吃音:言葉が出てこないつらさは(再掲載一部改編:2008年1月13日)

 すこし、原点に戻ってみようと思います。
 「どもりでことばがなかなか出てこない、出てきたとしても赤面してしまうほど派手に繰り返してしまう」、私は今でも、たまに、そんなどもり方をします。
*私はどもり症状の波が大きいと自分では思っています。仕事のレベルでも吃音どころか雄弁とみられることがあるかと思えば、家庭内の何気ない会話でも大きくどもることもあります。

 生きていくためには働かねばならず、一日に何十本もの電話をかけなけらばならなかったメーカーの営業マンをしている時と違い、「教える」という仕事についていたときはしゃべる量は以前よりもはるかに多いのですが、社運をかけるような交渉事、大きなトラブルを抱えた交渉、などではないので「楽」なのです。

 反面、営業マンのときはほとんど問題なくかけられた電話が苦手になっています。*最初に社名や名前を言わなければ問題はあまりないが、「○○ですが」と、自分の名前から話し出す電話が苦手になっています。

 一度、自分の努力で無理やりに引き上げた「どもり始める閾値(しきいち)」は、言葉を「自分にとっての厳しい環境下」で酷使しなくなると、簡単に元に戻ってしまうことを何度も体験しています。

 こういう経験をしている自分として、そして社会人学生として心理学の勉強をしてもなお、「学者の話(半世紀も前のDAFにいまだに終始している歯がゆさ)」、や、セルフヘルプグループの考え方(自分もかつて活発に活動していたのも関わらず)、に、ある種の違和感を感じてしまう自分が常にどこかにいます。

 確かに、ごく軽いか、比較的軽いどもりの場合は、「どもったままでよい」、という哲学的な考え方は比較的受け入れやすいのでしょうが、ある程度以上の重さのどもりは、いくらそう思おうとしても、毎日の生活の中でそうは思えない場面にいくらでも遭遇します。
 そんな場面に連続的に遭遇すると、よほどの人でない限りは落ち込みますね!

 確立された治療法など存在せず、この先もしばらくは(少なくても今世紀中は)同じ状態が続くでしょうから、吃音者が必要以上に落ち込んだり人生につまずかないような目的でのサポート体制の確立と、正確な学術情報の提供が極めて重要であると思います。
 せめて、家族にどもりがいる場合の対処方法をきちんと知らせるべきですね。
*アメリカのアイオワ大学でジョンソン博士が活躍していた20世紀の前半から中ごろにかけてまでで、すでに、現在ネットで検索できるような各種の最新治療法?、たとえばDAFなどは出尽くしています。吃音の原因が特定され確実な治療法やリハビリ法が開発されるのには、医学というか人類の科学のレベルが、もう2世代も3世代もアップグレードされた、近未来ではなくて遠い未来になることは間違いないでしょう。

 自分の心の持ちようも、むしろ、悩む時は素直に悩むような、「あるがまま」の方が無理のない生き方ができると思います。
「どもったままでよい」、という考え方も「あるがまま」なら、
「できれば何とか治したい少しでも軽くしたい」、と思うことも「あるがまま」に受け入れなければいけないと思います。
 弱音を思いっきり吐ける親友がいることも必要ですね。(これはどもりに関係なく)

 しかし、そのような背景から素人療法がまかり通ったり、個人の経験を学問的なフィルターにかけることなしに直観的に話したり他人に強いることは厳に慎むべきものです。

 生きていくため(お金を稼ぐため)に仕事をしているときに、学生の場合は自分の将来の目標のために勉強しているときに、
「言いたいこと」や、「その場その場で言わなければならないこと」が言えないかうまく言えないことは、仕事上・学習上大きな障害となります。
 良し悪しは別として今の社会では、サラリーマンとして仕事をする上で、ますます高度な話し言葉によるコミュニケーション能力が必要とされていますから。

 なかには「どもることは素晴らしい」とか、「私はどもりが経験できなくて残念だ」、と書かれている学者がいますが、私はそういう考え方自体に怒りすら感じます。どもりを背負った人生を生きてこないからそんなことが言えるのだ!と
*たとえ、それがメッセージ性を持ったつもりの言葉だとしても、ある程度以上の重い吃音の苦しみは、吃音の経験のない人の想像をはるかに超えます。

 たぶん、このように感じることができる感覚をなくしてしまったら、今まさにどもりで困っている人とは大きな溝ができてしまうでしょう。

 どもりをもって悩んでいる人は、今日も、「職場で、取引先で、電話で、ひきこもった自宅内で、学校の自分の席で」それぞれ、厳しい現実と向き合っています。

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