吃音:本当の勝負は社会人になる頃からです。(再掲載一部改編:初掲載は07年10月25日:吃音は発達段階ごとのケアが必要)

★幼少期に肯定的な環境下で育つことの重要性
 どもりを持っている子供が家庭内でどもるたびに注意されたり言い直しをさせられたり、また、絶えず家族間のけんかが絶えないような「否定的な環境」で育てられた場合と、
おおらかで家庭内に笑いがある環境で、思う存分どもりがらでもしゃべることのできたり、今日学校でどもって困ったことをためらいなく話せる家庭環境で育った場合では、その後のどもりに対する耐性に大きな差がつくことは明らかです。

 どもりになる直接の原因(どもり出す原因)は親の育て方や家庭環境にはないということですが、
 劣悪な家庭環境に子供を置くと、発生したどもりを固定化させ悪化させることは明白です。どもりをもったお子さんを持つ親御さんは、その点を肝に銘じるべきです。
(腫れ物に触るように甘やかして育てるということではありません。)

★事情は常に変化します
 ある学校・ある職場の環境では比較的どもりの症状が出ずにスムーズに学業や仕事が遂行できたとしても、
転勤や転職、転校などで違う環境に入ったときに、これが同じ自分かと思うほどどもりの症状が悪化することがあります。

 学生ならばどもることで学校をクビになることはありませんが、
社会人の場合は、ことばを原因として仕事の遂行に大きな影響が出てくる(事実上仕事にならない状況)と、やめざるを得ない状態に追い詰められることは十分に考えられます。
 しかし、「どもりの具合が悪い」よりも「調子がよい」ほうが、仕事はもちろんのこと、日々の生活もすごしやすいのは間違いありません。

★本当の勝負は社会人になってから(なろうと準備する頃から)
 学生のうちにどもりの悩みを自分のこころのなかだけではもちきれなくなり、カウンセラーや精神科医にかかる。民間のどもり矯正所に通う。運が良ければ吃音に理解のある言語聴覚士にかかることができるかもしれません。
 また、どもりのセルフヘルプグループに参加するなどして、自分なりに心の整理ができたり、症状もそれなりに改善されたとしても、本当の勝負は社会人になる準備をする頃(就職活動)と社会人になってからなのです。

 社会人が職場で使う「ことば」は、自分で生きていくためのお金を稼ぐ仕事のためのものです。
「顧客との交渉等に使う道具としてのことば」ですから、言葉が持つ重要度が全く違うのです。「うまく、的確に、しゃべること」を要求されます。
*自社の利益確保のために「言いづらいこと」もあえて言わなければならないことがあるのが社会人です。

 でも、なぜか、不完全ながらも存在する公的なサポートは思春期以前で終わっています・・・・・・・・
*人の生き方は様々です。以前も何回か書いたのですが、かつては都市部で仕事に就くといっても、いわゆる会社員のほかに、魚屋さん、肉屋さん、パン屋さん、雑貨屋さん、近郊農業など様々な仕事に就くチャンスが多くありました。また、コミュニティーもしっかりしていてお互いで助け合う形ができていました。どもりを持っていても生きやすい社会は他の人にとっても生きやすい社会でしょう。こんな生き方や社会の復活を望みます。

★グループや集まりの雰囲気にのまれる危険性
 たまに行われる吃音者の集まりでどんなに盛り上がってみても、自宅に帰りいつもの環境にもどれば、どもりについてはひとりぼっちの状態になります。
*、もちろん、全くの孤独よりも悩みを打ち明けられる仲間がいる方が遙かに楽です。
 普段の環境(家庭・職場・学校)かその周辺に自分のどもりに対する理解者がひとりでもいればそれは大きな助けになりますが、いない場合にはとても辛いものです。
毎週のように集まれて心おきなく話せるサロン的なグループがあるか、もしもない場合には、ネットでつながりを確認できる環境を構築しておくだけでも大きく違ってきます。

★アドバイスやサポートする側は、どもりについての考え方を決めつけないこと
 どもりについては、いろいろな考えかたが存在します。
(医学的にどもりが解明されていず、手術や投薬、リハビリによるどもりの根治療法が存在しないからです。)

「どもりのままでも誠実に生きればよい」という考えや、「少しでもどもりを軽減してあげれば自信がついてさら良い方向に進む」、など、そのほかにもいろいろな考え方がありますが、
アドバイス・サポートする側は常に、「自分と違う考え方」・方法論」についても頭の中に入れて対応する必要があります。

 専門家(サポートする側)自身が、たとえ気が進まなくても、自分の考えとは違う多様な選択肢があることを公平かつ冷静にどもりで悩み困っている人に説明すべきです。
吃音者が、「この先生の考え方とは合わない」、「先生が間違っているのではないか?もっと良い方法があるのではないか?」などと思うことはあたりまえにあることですから、医療の方では少しずつ定着してきたセカンドオピニオン的な考え方をどもりの世界にも入れるべきです。
 これはとても重要なことです。

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