋のなかに籠城して一歩も外に出ないというハードなものから、部屋を生活の拠点として食事時はリビングで、近所に買い物くらいには出かけるというソフトなものまでいろいろあると思います。
*働き方改革がいわれていますが、(どもりでなくても)仕事上の様々な問題を原因として次第に休みがちになり、ついには会社に足が向かなくなるという社会人の方もかなりの数いらっしゃります(身内にもおります)

 ここではどもりを原因として、
★学校に行けなくなっている引きこもり
★会社に行けなくなっている(就職活動ができなくなっている)引きこもり
 について考えます。

 どちらも原因ははっきりしています。「どもり」ですね。
 しかし、どもりを原因として始まった引きこもりも時間の経過とともにどもり以外の他の問題もいろいろと出てきてしまい、それらが複雑に絡み合って引きこもりを長期化させたり、さらに深刻なものになってしまいます。

 例えば
★引きこもりが長引くことにより同居の家族との軋轢が絶えず起きるようになる。
 唯一のくつろげる場である家庭ですら居づらくなってくるが、他に行くところもなく、結果として自分の部屋から出てこないようなハードな引きこもりに移行してしまう心配。

★長期間引きこもることによりキャリアに空白ができて就職がさらに不利になる。
 勇気を出して就職活動をはじめてみても、キャリアの空白を指摘されて余計自信をなくしてしまい、就職(活動)を続ける気力をなくしてしまう。

 それでは吃音を原因とした引きこもりから抜け出すにはどうしたら良いのでしょうか?
 いちばんの原因がどもりですから、「どもりそのものにどのように取組んでいくか?」を考えます。
 そして、「付随して出てきている問題(前述した問題、家庭内の人間関係の悪化など)をどのように解決していくか?」も考える必要があります。

 何よりもまず、(思春期くらいまでの子供の場合は特に)家族の側から、
「いままでどもりで苦労して大変だったね。なのに、きちんと分かってあげられなかった、分かる努力をしなかった」と丁寧にあやまることが必要でしょう。
 このときに、「これくらいの問題で悩んでいるとは甘すぎる」などと言ってしまっては最悪の結果となります。(これが多いのです)

 そして家族で冷静に話せるような状況になってきたら、
どもりの悩みを軽くするために、例えば、精神科医にかかる、言語聴覚士を探す、近くのどもりのセルフヘルプグループを探して参加してみるという動きが良いと思います。

 その際に必要なことは、家族だけで解決しようとせずに必ず第三者を介入させることです。
 精神科医などの専門家、信頼できる親戚(あまりいないかな?)、吃音を持っている本人に信頼できる友人がいれば?その人などが良いですね。

 ものごとは急には動きません。何週間、何ヶ月くらいの単位でゆっくりと取組むつもりでいると良いと思います。

 そして、あまり焦らずにいろいろなことに対処していきましょう!

★例えば学校でどもりによるいじめを受けているか、受けていなくても通うのがどうしようもなく苦しい場合は、いまの学校は辞めて他の施設に移るのが良いのか?など冷静に考えます。

★卒業後ならば、いきなり就職は無理だったら、専門学校に通ってみる、ボランティア活動で感謝される体験をする、簡単なアルバイトをする・・・などと、誰かと交われる環境を作ったり、少しずつでも自信をつけていけるような環境を作って、徐々に階段を上るように進めていくのも良いと思います。

 

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2018年:吃音(者)の現状は

 お正月も松の内が明けたところでインフルエンザになってしまい、ここ数日でやっと元気を(ほぼ)取り戻したところです。

 さて、毎年、年頭に書いている吃音者を取り囲む現状についてですが、2018年になったと言っても、日々の生活のなかでは何かが変わる(と感じられる)ところはないでしょう。

 ただ、中長期的に考えれば・・・、
 労働環境(職場環境)は、AI化の進展ににつれて大きく変わっていくでしょうし、
 学校では、むしろ話すことの教育が強化される方向で、英語教育の低年齢化、プレゼンテーション能力の向上に向けた「話す力」「説明する力(説得する力)」の強化が行なわれていくために、人前で話す(うまく話す)ことの重要性がますます叫ばれていくと思います。

 しかし、そういう今後の展開に向けた「吃音者自身の心の準備」や「応援する側のックアップ体勢」は、全くと言って良いほどできていないと思います。
もはや「どもっても良い!」などということばをかけてみても、現実を生きる吃音者を追い込んでいくことにしかならないでしょう。

