吃音の背景にあるもの(再掲載一部改編:2007年3月19日)

 どもりで悩んでいる人は、「私はどもりで悩んでいるんだ」と思っています。
当たり前の話ですが、本当にどもりだけで悩んでいるのでしょうか?

 もしかしたら、バックグラウンドに別の問題を抱えていないでしょうか?
 そして、本人もそのことに気がつかないままに、すべて「どもり」のせいにして、背後に隠れている他の深刻な問題を(無意識のうちに)避けているのではないか?
 ということを書いてみたいと思います。

 さて、どもりの発症自体が親の育て方に問題があるという(母親責任論)が、かつて、当たり前のように言われていました。
*自閉症の発症についてもかつてそのようにいわれていた時代があり多くのお母さん方の心を傷つけましたが、現在では自閉症は脳の機能障害とわかりそれは否定されています。

 しかし、発症原因ではないとしても、どもりを維持させ悪化させる要因として、家庭内の環境や子供への間違った接し方は大きな問題であることは変わりません。

 どもりのお子さんがいる家庭で、
「学校から子供が帰ると親がいつもけんかをしている」
「父親や母親がいつもお酒を飲んでけんかしている」
「同居しているおじいちゃんおばあちゃんとの仲が険悪である」
 などの悪い家庭環境が常態化している場合は、どもり、プラス、AC(アダルトチルドレン)の様相を呈してきます。

 子供のこころのなかは「自分のどもり」でぎりぎりのはずなのですが、学校から家に帰っても、家庭のほっとした雰囲気に救われるどころか親の不仲などで自分の悩みを打ち明けるどころではなくて「いい子」を演じてしまうことすらあるでしょう。
 ここで「どもりの症状」プラス「アダルトチルドレン」という複雑な状況を呈してくるわけです。

 どもりの問題に取り組むときは、本人が生まれてからの家庭の環境(精神的・経済的)や通っている学校や職場の環境をかなり詳しく見ていかないと、良かれと思って行なった対策がかえってどもりを悪化させたり家庭内の人間関係を悪化させることすらあることを考えるべきです。

 今まで書いてきたように、自分は「どもり」で悩んでいると思っていても、実はそれだけではないことが十分にありえます。
 どもり本体のほかに、どもりを維持・悪化させている要因をいま置かれている環境のなかから注意深く探り出して解決していけば、結果としてどもりの症状を軽くすることも(場合によっては)可能でしょう。
(*どもりは軽くなったり重くなったりの波があり、「治った」と言っていた同じ人がその後「ぶり返し」て、以前よりも深刻な事態になることも当たり前のようにあります。
*何気ない日常会話でも常に大きくどもる重い吃音の場合はより深刻な事態になっていることが十分に考えられます。学校に行けなくなっていたり引きこもっているようなケースも多いでしょう。問題はこういうことが家庭内で隠されてしまい表面化しないことです。)

 その作業をするには、思いつきや吃音者(仲間)の経験則のみからの対応では逆効果になることが多く危険ですらあります。(古くからある民間のどもり矯正所の問題はこのあたりにありました)

 日本の医療事情・福祉事情では難しいことではありますが・・・、
 日常的に通える範囲で自分にとって信頼できる臨床心理士や精神科医、言語聴覚士、また、ソーシャルワーカーなどを見つけ出してください。

 しかし、残念ながら彼らの多くは、「吃音」と「どもりが人生に与える深刻な悪影響(たとえば、家庭内での孤立、学校でのいじめ、就職できない、引きこもり)」についての正確な知識や臨床経験がありません。
 こちらから「どもりの症状やどもることにより困っていること」ついて熱心に説明し少しずつ理解してもらいましょう。

 そうすれば、彼らはそれぞれの専門領域からできるだけの援助をしてくれるはずです。
そして、少しずつですが、どもり問題の深刻さが社会的に認知されてくるでしょう。

 かれらのできる範囲で問題点を見つけ出してもらうこと、そしてそれらを解決していくことは、遠回りになるかもしれませんが結果としてどもりを軽くしたり、どもりを持ちながらでも少しずつでも生きやすくなることができるようになるかもしれません。

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