「吃音にこだわる」と「吃音で困る」の違いは (再掲載一部改編:初掲載は2011年10月22日)

 吃音者が生きていく上で、どもりに「こだわる」ことをやめて毎日の生活、つまり「生きていくこと」を優先させていこうという考え方があります。
*どもりの重さの違いや環境(特に子供のときの家庭環境)の違いによって、こだわり方、こだわる度合いも大きく変わってくるでしょう。

 一方、どもりで悩んでいる人(私もそのひとりですが)と深く話し込んでいくと、どもりに「こだわっている」のではなくて、もっと単純な話しで「どもることで困っている」ということがよく分かります。

 おとなの場合で言えば、
★どもることで仕事に大きな支障が出て困っている。このままでは職場に居づらい

★どもるために就職・転職できないで困っている。
*他の能力は十分にあるのに、どもりのために希望する職種に就職できないということも含む

★日常生活や親戚付き合いにおけるコミュニケーションに支障が出てこまっている
ということなのです。

 子供でいえば、
★学校の授業中や休み時間に大きくどもったり分かっていることが言えずに困っている。劣等感にうちひしがれている。

★どもることを笑われたりからかわれたりすることにより恥ずかしい想いをし、劣等感の塊になっている。(陰湿ないじめを受けていることを含む)

★死にたいと思うほど深刻に悩んでいるのに、家族はその想いを受け止めてくれずに困っている。

 つまり、哲学ではなくて生活(生きていくこと)に根ざした問題なのです。
子供でいえば将来(進路)のことで大きな不安を感じて困っているということ。
大人でいえば、人と関わって、話して、働いてお金を稼いで生きていくのに困る、という問題なのです。

★どもりが軽くなるか治る(そうするために自分でいろいろと努力する)
★ことばで勝負しない仕事に変える
★いじめられている学校から転校する
 などにより、どもることにより困る割合が減るか、減らしていけば、結果的にどもりにこだわる割合も減っていくでしょう。哲学ではなくて身体感覚なのです。
*現実的には、転校先の学校でまたいじめられる、転職先の職場でも同じような苦労をすることもあり得ます。

 それを実現するのにはふた通りあるのではないか。

★ひとつ目は、自分の生活環境、生活圏を変えることです。
 極端な話しでいえば、どもりをもっている人たちが独自のコミュティーを作り(解放区のようなもの)そのなかで生きていくことです。
かつて、「〇〇運動」という名前で独自の人生観を持った人たちが集まって村のようなものを作り集団生活するようなことがあったらしいですが、それに近いかもしれません。
 もう少し現実的にいえば、UターンやIターンで都会から離れることです。たとえ、収入が大きく減っても、地方でゆったりと過ごすことにより自分が取り戻せるかも知れません。
 また、現在地を離れない場合でも、生活レベルを下げてもよいという覚悟ができれば、ことばの面で必要以上に無理をしない職業に変わるということで困る度合いを減らせるでしょう。

★もう一つは、自分を、いま生きている環境やこれから生きたい環境に自分を適応させるべく努力することです。
 それには、心理カウンセリング(本人、家族)やリハビリテ-ション(言語訓練)を行なうことにより、どもりを少しでも軽くすることがあります。
 また、仕事に支障が出ないように、どもりの度合いを低いレベルで維持するように努力することも含まれます。
*現実にはどもり(特に思春期以降)に精通した言語聴覚士は極めて少ないので自分で工夫する必要があります。どもりのセルフヘルプグループなどで知り合った気の合う仲間で集まり公民館などの部屋を借りて、どもりそうな場面を再現し、問題点や対策を話しあい考えるサイコドラマと学習会を行なうのも効果的です。

 自分なりに努力しても、どうしても仕事に支障が出てしまい精神的に耐えられないならば、自分の心と体を守るために、計画的に転職・転業していくことも含まれます。

 しかし、これらがなかなかうまくいかないから、いまに至るまで、ある程度以上の重さの吃音を持つ人は困っているのです。
*背景には、どもりの原因が医学的にわからないので根治療法がない、効果的なリハビリテーションができない、社会的にどもりの苦しさが認知されないのでしっかりとした対策がなされない、ということがあります。

 今回書いてきたことも、「重さや症状の違い」や「育った環境の違い」によって大きく変わってきてしまいます。
 どもりの問題は、ケース毎にすべて違うものだと考える必要があります。
*違うからこそ、吃音者どうしで違いを意識しつつ協同してできることがあるのではないか、と思います。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中