 吃音者それぞれのどもりの症状や家庭環境・学校環境に応じたバックアップ体制をどうするか?
 学校の先生・臨床心理士・言語聴覚士・ソーシャルワーカーなど様々な専門家の協働作業のもとに、吃音者が現実の人生において破滅的な失敗や立ち直れないような苦労をしないためにしっかりとした体勢を組む必要があります。
(学校の担任の先生と各種専門家の協働作業、どもりの症状や重さを踏まえたうえでの将来を見据えた現実的な進路指導や職業教育、家庭内に問題がある場合は家族へのカウンセリング、など)

 

吃音:哲学的な議論はそろそろやめにして・・・(再掲載一部改編:初掲載は2012年6月28日)

 80年代末のことですが、私は大卒後もどもりのために就職できずに(せずに)約2年間引きこもりました。
*せずに、としたのは、ことばを使わないかほとんど使わない仕事ならできたはずですがしませんでした。

 その後、民間の無資格どもり矯正所に通いだして、そこで生まれて初めてどもりについて語り合える友をもつことができ、元気を取り戻しました。
 そして、その後、ハローワークに通い出し小さな会社の営業職を見つけて就職することができました。

 その後30歳前後のちょっと自信がついた頃でしょうか、自慢げにいままでの顛末を話していたことを思い出します。
その内容はひと言で言えば、「自分がどもりであることを覚悟を持って、自分なりに受け入れて生きていく」というようなことでした。

 吃音者の会合などで、いままさに悩んでいる人の前で、どもりを持ちながらもそれなりに生きてきた方が「力強い話」をすると、会場の雰囲気も影響してかその場では感銘を受けるかもしれませんが、
日常の簡単なコミュニケーションにも影響が出ているような、ある程度以上の重さのどもりを持ちながら現実の毎日を生きている人(特に子供)にとってはこんな話はかえって酷かもしれません。
*いつも書いていますが、客観的にみて「軽いどもり」に見えても、本人が気にして悩んで生活に支障が出ていれば、それは「重いどもり」です。また、どもりの重さは、吃音者を囲む家庭や学校、職場の雰囲気や人間関係でも 大きく変わってきます。

 日常生活に支障が出ているようなある程度より重い吃音者が、自分がどもっていることをそれなりに受け入れられるようになるには、子供の頃からどもりによる耐えがたいような経験を数限りなくしてまさに七転八倒の人生を送りながら、その後にそのような境地になるのがほんとうのところと思うからです。
 決して誰かに言われて達する境地ではありません。
*就職できなかった方が就職できたり、引きこもっていた方が学校や会社に通えるようになるなど、「自分でも良い方向に向かってきていると実感できた時」にそんなふうに思える余裕が出てくるのかもしれません。

 学校でも職場でも、(どもりが重い場合は日常生活のすべてのシーンで)、ある程度以上の重さのどもりを持っていると生活に支障が出てきます。
 そのような過酷な毎日を過ごしている人にとっては、「自分がどもりを持っていることを覚悟を持ってこころから受け入れて生きる」ことなどなかなかできることではありません。

 多くの場合は、生きていくためにどもりと共存していくしかないので、結果的にそうなっているだけです。
「自分がどもっていることを受け入れていく」という考え方は、誰かに言われてできるものではなくて、苦労の末にこころのなかで自発的に出てきてはじめて意味をなすものでしょう。

 ですから、「どもりを受け入れる」とか「治そうと努力する」などいろいろな考え方に対して優劣をつけるのはやめにして、
★吃音者それぞれのどもりの重さや症状の違い
★生きている環境(どもり出した子供の頃から就職くらいまでの家庭の経済的・精神的環境、いま生きている学校環境、職場環境、家庭環境)の違い
★本人の性格の違い
★本人のどもり以外の能力(学力、仕事の能力)の違い
などを考えながら・・・、

★できるだけ症状が軽くなるように(セルフヘルプグループの仲間などとことばの練習をしたり
★精神科医などのこころの専門家のバックアップを受けながらメンタル面の管理をする
★いまの比較的良いことばの状態が続くように(仲間と)ことばの練習したり、

