吃音:「自分の心のなかの想い」を素直に受け取ること(再掲載一部改編:初掲載2010年1月)

 今回は、「どもることによる劣等感や苦しさなどの感情」を無理して心のなかにしまわないことについて、
 また、まわりの人(親、学校の先生、どもりのセルフヘルプグループの仲間、言語聴覚士、精神科医、臨床心理士や大学の先生などの専門家)のアドバイスやお節介にも過度に反応せずに、
「いま悩んでいる自分の素直な気持ちこそを大切にすること」と
「自分の感性を信じ、自分らしく生きること」の大切さについて書きます。

★「いま悩んでいる自分の素直な心」を大切にする
 これは、「いま感じている自分の素直な心を押さえつけない」ということにもつながりますが、要は「自分に正直に生きる」ということです。

 ものごごろついた頃よりある程度以上の重いどもりを持って生きてきた子供にとっては、毎日が、ある意味においては「地獄」になることは、経験者でないとなかなか理解してもらえないでしょう。
 朝起きてすぐの家族との会話からはじまり、学校での友達や先生との挨拶、日直ならば授業の開始や終了の挨拶、
また、いろいろな場で「自分の名前」をいうこと、さらには、ただ「はい」と答えることなど・・・

 就職では、しゃべることの少ない(と思った)製造現場などの職種についたつもりが、
いざ働いてみたら、職場での朝の挨拶や報告、自分の名前や専門用語など言わなければならないことはたくさんあり困った、ということは往々にしてあります。

 営業職や事務職の場合には、
★訪問先にアポイントの電話をすること、
★訪問先の会社の受付にある電話で担当者を呼び出すこと、
★社内専用回線で会ったことのない他部門の社員と綿密な打ち合わせをすること
などはごく当たり前のこと(日常)です。
 特に民間会社の場合は、「無理を承知のお願い」つまり相手が嫌がることをあえてしていただくための交渉(電話、または直接)なども日常茶飯事です。

 このように日々の生活は「話すこと」により成り立っています。
 このあたりまえのことである「話すこと」が、どもることにより、意志がうまく伝えられない(結果として学業や仕事に大きな支障が生じること)か、
第三者が聞くとそれほどどもっていなくても、本人にとっては話すたび(話そうとするたび)に過大なストレスがかかるならば、その人にとっては生きている24時間がフルに辛い時間となります。(私もそうでした)

 このようなことが続くと、場合によっては「生きていたくない感情(死んで楽になりたい)」を常に懐に隠した状態で毎日を生きていることに我慢できなくなりそう・・・という方もいらっしゃるでしょう。

 そのような自分を、
「これではいけない」とか
「自分が甘いからうまくしゃべれないんだ」などと責めてみても、
どもりは良くなるどころかかえって悪化し心理的にも最悪の状態になります。
*家族からこどものころより、どもるたびに言い直しをさせられたり注意されていては、「どもることがいけないこと」、「自分の努力不足でどもりが治らないのだ」という感情が染みついてしまって自信を持てないネガティブな気持ちがベースの子供に成長してしまいます

 また、何かの会合に出て「どもったままで良いんだ」という専門家の意見を聞いたとしても、それを自分の心の中で素直に受けとれなければ、無理矢理自分に言い聞かせたとしてもほとんど意味のない言葉となります。
「いま自分が大きく悩んでいるのはあたりまえ。なぜならば、どもりという深刻な言語障害を持っているから・・・」
こんなあたりまえの感情には自己規制をかけないで、大いに嘆いてください。

 そのような感情は自分のこころの中だけで思っているのではなくて、誰かに「こぼす」ことができればそれだけでもだいぶ楽になります。
 それには、自分の感じていることをそのままを話すことができたり、ありのままを静かに聞いてくれる誰か「つまり親友」を確保することが大切です。(家族がそうであれば良いのですが、そうでない場合が多いようです)

 どもりに対して自分から何か具体的なアクションを起こすまえに、「自分が、いま、どもっているということ」を否定したり、
「いままでに自分のしてきたことをただ否定的に考えて自分を責めみて」も仕方がありません。
 とりあえずでも、いまの自分が置かれている状況を自分自身で認めてあげて、「少しでも軽くしよう、できれば治そうとして努力すること」、
または
「改善したり治すことをことさら求めるのではなくて、どもりながら自分らしく生きていこう」として、いろいろな情報を集めて、仲間で活動したり、専門家に相談に行くと良いのではないでしょうか。

 そのような考え方で生きていけば、劇的に変化はしないかもしれませんませんが、どもりの問題はゆっくりとしかし確実に「自分にとって」良い方向に進んでいくようになると思います。

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