吃音者にとっての思春期後期(再掲載一部改編:初掲載は2010年5月21日)

 思春期後期とは、ここでは高校生くらいとして考えます。

 さて、どもりを持ったまま高校生に・・・
 楽しいこともある高校生活かもしれませんが、進学や就職がだんだん近づいているということを実感する頃でもあります。

 高校もいろいろです。
 進学校に入れば、入った直後から熾烈な競争のなかに放り込まれますし、学級崩壊(学校崩壊)しているようなところに入っても別の苦労があるでしょう。

 私の記憶のなかにあるのは、高校合格が決まり3月中に行われたオリエンテーション時に、名前の申告でどもってしまったこと。
30年たったいまでも覚えているということは、かなりのトラウマになっているのだと思います。
*そのときには、「これじゃあ高校生活も大変だな・・・」と言う暗澹たる気持ちになりました。

 高校に入っても相変わらず授業中の恐怖は続きます。
特に、古典や漢文のテキストを読まされるときは如何ともしがたいですね。「源氏物語」をどもりまくって読んでみてもかっこつきませんね。

思春期後期を迎えた吃音者にアドバイスすさせていただくとすれば、

1,授業中は
「いつ指名されてテキストを読まされるか」と震えているのでは肝心な勉強に身が入りません。
思い切って先生に言って、教科書を読む時に指名しないようにしてもらうのもひとつの方法ですが、それがその人にとって良いことかどうかはケースによってかなり違って来ると思います。
そのあたりも考えながらの対策となります。
*私の場合は、高校1年生のときに「このままでは頭がおかしくなってしまう」と考えて、意を決して親を通して担任に「私がどもりで悩んでいること」を伝えてもらったことがあります。しかし、職員室に呼ばれて担任から「アナウンサーになるわけでもないのだから多少のどもりは気にするな」と言われた直後に相談したことが無駄だったと思い、これ以上理解してもらうことはできないとあきらめました。

 そこで、2013年という時点での考え方ですが、(そして、家庭にも理解があり経済的にもクリアーされればですが。)
 いまの学校生活がどもることにより耐え難いものならば、思い切ってやめて、大検のコースに進む方法もあります。(「資格」の問題がありますがフリースクールという選択肢もありますね。)
それはそれで大変かもしれませんが、精神的に救われるのならばそういうコースを選択することも考えてよいと思います。
 無理をしてうつ病などの心の病気になってしまうと回復に時間がかかります。

2、「少しでも言葉の流暢性を向上させたい。」
 毎日の学校生活で言葉の問題に直面せざるを得ない人の正直な気持ちでしょう。(なかにはそう思わない方もいるかもしれません。)
しかし、そういう思いに対応してくれるような、公的・組織的なサポートは事実上ありません。
*良い病院や施設が国内に数カ所あったとしても、通える範囲になければないのと同じことです。
*通える範囲にどもり治療や相談を行なっている公立、私立の病院や研究所などがあれば、積極的に利用してみるべきです。

 そこで考えられるのが、どもり仲間でサークル的なものを立ち上げることです。
 仲間どうして工夫してことばの練習をしても良いでしょうし、どもりについて書かれた専門書を読みあっても良いでしょう。
また、国内外の心や言葉の専門家を訪ねて相談するのも良いと思います。
*大学や研究所のどもりの研究者などにスーパーバイザーになってもらうと良いと思います。

 私の場合は、どもり矯正所で親しくなった仲間でグループを作りいろいろと活動しました。
例えば、公民館の部屋を借りて教室やオフィスを再現し、どもる場面を再現しながら皆で対処方法を考えていくような「サイコドラマ」を行いました。

 これらの、仲間との試みの結果として・・・、客観的にみたどもりの症状は大きく変わらなくても、なぜか、「私ははだいぶ軽くなったと」言い、就職活動をはじめることができたり、前向きに活動できるようになってくるのです。
 仲間集めが難しかったら、まずは既存のセルプヘルプグループの集まりなどに積極的に参加して、徐々に友達を増やしていけば良いと思います。

3,心やことばのホームドクターを持ちましょう。
 80年代には考えられませんでしたが、2013年のいま、特に都市部では(バブル崩壊以降のうつ病の大流行もあり)、精神科や神経科に通うことへの敷居はかなり低くなりました。
こころを診てくれる専門家である精神科医や神経科医。彼らのスタッフであることの多い臨床心理士。自分のことをよくわかってくれている先生を確保しておいて定期的に診てもらうと良いと思います。

 しかし、残念ながら彼らはどもりに対する専門知識はほとんどないと思いますので、こちらから吃音者の気持ちを丁寧に説明してあげると良いと思います。
日記など文書の形にして、それを先生に読んでもらえば、説明下手な吃音者にはよいと思います。精神科医の立場からいろいろとアドバイスをくれるでしょう。
*心の病院(精神科・神経科)を選ぶ時の注意事項は、先生が一人しかいない小さな病院よりも複数以上いる中規模の病院が良いと思います。精神科は特に患者と先生の相性が大切ですから、合わない場合は他の先生に変更できるところが良いですね。精神科医と臨床心理士がチームを組んでいて、最初は精神科医に診てもらい、その後は臨床心理士の時間をかけたカウンセリングを受けられるような病院もあります。大学病院などの大病院は常に込んでいて短時間の診療になりがちです。とにかく、できるだけ多くの情報を得て自分にあった先生や病院を見つけてください。

4,現実を見つめながら将来を考えること
 この時期(高校生・大学生)までどもり続けてきたわけですから、近い将来に、どもりがうそのようにすっきりと治るということは期待しない方が良いでしょう。
とりあえずでも、「いまどもっている自分」を「ほんとうの自分」と、心の中で認めてあげたうえで将来設計をしていくと無理がありません。

 徐々に「自分にとってのよい方向」に向かえばよい。まだ若いのだから何回もやり直しがきく。
これくらいのこころの柔軟性をもって、いまできることを着実にこなしていくのがよいと思います。
 このような生き方をしていくには、ひとりで良いので「どもりの悩みを隠すことなく語り合える親友」が必要です。たぶん、生涯を通しての友となるでしょう。

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