また
★今のどもっている状態を受け入れながら無理をしないで生きていく・・・

 などというように、個々のケースごとに現実的な対応をしていけば良いと思います。
*努力したとしても結果的にうまくいかず、就職できずに経済的に困窮する、苦労や心配から結果的に性格が暗くなる、学習意欲が落ちたり授業中の発表が怖くて成績不振に陥る、電話や会話が怖かったりうまくできずに職場での仕事にも大きな支障が出てやめることになる、ということも起こりえます。
これらは極めて深刻な問題です。

 ですから、吃音者をサポートする側(家族、専門家など)がまずすべきことは、
 できる限り吃音者の今の悩みや直面しているつらい状況をしっかりと見て、吃音者の語ることばを傾聴することです。
 夢物語や理屈を語ることではなくて、いま現実にできる援助を確実にすることです。

 その結果として、どもりを持って悩んでいる人に心の余裕が少し出てきて、現実の生活に追われるだけではなくて深い考えを少しずつ持てるようになり、自分のどもりを自分なりに人生のなかで位置づけて生きていくことができるようになると思います。

 

吃音者と孤独(再掲載一部改編:初掲載は2007年7月1日)

 どもりを持つ人がその悩みを抱えたまま孤独に陥るのは危険なことです。
 その「孤独」というのは、表面的なもの(スマホや携帯に入っているアドレスや電話番号の数が少ないということ)でなくて、本音を語れる親友がひとりもいないことです。
*親友はひとりいればよいのです。
*父親や母親を含む家族にすら、どもりの苦しみを理解してもらえないことはむしろあたりまえのことだと思った方が良いでしょう。

 と言っても、どもりの悩み打ち明けて傾聴してくれるような友人を作ることは簡単ではありません。
 友人を作るための第一歩として、どもりを持つ人の集まりである「どもりのセルフヘルプグループ」に参加してみるのはひとつの有力な方法です。

 

吃音者が「普通に生きる」という呪縛から開放されることについて(再掲載一部改編:初掲載は2007年4月6日)

 今回は、軽いどもりの話ではありません。
*ここでいう「軽いどもり」とは、「言い換えで対応すればなんとかなる」、「学校や職場で笑われたり、また、いじめの原因になるようなレベルではない。職場で仕事の進行に影響を及ぼすようなどもり方(結果として職場に居づらくなる)ではない」というレベルのどもりをさしています。しかし、こんな状況でも、こころのなかは常に崖っぷちで「自殺したい」という思いがあったり、うつ病などの心の病気になってしまうまで追い込まれている場合もあります。このような場合はもちろん重いどもりです。

 吃音者は、一生懸命にどもらない人に近づこうとします。
あたりまえです。どもりは実に不便な障害ですから。そして、とてもかっこ悪い!

 たとえば電話をかけるとき。
 こちらがしどろもどろのひとり芝居を続けている間、電話の相手がふきだしているのが(またはそれを我慢しているのが)受話器から聞こえる 。
*それでも、用件が済ませれば良いほうです。

 授業中に指名されても・・・、(ほんとうは読めない漢字もないし、わからない単語もないし、数式の意味もわかっているのに)、最初の言葉が出てこない(のがわかっている)ので、または大きくどもって笑われたり、いじめられるのがいやなので・・・、「わかりません」で済ませてしまう。
*「わかりません」という言葉も出てこない。

 でも、このようなどもりのことばかりとらわれて、「なんとか普通になりたい、どもらない人のように普通のしゃべりたい」ということばかり考えていると、ますます、しゃべる前の不安(予期不安)が増大してきます。

 このような人生を続けていると、うつ病などの心の病気になる可能性が大きくなることは専門家でなくてもわかります。
*現実には、残念ながら、こんな状況に陥っている方が大勢いらっしゃるはずです。

 こんな方ほど、「どもらずに普通に生きる「どもりが治れば、治りさえすれば」)という考えの呪縛から開放されないと本当に大変なことになってしまいます。
*悪いことに、我慢強く努力家の方ほど、結果的にぎりぎりまで追い詰められてしまいがちです。

 まわりにいる人たちも、「もう、そんなにがんばらなくていいんだよ!」と言ってあげてほしいですし、
それよりも。そこまで追い詰められる前に・・・、日常的に相談できるホームドクター的な精神科医を見つけ出してこころの危機管理をしてもらいましょう。

