吃音:自分の本来の能力に応じた仕事をして充実した人生を送るために、仕事に必要なことばの流暢性を保つことと、できれば今以上に良くしていくことについて(再掲載一部改編:初掲載は2012年7月5日)

 どもりといってもそれは実に多様で、重さや症状には大きな違いがあります。
その違いにより第三者から見た「どもり、吃音者」のイメージはかなり大きく異なります。

 どもりでない人がイメージする「どもり、吃音者」というのは・・・
「わわわたしは・・・、すすスズキです」というような形でしょう。
 テレビでもたまに放映される「裸の大将 山下清画伯」のようなしゃべり方だと思います。
悲劇的というよりも滑稽なイメージ、おちょこちょい、落ち着きがない、というイメージがあるのではないでしょうか?

 しかし、ある程度以上の重さのどもりが吃音者の人生に与える影響は、どもりでない方では全く想像もできないような大きなものであり、人生を苦しく厳しいものにします。
 特に、日常会話や電話によるコミュニケーションにはっきりとした支障が出るくらいのどもりがある場合には、学校生活、就職、仕事などの人生全般にかなり大きな悪影響がでます。

 よく言われること、「面接では人柄を見るのでどもったところで大丈夫・・・」
確かに公立高校などの入試の面接ではそうかもしれません。
 しかし、就職するための面接は違います。条件付きです。
どもるとしても、仕事が遂行できるくらいのどもりの重さであること。
 事務や営業職の面接で、自分の名前が言えない、ことばが出てくるまで数秒以上かかる、顔を引きつらせてかつ大きくつっかえながらでないとことばが出てこない、という状態では採用する側は採用したくてもできません。

 たとえ誰かのコネで入ったとしても、「この人にはどこの部署で働いてもらおうか?」ということになってしまいます。
(このあたりのことは自分の経験を踏まえて過去に詳しく書いています。)
何よりも入ってから本人が苦労しまくりの日々を送ることになるでしょう。

*日常生活の何気ない会話ではほとんどどもらなくて、まわりの人からは「あの人はたまにちょっとどもるねつっかえるね」くらいにしか思われていない人でも、それどころか、普段の会話ではむしろ能弁とまでも思われているような人でも、「電話で自分の名前を言う、学校でひとりで本を音読み、クレームに対処するためのビジネストーク」などの一定の条件下では(条件は人ごとに違います)、普段のしゃべりが嘘のように重い吃音が出ることは良くあることです。そういう人はむしろ、ひとりで大きく悩んでいることが多く、自殺すら意識しながら毎日を生きている場合があります。

 ですから・・・、
★吃音を持っている人は「自分の吃音の症状や重さ」を冷静に見つめて、
★また、精神科医、臨床心理士、言語聴覚士など専門家のアドバイスを得ながら、
★またなんでも話せる親友などの意見も参考にしつつ
 過度に無理のない方向で人生を遅れるような就職をすることが必要です。
*実際にはそれが、なかなかかなわないので、吃音者の人生を大変苦しいものにしています。

 もしも希望する職種がしゃべりで勝負するもので、しかし、どうしてもその方向に進みたいのならば、徐々にそちらの方向に向けて階段を上るように転職していく方法もあります。

 人生の選択は個人の自由です。
★今のままのことばの状態で無理のない仕事について生きていく
★ひとつ上のことばの流暢性を要求される仕事にチャレンジしていく
 どちらの生き方も正解で優劣のつけようがありません。本人の人生観も絡んできます。

 しかし、どもりで問題なのは、
★ことばの面で無理をしないで、いまできる仕事を安定的にして生きたいと思っている方が、「いまの重さ」よりもよりもさらに重いどもりとなってしまい、いましている仕事が続けていけない状態になり追い詰められる場合があること、
★努力して努力して「軽くなった」と思っていたどもりが、ある日急に(または、徐々に)悪化し始めて、いまの仕事が遂行できなくなってきた、
 ということがあたりまえのように起こりえるのです。

 このブログでは、吃音についてプラクティカルに考えたいので、「いまの流暢性を保つ」、「流暢性をUPさせる」ことも主要なテーマとして考えています。
*日常生活の何気ない会話においても常にどもるような重いどもりの場合は、ほんとうは公的な福祉制度で手厚くサポートされるべきです。もはや個人やグループでの努力の域を超えています、が、驚くことにいまの日本ではそのようなサポートは事実上ありません。(特に思春期以降の場合)

「いまの流暢性を保つ」、「流暢性をUPさせる」には、適度に負荷をかけながらしゃべる訓練を自分(達)で工夫しながら行っていく必要があります。

 例えば
★家のなかでひとりで電話→家族の聞いている前で電話→外の公衆電話で電話
★電話する相手も、個人の携帯電話→家族が出る家の固定電話
*気の合うどもり仲間で小さなセルフヘルプグループを作り練習すればさらに良いと思います。

 ほんとうは、街なかに、困っている吃音者(こども~おとな)が気軽にかかれるどもりの臨床に通じた国家資格者である言語聴覚士が開業していて臨床心理士や精神科医とのチーム医療で治療や相談にのってくれて、また、必要に応じてソーシャルワーカーから実生活上の不都合(学校や職場でのいじめや就職・転職の問題)に対するサポートを受けられれば良いのですが、いまの日本でそれは「夢の世界」です。

 ですから仕方なくでも、(特に思春期以降はことばの教室などの公的なサポートがなくなりますので)、個人やセルフヘルプグループの仲間内でいろいろとトライしていかなければならなくなります。

 そのときに必要なのは専門家による「心の危機管理」です。
 必要に応じて精神科医や臨床心理士にサポートしてもらい心の危機管理を行うと、大きく落ち込んだりこころの病気になることを防いでくれます。
*ホームドクターとして日常的になんでも話せる先生(精神科医や臨床心理士、さらには言語聴覚士)を見つけておきましょう。精神科医も臨床心理士もかかってみると驚くほどどもりについての知識はありませんが、こちらから症状や悩んでいる内容を詳しく伝えれば彼らの専門領域から有益なアドバイスを受けられます。

参考
★2012年5月5日: 吃音仲間でできること(セルフヘルプグループの原点に戻る)
★2012年5月13日: お互いに信頼できる吃音者が集まってできること

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