「吃音者が置かれている言葉の環境」と、「いま、仕事において求められる言葉によるコミュニケーション能力」の大きな差(再掲載一部改編:初掲載は2008年2月26日)

 世の中がインターネット社会となってからしばらくがたちました。
 携帯やスマートフォンPCなどによる情報交換により、どもりを持った人の間でも連絡が容易にとれるようになりました。

 以前ならば、吃音者どうしで電話をかける場合は、吃音者のひとり住まいの家に電話するならともかく、家族と同居している家への電話という大きな壁が存在しました。
友達への連絡すらままならなかったどもりの方も多いでしょう。
*90年代前半までの携帯が普及していなかった頃の話です。

 私がまさにそういう状況でした。学校の電話連絡網でも前の人からまわってきた連絡を次の人に伝える電話ができずに、自転車に乗って直接に伝えた苦い思い出があります。

 かつて(80年代末~90年代初め)仲間と作っていた小規模なセルフヘルプグループではこんな形で電話練習をしていました。(携帯が一般的ではなかった時代の80年代末から90年代初めの話です)
 まずは、比較的楽に電話ができる「ひとり住まいの人」へ電話する(必ず本人が出る)練習から、徐々に、家族と同居している家に電話する(誰が出るかわからない)練習へとアップグレードさせる方法をとっていました。
練習というと堅苦しいものを想像しますが、ゲームのように楽しみながら行なうことが肝心ですね。その際には、どもりには重い人と軽い人がいるのでそれらを踏まえながら進めていくことが必要です。

 しかし、仕事の世界となるとまったく違います。
 仕事の世界では、ネット社会の進展とは裏腹に、人対人(face to face)の話し言葉による高度なコミュニケーション能力が問われます。
 大企業から零細企業まで企業間の競争がますます激しくなっていて、限られた市場の取り合いになっています。無理矢理にでも他社の顧客を奪わなければならないのです。
このような状況下では、ある程度以上の重さのどもりを持った人が社会人(特に民間企業)として生きていくのがいかに辛いことかは、その経験のない方でもある程度は想像がつくでしょう。

 どもりの為に正社員になれずにいる
 アルバイトや契約社員について考えてみると、一部の専門職を除いては、ほとんどの場合はルーチンワークで低賃金。
そういう仕事ほど、顧客に対して使う言葉もおきまりのマニュアル言葉が多く、どもりを持つ者にとっては辛いことでしょう。

 正社員でもそうでなくても、ある程度以上の重さのどもりを持った状態で(言葉を日常的に使う仕事で)働くことは、いまの経済状況、雇用状況から考えると、吃音者の心に常に大きなプレッシャーがかかったままとなります。
その結果として、うつ病などの心の病になってしまい、仕事を休職したり、辞めざるを得なくなる方も多くいらっしゃるでしょう。

 そのような場合には再就職を探しても、以前の雇用条件に近い仕事はなかなか見つかりません。
 経済的に、そして精神的にも追い詰められている人が存在し、そのサポートは事実上無いに等しいのです。 そのような現実に根ざした、どもりの人たちをサポートする視点こそ必要なのです。

 今までのセルフヘルプグループなどの活動とは違う、別次元での組織が必要です。
 精神科医や臨床心理士、言語聴覚士などの専門家による言葉と心の本格的なサポートや、どもりのために生活に困っている人をサポートするソーシャルワーカー、市役所やハローワークなどの行政の具体的なバックアップが必要です。

参考にしていただきたい書き込み
吃音:ときには大胆に生き方を変える 2012年4月3日
吃音を持つこどもの将来(職業)を見据えた現実的な育て方を! 2012年4月24日

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「吃音者が置かれている言葉の環境」と、「いま、仕事において求められる言葉によるコミュニケーション能力」の大きな差(再掲載一部改編:初掲載は2008年2月26日)」への3件のフィードバック

  1. 確かに個々によって環境が大きく異なっているのも問題ですね。吃音者自身が吃音を軽く捉えている場合もあって、そういう人だと、同じ吃音者を批判したり妨害したり(どこぞの某言友会とか)する場合まであって、頭抱えてしまいたくなる場合も少なくないので。

  2. がんまさま
    管理人です。書き込みありがとうございます。

    どもると言っても、軽い人(それも様々)から重い人、とても重い人・・・など様々
    また、一般の企業に勤められたが(自力で、コネで)、なんとかなる人もいれば、転職をくり返す人・・・

    その企業と言っても地方にある比較的ゆっくりと勤められるところから、大都会にある常に緊張感を持っているようなところ。
    職種にしても、営業や事務系などことばを武器にする職種、現場作業などことばをメインに使わないところ(それでも重さや症状により大きな負担になる)、最近はNPOやNGOまでありますから・・・実に様々です。

    こどもの頃育ってきた家庭の雰囲気にもかなり左右されていると思いますし、
    このあたりの吃音者側の違いが根底にあり、良い方向に進んでいかないひとつの要因になっているのだと思っています。

  3. ——————————————————————————————————————–
    http://anond.hatelabo.jp/20130429212240

    私は吃音症である事が分かって以来、40年以上経過しているが、今でも症状は治っていない者です。

    吃音症だと分かったのは3歳児の頃。最初は、言葉が遅れていると両親に思われ(実際は吃音症の為、発声が正常ではなかったのですが)、知恵遅れの疑いをかけられました。

    その後、知能検査を受けさせられ(当時の事は今でも悪夢の形で夢に出て来ます)、知恵遅れではないと判明した次第。

    まぁ、この時点で、知恵遅れだと思われたままだったら(とはいえ、現代の今なら「発達障害」扱いされていた可能性はありますけど)、まともな教育は受けられなかったかもしれず。

    もっとも、日本では吃音症なる障害も病気も存在しない事になっているので(先進国で吃音症を障害認定していないのは日本だけですw)、いまだに治らないし、過去にコレが原因で酷い目に遭う事も多かったわけですがね。

    実際、イジメもあったし、会社も一度は解雇されてますし、今も吃音が治らないのは私の努力不足だと上司に叱られる始末。

    日本では、吃音症は障害でも病気でもない「ただの悪い癖」なので、改善出来ない私が悪いのですが(苦笑)

    まぁ、吃音者ってのは、日本という社会が公認している底辺の身分なんでしょうね。まさにエタか非人www

    せめて、日本でも他の国と同様に、障害認定されれば、少しは変わるんでしょうけどね。無理だろうなwww
    ———————————————————————————————————————–
    と、某所に書き込んだのは私ですが、実際、吃音者って現代のエタ非人だと思います。行政のバックアップなんて求めるだけ無駄だ。既に絶望していますよ、私の場合は。とりあえず、発声練習はしていますが、こんなもの、何の効果もない事は自分が一番理解しているのですが、業務命令で仕方なくやっています。
    それとも、行政のバックアップなんて夢物語が実現する見込みでもあるんですかね?

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