 ドクターはどもりについての深い知識はありませんが(治せませんが)、どもることで自分がどんなふうにこころの危機にあるかを訴えれば(どもって言えない場合は書いて渡せば良い)ドクターの専門領域から様々な援助をしてくれるはずです。

 また、どもりのセルフヘルプグループに参加して、様々な立場(家庭環境・年齢・職業・男女)の吃音者に接して、自分を(自分のどもりを)俯瞰できるようにしていけば良いと思いますし、なによりも同じ悩みを持つ友人を持てることは人生の宝となるでしょう。
*もしも、学校でいじめを受けている場合には、そして信頼できる相談相手がいない場合には、迷わず警察に相談しましょう。電話ができなかったら直接行っても良いと思います。絶対に我慢しないでください。

 

吃音をもつ子供の親ができること(再掲載一部改編:初掲載は2011年4月28日)

 いつも書いていることですが、「どもり」は実に多様です。症状も重さも人それぞれで大きく違います。

 自分のなかで、「どもること」をどのようにとらえて生きていくのか(いけるのか)。
どもることが結果として人生にどれだけ悪影響を与えるのかも、人ごとに(症状や重さごとに)大きく違ってきます。
*「どもり経験が自分にとって結果的に良いことだった」とまで言う人もいますから。

 これもまたいつも書いていますが、どもりの子供の家庭環境(精神的、経済的)が、その後の人生に大きく影響することも忘れてはいけません。

 どもっている子供の家庭が良くなければ「良い方向」に進みません。
・・・でも、こんな家庭が多いのです。

★常に夫婦喧嘩をしているような険悪な雰囲気の家庭
→どもりだけでも相当に参っているのに、こどもに余計なプレッシャーを与える

★おじいちゃんおばあちゃんと同居している場合に、孫がどもることで嫁を責めたり、聞きかじったとんちんかんな治療法(お灸?)を強制するような雰囲気

★権威主義的な雰囲気に満ちた家庭

★親兄弟がどもりを持つ身内に、「どもることくらいで悩んでいるおまえは甘い、世の中にはもっと苦労している人が大勢いる」などと言うような雰囲気、または身内の障害であるどもりに全く無関心。

*これをしなければどもりが治るということではありません。でも、学校などの外の世界でさんざん傷ついて帰った家庭がこんなふうでは、ついには心の病気になってしまいます。

 子供の頃と違って大人になれば人生は自己責任です。誰も守ってくれません。
*どもりの問題がさらに深刻になる思春期以降の吃音者に対する公的なサポートは事実上ありません。

 そのときになってどもりという「余計なこと」で必要以上の苦労しないように、どもりを持つ子供の親がしてあげられれることと言えば、子供の頃(幼少期~思春期)の環境を良くしてあげることくらいしかありません。

*もちろん、必要に応じて言語聴覚士や精神科医などに相談したり、学校のことばの教室に通う、学校でいじめを受けていないかチェックする、どもりのセルフヘルプグループに参加するなどの工夫も必要です。

 

吃音の苦労によりかたくなになりすぎたこころをほぐして生きやすくしていくこと(再掲載一部改編:初掲載は2013年11月7日)

 人はどもりによる耐えがたい苦労を経験すれば経験するほど、自分(のこころ)を守るために、そのこころをかたくなに閉ざしていくことがあります。
結果として、意に反したような生き方(職業の選び方、友人関係の結び方)をすることもあります。
*吃音者の集まりで和やかに話していた方が、自分のことになると突然ことばが少なくなることがあります。

 自分では、不自然な(無理な)考え方・生き方と、こころのどこかではわかっていても・・・そのように思い、そのような生き方をしようとすることにより、自分のこころがどもりによる苦労のために崩れてしまうのをギリギリのところで防いでいるのかもしれません。

 その形は人により様々です。

★「私はこういう生き方なんだ」と、どう考えても無理な(無茶な)生き方(考え方)をしようとしている方

★「私はこれでいいんだ」と、いまの不自然な生き方(ライフスタイル)を(端から見ると)無理に肯定してそこに逃げ込んでいる方

 ほんとうは良くない考え方、無理な考え方・生き方とわかっていても、そうせざるを得ないところまでこころが追い込まれているのです。

 どちらの場合も、一時的にはこころの平衡が保たれているかのような錯覚に陥りますが、中・長期的にはさらに追い込まれてしまいます。

 こんなことにならないように・・・、

★どもりのセルフヘルプグループ等に参加して、いろいろな症状や重さのどもりを持ち、いろいろな環境で生きている様々な年齢層や立場の異なる吃音者と接して、自分(のどどもり)を客観視できるようにすることです。
そして、そこで、何でも話せる友人を(ひとりで良いので)作りましょう。

