吃音:いま与えられている環境下でできるだけの工夫する(再掲載一部改編:初掲載は2009年3月16日)

 このブログは「こうあるべきだ」というような提案型の内容や「現状分析」が多くなっています。
今回は、どもりを持っている自分が、いま生きている環境下で「より良く生きる」にはどうしたらよいかを考えます。
*うつ病についても参考になる部分があるのではないかと思います。

★パニックからの脱出(自分を守る)
  まずしなければならないのは、パニック状態からの脱出です。
  ある程度以上の重さのどもりで日常生活に支障が出てくることから精神的に追い詰められたり、または、客観的に見て軽くみえるどもりでも、様々な理由から悩み精神的に追い詰められて「うつ状態」になる場合があります。

  そのような状態にある方がやせ我慢していると、やがては重い「うつ病」になってしまします。
 毎日が憂鬱で死んでしまいたいなどと感じているようでしたら、いや、そんな気持ちになる前に精神科か神経科に駆け込みましょう。
どこに行ったらよいかわからなかったら、都道府県にある「精神衛生センター」に相談するのも良いかもしれません。

 精神科医や臨床心理士はどもりに対する深い知識はないことが多いですから(ほんとうに吃音(者)に対する知識がないのに驚かされます)、「いまの心の状態や想い」をあらかじめ文章にまとめておき、先生に読んでもらうのが良いでしょう。
 もともと「どもり」ですから口頭での説明がうまくいかないかもしれませんし、相手が心の医者といえども初対面では言いたいことも言えないかもしれませんから(時間も限られていますし)、今までの出来事を年表形式で書いたり、いまの心持ちを綴っておくと良いですね。

 子供の場合ですが、学校ではどもりを原因として陰湿ないじめを受けているのに、家庭では何も言わず明るく振る舞っていて「突然自殺」などということにならないように、親御さんが特に注意する必要があります。

★家族や友人との関係を根本的に見直すこと
「自分がどもりでどれほど悩んでいて人生に大きな支障が出ているか」ということを家族にわかってもらえているケースはかなり少数派で、悩んでいないと勝手に思われていたり、どもりに無関心な場合が多いですね。

 本当はかなりどもるのに、家庭内ではしゃべる頻度を少なくしてどもりを見せないようにしている人も多いようです。徐々にでも自分の本当の姿「かなりどもっているところ」を公開すべきです。
これは家族に対する「私はどもりで死を考えるほど悩んでいるんだ」というアピールもなるし、自己同一性(自分が自分であること:わたしのこのブログのテーマでもあります)を守るという自分にとっても大切な作業です。

 自分のどもりについて赤裸々に話せる友人がひとりでもいれば、傷ついている心はどれほど救われるでしょうか?
そのような友人がいないかなかなか見つからなかったら、吃音者のセルフヘルプグループに参加するのが近道かもしれません。

★自分の今の言語能力を査定する
 自分はどの程度のどもりなのかを、現実から逃げないで自己チェックすることです。
 小型のレコーダーをもって「家庭内での会話」「電話しているところ」「街で買い物をしているところ」「学校や職場で話しているところ」などを録音し聞いてみます。
本当はこの時点でどもりに精通している言語聴覚士のサポートを受けられればベストです。

★「将来の希望」と「現実の言語能力」に大きな差はないか
 現状ではかなりのどもりがあるが将来はアナウンサーになりたい、という希望を持っている場合などです。 
 「どもりをもっている(もっていた)が今は成功している有名人などの話」を引き合いに出して「努力すれば乗り越えられる」的な応援をしてくれる人もいますが、善意からでたものとしても吃音者にとっては迷惑な話です。
親は先に死んでしまいますし、第三者は言い放しで責任などとってくれません。要は自分次第、人生は自己責任です。

 人生においてチャレンジすることはとても良いことですが現実には失敗もいくらでもありますので、思春期以降の青年ならば自分の心の危機管理は自分でしっかりと行ない、子供の場合は親御さんがしっかりとサポートしてあげることです。

★こころやことばの専門家を上手に利用し使いこなす(受動的に利用しないこと)
 普通の精神科医や臨床心理士はどもりのことを(どもりの症状や吃音者の気持ちを)驚くほど知りません。
しかし彼らはそれぞれの分野の専門家です。精神科医、臨床心理士、言語聴覚士などをうまく利用しましょう。こちらから使いこなすのです。

 その際は、こちらからどもりについて丁寧に説明してあげることです。そうすれば彼らも勉強してくれます。これがプロの世界です。
「どもりとはどんな症状で、どんな心持ちになるか、どんなふうに困っているか」ということを詳しく説明することです。(ことばで伝えられなかったら文章にして渡してあげましょう)
 そうすれば、各専門分野からのアドバイスをしてくれますので、かなり助かると思います。

★セルフヘルプグループに参加したり、自分でセルフヘルプグループを作ること。
 セルフヘルプグループは文字通り「自助グループ」であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
なんでこんなことを書くかというと、「良い点」と「注意すべき点」があるからです。

「良い点」は同じ悩みを持った多くの人と出会えること。
 これは、悩んでいるのは自分だけではないということが確認できることと、他の人の経験談を聞けることで勇気ももらえるでしょうし、もしかしたら親友ができるかもしれません。
ひとりぼっちで悩んでいた人にとっては、大きく心持ちがよい方向に変わるかもしれません。

 「注意すべき点」は、グループ内で人間関係上のトラブルがあったときの責任体制が明確でなく、きちんとサポートしてくれない場合があるということです。
 例えば、(善意からかもしれませんが)ある吃音者にとっては(うざい)お説教のような「アドバイス」をしつこくしてくる人もいるでしょう。
そういうことに対しての対処がキチンとしていないことがあるでしょうから、思わぬ人間関係の軋轢に巻き込まれて心が大きく傷つくこともあり得ます。

 わらをもつかむような気持ちで参加したセルフヘルプグループ。
 参加して傷ついた心が救われることが多いかと思いますが、なにかの出来事や誰かのことばに傷ついて「こんなところにくるんじゃなかった」という結果に終わらないように、グループ活動にどっぷりと浸らないでグループを客観視することも必要です。
*人間関係の軋轢は、学校でも職場でもスポーツクラブでも、どこでもあり得ますが、どもりの悩みで心が深く傷ついている状態でさらに傷つくとたいへんなことになります。

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