吃音(ある程度より重い)で、授業中にふるえている少年少女や、就職を控え不安でいっぱいの人の心をなえさせないために(再掲載一部改編:初掲載は2010年7月13日)

 日本人は、(自分もそうですが)、今でもなお、がんばることが好きです。努力家です。

 今の時期(時代)に書くと否定的に聞こえるかもしれませんが、人生においてがんばることは大切で、昨日の自分よりも今日の自分は少しでも前に進もうという気持ちがないと、多くの場合人生が停滞してしまうでしょう。
*例外が福祉の領域だと思います。心や体に重い障害を持っている人に障害を持っている分野で、できないことやできにくいことを承知の上でがんばることを求めることなどはもってのほかです。その人なりの得意分野で無理のないように社会参加ができるようにサポートすることは国や自治体、そして近くにいる人たちの使命です。

 さて、いつも書いているように、どもりには重いどもりと軽いどもりがあります。
 比較的軽いどもりの場合には、(そして、吃音者とサポートする側で相互に信頼関係がある場合は)、場合によってはあえて叱咤激励することにより「最初の一歩」を踏み出せるように手伝うことも考えられますが、重いどもりの場合にはそれが全く逆に作用することが多いでしょう。

 耐え難いようなどもりの悩みをを抱えながらも(こころの面、言語面において満足するサポートが得られないことが多い日本においては)、孤立無援の状態で、無理をしてでも学校に通ったり就職活動もせざるを得ないのが現状です。
*本当にしんどい場合には無理をしようとしても足が向かなくなりますが、そこまで我慢したら、たいていはうつ病などの心の病気にかかっています。心の病気になると多くの時間を病気との闘いのためにとられてしまいますし、回復には時間がかかります。

 いまは、世の中のいろいろな場面で「いきなりに限度を超えてしまって破滅的な結果に終わる場合」が多いようです。
 TVのニュースなどでは毎日のように家族や会社内の人間関係からの凄惨な殺人などが報道されますが、以前だったら破壊的な結果になる前にご近所や親戚など近くの人が助けてくれたりなどの最低限の「安全装置」がありましたが、いまは、それもなくなってきました。
 いきなり極端なことに至ってしまうのです。

 どもりについても、以前の日本では、学校を出ても重いどもりでなかなか就職ができないでいたら、ご近所や親戚の紹介で就職することもできたでしょうし、都市近郊でも、いわゆる会社員のほかにも農業に従事したり家業を継ぐなどの方法もあり、それで生きていくことができました。
 しかし、今ではそういう選択肢もなくなってきましたし、たとえ、あったとしても「ジリ貧」になってしまいます。食べていけないのです。

 家族や友人間のコミュニケーションの量が減り質も落ちているので、どもりで本当に困っている人の苦しみや孤独がまわりに伝わらないことが多く、精神的に追い詰められることが多いのではないかと思います。
*スマホや携帯での見かけ上のコミュニケーションの量は飛躍的に増えているでしょうが、たわいのないやりとりばかりで、他人にはなかなか言えないようなことをざっくばらんに話せるというレベルのコミュニケーションや人間関係が減っているのです。

 今このときにも「自殺」することばかり考えているような、深刻に悩んでいる吃音者がどれくらいいるでしょうか?
サポートする側は、そういう人ほど孤独になりやすいということを考えた上で動かなくてはいけません。

 ではどうすればよいでしょうか?
 吃音者がどもりのために自暴自棄になってしまうまえに、まわりの人ができることは・・・、
★身近にいるどもりを持っている人が、「もしかしたら、思い詰めていて自殺を考えるほど悩んでいるかもしれない」と考えてみること。
★進学、就職などの人生の節目においては、どもりを持っている人は100%悩んでいるという前提のもとに動くこと。

 まわりにいる人ができることは、「まずは、ひたすら吃音者の言葉を傾聴することにより信頼関係を築くこと」「そして共感すること」「(信頼関係を築いた上で)、どうすれば良いかを一緒に考えること」です。
*どもりを原因としたうつ病経験者でもある私としては、うつにも同じような考え方ができるのではないかと思います。
日本のうつ病に対する体制、短い診療時間と安易な薬の投与ではなかなか治らない。バブル崩壊以降、国民病といわれているうつ病に対する日本の取り組みの問題点がTV、新聞、雑誌等でたびたび取り上げられているにもかかわらず、一向に改善される気配すらないのには怒りすら覚えます。

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