★ホームドクターとしての精神科医・臨床心理士を見つける
ぴたりと自分に合った先生を見つけるのは難しいですが、先生に頼り切るというよりも、「自分を客観視できるように」第三者的な目を提供してもらうのに役立ちます。

★これはいちばん難しかもしれませんが、家族にも最低限の理解をしてもらえるように働きかけていきます。(しかし家族には大きな期待はしないことです。)

吃音仲間でできること(セルフヘルプグループの原点に戻る):初掲載は2012年5月5日、お互いに信頼できる吃音者が集まってできること:初掲載は2012年5月13日、(どちらもたびたび再掲載)

吃音仲間でできること(セルフヘルプグループの原点に戻る)

今回は、しばらく書いていなかったどもりに対する直接的な働きかけについて書いてみます。

★「自分がどもること」をあらためて心と体でしっかりと受け止めること

★「信頼できるどもり仲間」の間で、安心してどもる経験を積んで自己肯定感を高めていくこと

★必要に応じてことばの流ちょう性を高める訓練をする、同時にその限界も知る。(どもりの重さや症状によっては、いたずらに流ちょう性を求めないなど、個人差に十分に配慮する)

★様々な症状・重さ、環境にある吃音者と広く語り合い、どもりに対する偏った考え方をなくしていく

★どもりについての情報を広く社会に発信し、吃音者の本当のこと、本当の苦しみを知ってもらう。同時にネットでの活動の限界も知る。

 これから書くことはサークル的な活動になりますので、運営の仕方が悪いと個人攻撃となってしまうことがあります。十分な注意が必要です。
*どもりを持っていると言っても実に様々です。この「違い」を十分に考えた上での運営が必要です。

●「自分でもほとんど困らないくらいのごく軽いどもりの方」から、「就学・就職などの節目では、どもりのために大きな影響が出ないくらいの比較的軽い方」、「日常生活や学校生活、仕事に直接の支障が出る方」、そして「どもることにより引きこもりになったり、うつ病などの心の病気になっているなどのきわめて深刻な方」まで実に様々です。

●また、吃音者が生きている環境も様々です。
どもりに対する家族の理解があるかどうか?、職場や学校でも、どもっている自分のことを受け入れてもらっているか?

♥少人数で目的を合わせるとうまくいきやすい。
 最初から本格的な活動を望まないで、やりやすいとことから始めます。
同じくらいの年齢で、例えば就職、再就職を控えているのになかなか第一歩が踏み出せないというような、似た境遇にいる人たちで集まると活動がやりやすいでしょう。
仲間をみつけるには、まずはセルフヘルプグループに参加してみて、そのなかで気の合う仲間をみつけるよいと思います。
地域の公民館の会議室などは低価格で借りられますので活動の拠点にできます。
いまでは、携帯やスマホで簡単に連絡を取り合えますので、日程や会場の変更にも柔軟に対応できます。

♥皆が苦手な電話の練習は、お互いの携帯にかけるところからはじめて、次第に家族が出ることもあるお 互いの家の電話にかけるなど工夫していきます。相手がいないときは、104の電話番号調べや企業などのお問い合わせ電話にかけるのも良いと思います。

♥街のなかで、買い物で
 仲間で、あらかじめテーマを設定してから街なかに出て、歩いている人に道を聞く、デパートやスーパーで店員にいろいろと質問をするなど、日常で話す環境に近い経験をする。
その際の注意は、「どもらないようにする」というよりも、上手にどもりながらでも結果的に相手とコミュニケーションをとれることを体験することにより少しずつ自信をつけていく。自分がどもることにより聞き手がとるリアクション(笑うことなど)に慣れる。
活動が終わってからは、お互いの違いを認めながらざっくばらんに話し合う。

♥サークル感覚で運営し深刻にならないように、
 グループにはバランス感覚に優れた統率力のあるリーダーを置き、個人攻撃的にならないように、ボス的な人が出てこないように注意しながら楽しく行う。

