吃音者の体験(危機をなんとか乗り切った経験)が、他の吃音者のこころを追い詰める場合があります

 どもりは原因が分かっていない、従って確実な治療法(手術・投薬)やリハビリ方法がない障害です。

 自身がどもりでないか、どもりのことを知らない・関心がない人たちにとっては、どもりの人は「緊張しやすい人」「おどおどしている人」というようなイメージが強いと思います。
 ですから、どもっている人に対しては、「落ち着いてゆっくりしゃべりなさい」などと言う方が多いのです。

*いつも書くことなのですが、吃音者にはどもりの重さや症状の違い、生きている環境(経済的・精神的)の違いによって・・・、
同じ「吃音者」という言葉ではくくれないほどの違い、人生に与える悪影響の違いがあります。
このことをまず押さえておかないと、どもりについて大きな勘違いをし間違ったアドバイスをしてしまい、悩んでいる人のこころを大きく傷つけたりさらに追い込んでしまうので注意が必要です。

 さて、吃音者(児)は、その場をなんとか乗り切るために、苦し紛れにいろいろなことをします。
★言葉がなかなか出てこないときは、他の人には見えないように手で机をたたいたり足踏みなどをしてタイミングをつかみながら、なんとか言葉を出そうとする
★ゆっくりとしゃべれば言葉が出そうな気がするので、ゆっくりと言葉を発しようとする
★「エート」「エー」など、間投詞を入れながら言葉が少しでもスムースに出るようにする(そうしないと言葉が出なかったり続かないという現実的な問題がある)

 それでもダメなときには、仕方がありません。黙ったままの状態です。
 学校の授業で言えば、指名されても立ったまま言葉を発しない(ほんとうは発せないのですが)状態になります。
 私も、高校の英作文の授業中に指名されてもひと言も言葉が出てこなくなり、あとで先生に呼ばれて「どうしたんだね、落ち着いてゆっくりしゃべりなさい」と言われた昔のことを今でもはっきりと思い出します。優しい先生であった分自分が余計に情けなくなりました。こんなときは「消えてなくなりたい、死んでしまいたい」と強く思いました。

 社会人になってからでは、しゃべれなくて「どうしたんだね」では済まされないことはおわかりのことと思います。
特に、「もうけてナンボ」の民間企業ではその職場に居づらくなります。
 程度の良い大企業ならばしゃべらなくて良い「現場」に配置換えしてもらえるかもしれませんが、中小企業の場合は「結果的に会社にいられなくなる」というのがほんとうのところです。

★学校生活上の「どもりによる危機」を、(幸運な出来事を含めて)うまく乗り切ったこと、
★社会人になってからの危機を乗り切ったり回避したこと経験

これらは、「いま悩んでいる」「いま危機にある」人に、大いに参考になる経験ではありますが、それがかえって、いま悩んでいる人を追い込んでしまうことにもなるこも十分にあるのです。

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