吃音持ちの子どもやおとなの苦しさは・・・

 どもり、
 それも日常生活のコミュニケーションに支障が出るくらいの重さや症状の場合、
食卓を囲んでの家族の会話、親戚が来たときの会話、買いたいものが見つからないときに店員さんに聞くときの会話など、ごくありふれたシーンであたりまえに交わされる会話において、最初のことばがなかなか出てこないか、大きくくり返すどもり特有の症状が出ます。

 面と向かっての会話か電話において自分の名前や住んでいるところを聞かれても、しばらくの沈黙の後、顔を歪ませながら絞り出すように最初のことばを発する。または、意味のない音や違うことばを発してからでないとことばが出てこない。
「しばらくの沈黙・・・、すすすすずきでです」
「〇#!?&・・・こここれ、いいくらですか?」
 こんな感じでしょうか。

 比較的調子の良いときはスムーズに出ることもあるし、調子が良くなってきたなと思った次の日は、昨日言えたことばが全くかうまく出てこない。かしいなと思い出すと、悪化の連鎖が始まります。
 ある程度以上の重さの吃音者は、こんなどもりの症状をこどもの頃から経験しているのです。

「おとなになると(成長とともに)どもりは治る、軽くなる」という話しが昔からなんとなくあります。
 実は私もそう言われたクチで、小学校高学年くらいから「良くなったね」、「軽くなって良かったね・・・」などと言われ続けてきました

 実はこれがどもりを持ったこどもにとっては「悪魔のことば」なのです。
 このことばによって、安心して思いっきりどもれなければいけない家庭のなかでも過度の緊張を持ってしゃべることとなり、症状以上にメンタル的に重症の吃音者に深化してしまいます。

「ほんとうは全然よくなっていない」のですが、家のなかでどもると、親が心配そうな顔をする、イヤな顔をする、注意する、言い直させるので、できるだけ話さない、特にどもりそうなことばは避けて最小限の会話をするように工夫していくので、傍から見ると良くなったように見えるのです。
*本当に重い場合は隠しきれません。どもりっぱなしとなりますし、比較的軽い人でも症状に波があり隠しきれない重症のどもりとなることもあります。

 おとなになった吃音者は、「頭の方の能力的にも」「ことばの方の能力的にも」、できないことはできない、なれないものはなれないので、その人の本来持っているどもりの重さや症状で精神的に追い詰められないくらいの職業に就くことができて長く勤めることができれば、「自分は軽くなった」と思い(良い意味での錯覚でしょう)自分にとっての良い状態を保てるようになり、実際にこどもの頃や思春期の頃には想像すらできなかった「電話」や「大勢の人の前での挨拶」さえ上手にこなすようになる人もいます。
*いわゆる「有力者のコネ」でことばの面で実力以上の職場に入ってしまうと、ある程度以上の重さのどもりを持っている場合は悲劇です。

 比較的軽い吃音者が、就職の面接日がたまたまことばが絶好調ときに当ってしまうと悲劇になることも多いようです。
結果的に自分の言語能力を大きく超えた職場に入ることとなり、社内電話、社外電話、会議、プレゼンなど当たり前の世界にたたき込まれることとなりたいへんな苦労をします。
 比較的軽い吃音者だったのが、精神的な重圧から「かなり重い吃音者」となり、結果的にやめざるを得ない場合もあります。
*うまくいく、場合もあります。

 昭和の時代からバブル崩壊くらいまでは、中規模以上の企業に入れれば終身雇用がある程度約束されている日本でしたが、いまは全く違います。(大企業でも陰に陽に早めに辞めさせようとします)
運良くつぶれもせずリストラされなくても、同じ社内で違う部署に配置されることなどは当たり前にあるでしょうから、若い頃からたいへんな苦労をして努力した上に「軽くなっていった」どもりが悪化する例もあるでしょう。
*吃音者の会合などで語られる50歳代より上の吃音者の経験談は50%オフくらいで聞いておけば良いと思います。特に地方公務員などの民間と比べると楽な仕事に就いていた方の話しは注意です。

 どもりについて考えたり、アドバイス、サポートするときは、その人どもりの重さ、症状の他に、その人の生きてきた(生きている)精神的・経済的な環境を十分に聞いた上で行なわないと、かえってその人の心を傷つけてしまったり追い込んでしまうことがあることを肝に銘じるべきです。

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