♥サークルのホームページ、ブログなどを作り情報を発信していく。同時に新しい仲間を集めることもできます。

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お互いに信頼できる吃音者が集まってできること

 前回の書き込み「吃音仲間でできること(セルフヘルプグループの原点に戻る)」では、気の合うどもり仲間でできることを書きました。

 いまの日本において、どもりで深く悩んでいる人がその悩みをすべて打ち明けることができ、また共感を持って持って聞いてもらえる人がいるところ。必要に応じて言葉の流ちょう性を確保するために練習したり、または、いたずらに治そうとしないでうまく共存しようとする、などの、試行錯誤ができる環境はセルフグループしかありません。
 しかし、セルフグループも人の集まりですから場合によっては人間関係で苦しむことがあるかもしれません。

 既存のセルフヘルプグループに入ってみて自分には合わないと感じたら、我慢などする必要なありません。余計な苦労をしないように、生きるうえで大切にしたい価値観を共有できる仲間をみつけて自分達なりのセルフヘルプグループを作って活動してください。
*いまではスマホや携帯で互いの連絡が自由に取れるようになったので、既存のどもりセルフヘルプグループにこだわらずに、気の合うどもり仲間を集めて自分達なりの活動ができます。

 さて、私がかつて行っていた方法で書き忘れたものがあります。サイコドラマ(心理劇)です。
 サイコドラマというといかにもぎょうぎょうしくて専門的知識が必要に思えるかもしれませんが簡単です。
 例えば、授業中に指名されて本を読まされるとボロボロになってしまうという、ある程度以上の重さの吃音者にはあたりまえのようにある悩み(私もそうでした)
そのような場合は、安価で借りられる地域の公民館の会議室を借りてサイコドラマをしてみましょう。

 学校ですから教室のように机といすを並べ替えます。
 先生役の人、同級生役の人、そして困っている本人が「教室」に座り先生役の人から指名されて応えたり、本を読まされたりします。
 大きくどもったり、最初の言葉が出てこないで行き詰まった場合には進行を止めて皆で話し合います、「私の場合はこうしたらよかった」、「こう考えていけば楽になるのでは」などと自由に楽しく話し合うのです。

 注意することは、人格円満で公平公正、リーダーシップをとれる人がリーダーとなり、大きな流れをコントロールすることです。
★個人攻撃にならないように
★誰かが一方的なな意見を押しつけることがないように。
★グループ内でボスを作らない。グループ内で先輩も後輩もない、みんな同じ。

 公民館の会議室が教室にもオフィスにも化けるわけです。
終わってからは楽しく打ち上げしながら話し合えば良いと思います。
*やはり、ネット上のバーチャルな集まりばかりではなくて、実際に顔をつきあわせて語り合うことです。互いが十分に分かってきたところで携帯やスマホで連絡を取り合ったり、仲間でグループのWebページなどを作って情報を発信していけば良いのではないでしょうか。

 

吃音者が抱える厳しい現実のなかで、どもりについてフランクに話し合える場を持つこと

 吃音者がどもりを抱えながらの毎日は(たとえ傍から見てごく軽く言える場合でも)どもりでない人にはとうてい理解できないような「こころの重圧」を抱えている場合が多いのです。

 さらに、どもりに起因する生活上の問題(家庭内・学校・職場でのコミュニケーションがうまくできないことにより起こるいろいろな不都合)が大きい場合には、生きていく力を失わせるほどの(自殺を考えてしまうような)インパクトを持つ場合があります。

★家庭のなかで、日常的に、言いたいことばが出てこないでことばにするのをやめてしまう。(子供の頃からこの状態が続くとかなりのストレスとなる)
★家庭のなかでかかってきた電話に出ることができない。(家族の前でどもるところを見せたくない)
電話をとっても最初のことば(自分の名字)がなかなか出てこないか、出てきてもどもり特有の繰り返しになる(すすすずきでです)。受けること以上に、自分から電話を(特に家族の前で)かけることができない。
★買い物の際店員さんに自分の名前を言えないので予約を伴うような買い物ができない(レストラン・美容院・マッサージなどの電話予約なども)
★学校や職場での自己紹介の際に、最初に言うべき自分の名前が言えないか、なかなか出てこないで笑われたり、いじめられたり、仕事(職場)の場合は、顧客から上司にクレームが入り担当の変更を要請される。
★学校で先生に指名されても(答えはわかっていても)ことばが出ないので「わかりません」といってしまうか(それすら出ないことも)、テキストの朗読で指名されてもことばが出てこないかしどろもどろになってしまう。(当然、笑われる、クラスメイトや先生からの陰湿ないじめにもつながってくる)
★職場では、かかってきた電話に出ても冒頭に言うべき自社の社名が言えない。当然仕事にも影響が出る。このような状態が続くとさらに追い込まれて職場に居づらくなりやめてしまう。
自分からかける電話が特にどもってしまうので、社内では顧客に対するアポイントなどの電話ができなくなり、外出後に公園のベンチなどでかけるようになる(それでもどもってしどろもどろになってしまう)
★自己紹介はもちろん電話もうまくできないので、就職活動がまともにできない(なかなか踏み切れない)
★能力的には充分あるのだが、どもりのためにあえてしゃべらないで良いか、話すことが最小限で良い職種に就いた(やっとつけた)。
*小学生は小学生なりの、失業中・求職中の人、社会人(仕事に就いている人)も、その人なり(どもりの重さ・症状の違い、家庭の経済的な環境、家族の理解度の違い)の問題を抱えます。

 一方、吃音者の周りにいる家族や、友人、学校の同級生や職場の同僚は、吃音者本人がそれほどの苦しい想いを持ちながらギリギリの状態で生きていることが理解できません。(想像できません)
 どもることを原因として、しだいに学校や職場を休みがちになる。ついには引きこもりになる。
 学校を卒業しても(なかなか)就職できない、入った会社を辞めてしまってもなかなか転職できない(しない)ことに対して、ついつい厳しいことばをかけてしまうことがあり、結果として吃音者のこころをさらに追い詰めて(自殺すら考えるようなことに)なりがちです。

 このようななかで、吃音者はどのようにすれば良いのでしょうか?
*どもりはその原因が医学的にわかっていませんので(この先も当分はわからないでしょう)確実な治療法やリハビリテーション方法はありません。(したがって長い間、民間の無資格どもり矯正所「のようなもの」が続いてきたのです。)

★「どもりによる様々な生きづらさ」を語り合える環境(友人・グループ・時間)を持つ。
*必要に応じて、生きていくためのそれぞれの状況に応じたことばのスキルを持ったり維持するために、仲間同志で工夫して言語訓練やメンタルトレーニングをする)

 吃音者はどもりのことについてフランクに話し合える友人を持つことが(なかなか)できません。
 なぜならば、自分のどもりについて家族にすら話せないか(ほとんどはそうです)、話したが相手にされなかったりわかってもらえないという経験を子供の頃から繰り返しているからです。
*学校の同級生に吃音者がいない場合は、探すことすらできないこともあるでしょう。
*私も大卒後に、就職できずに引きこもった後に通った民間のどもり矯正所ではじめて、どもりについてまともに話し合える友を得ました。

 なかなかどもりという問題を共有できる友人を得ることができない。
 そこで、考えられるのが・・・、どもりのセルフヘルプグループに参加して、どもりについて遠慮なく話し合える友人を見つけることです。
*そのセルフヘルプグループになかなか参加できない(決心できない)のが吃音者の気持ちでもあります。

 セルフヘルプグループに参加するようになったら、どもりを持ついろいろな立場の人(年齢の違い、男女の違い、家庭環境の違いなど)の意見をよく聞きましょう。
 その後、セルフヘルプグループの中で、「話しができる人」、「自分の考えに近い人」、「攻撃的でない人(不用意にことばで人を傷つけない)」を探し出し、その人と友人になれば良いと思います。
仲間同志でいろいろと活動もできると思います。

吃音:2017年の現状(再掲載一部改編:初掲載は2014年9月30日、原題は、2014年の現状)

 どもり、それも日常生活で普通に交わすコミュニケーションや、学校生活、仕事などに、明らかな支障が出るようなどもりが続いている場合は、あたりまえですが「治したい」「できるだけ軽くしたい」と思います。
*どもりでない他者からみて「どもり」とわからないくらいの軽いものでも、本人がそれを気にして人生に大きな支障が出ていると思えば、それは「重いどもり」です。その軽く見える吃音者は自殺まで意識しているかもしれないのです。
このあたりが「どもりでない人」はもちろん、「専門家といわれる人」ですらなかなか理解されない、そしてどもりを考えるときにはきわめて重要なことです。

 どもりで悩んでいる本人やどもりの子供を持つ親御さんなどは、インターネットが十分に普及したいま、スマホやPC、その他の携帯端末を使ってどもりについていろいろと調べていることと思います。

★「治してくれる・相談できる」きちんとした専門家がいる病院や公的施設はあるのか?
 吃音者本人はもちろん親御さんも、いちばん知りたいところですね。
 ネット等でいろいろと調べてもなかなかわかりません。
というか「わかりません」
*インチキ情報はいくらでも出てきます。

 調べていてそのうちに感じてくることは・・・、
相談できるしっかりとしたところ(特に思春期以降)が事実上ないということなのです。
*事実上と書いたのは、日本にそういう施設が数カ所あったとしても、たまたま近くに住んでいれば良いのですが、通える範囲にない限り、それは「ない」のと同じことだからです。
*原因がわからず確実な治療法もリハビリ法もない現在、どもりに取り組む専門家といわれる方は、それぞれ、「治していこう、軽くしていこう」という考え方をする方や、また、「無理して治そうとしないで、どもりを持ちながらも強く生きていこう」という考え方をとる方など、様々です。(対立すらしていることもあります。)
確実な治療法やリハビリ法がない現在、仕方がない面もありますが、どもりで悩んでいてどこかに相談に行きたい吃音者やどもりの子供を心配する親御さんにとっては混乱してしまうばかりです。

 考えるられるひとつの方法は、どもりの自助グループ「セルフヘルプグループ」に通うことです。
 どもりという同じ悩みを共有する人の集まりですから、どもりを意識してからいままで、どもりについて誰にも(もちろん家族にも)話すことのできなかったことが嘘のように、「どもりについて、あたりまえのことのように話せる」という開放感にはじめて出会えるかもしれません。
これは大変大きなことで、これだけで大きく救われる方もいらっしゃると思います。

 しかし、いままさにどもりで悩んでいる人でもセルフヘルプグループの存在を知らない人も多く、たとえ知っていたとしてもなかなか参加する勇気が出ないのが、どもりの特徴です。

 セルフヘルプグループにも、いままさに悩んでいる人がいまほしい答え、つまり「治したい」「軽くしたい」に確実に答えるだけのものはありません。
 場合によっては、治った・良くなったというグループ内の先輩のあまりありがたくない自己流の治療法や心構えをしつこく頂戴することになってしまい、通うのもいやになってしまうかもしれません。
 または、いま入ったばかりの自分よりもどもりが重い「古参の(先輩)」が多くいることにショックを受けるかもしれません。(ほんとうはそれらの方々の生き様から得られるものも大くあるのですがそこまではなかなか思いがいたりません。)

 セルフヘルプグループは上手に利用しましょう。
 グループ内で気の合う仲間、年齢、重さ、境遇が自分と近い仲間を見つけて、その仲間でいろいろと動いていけば良いのではないかと思います。
*自分と違う考えかたの人、年齢や境遇の違う人の考え方や生き方に触れることも参考になります。

 自分(達)でいろいろとあたってみること。
 インターネットを使えば、自宅に居ながらにして吃音に関する書籍を見つけたり、国内・海外の吃音の専門家と連絡をとることもできます。
 ネットだけで終わりにせずに、直接気になる専門家に会いに行ってみたり、本を読んでみたり、自分の通っているのとは違うグループの活動に参加してみるもの良いことではないでしょうか。

 小・中学生は、学校のことばの教室をうまく利用すると良いと思います。
 また、セルフヘルプグループが主催する子供向けの行事に参加することもたいへん良いことだと思います。

 心の危機管理をすること。
 どもりのために(いじめやからかいパワハラなどに会う)学校や会社に通えなくなってきて、ついには完全な引きこもりになったり、
就職(活動)ができない、家庭内でも家族に理解されずに孤立しているなどの場合はいや、そこまで追い込まれる前に!信頼できる精神科医を見つけて心の危機管理をしてもらいましょう。
*都道府県ごとに「精神保健福祉センター」が設置されています。どこに相談して良いかわからない場合はそこに相談するのも良いと思います。

 また、仕事の問題、家庭の問題などを抱えている場合には、市役所や保健所に相談してソーシャルワーカーに相談に乗ってもらうなどの方法をとり、自分を守っていきましょう。法律的な問題は「法テラス」に相談すると良いと思います。