吃音者が、しゃべる世界に飛び込む、飛び込もうとすること(再掲載一部改編:初掲載2010年3月16日)

 どもりなので「○○」できない、と、吃音者はよく言いますし、心の中では常にそういう思いと格闘しています。
私もかつてそうでしたし、今でもそういう部分は多々あります。
 現在では(傍から見れば)軽い吃音者となった私の半生は、この、どもりなので「○○」できない、という気持ちに翻弄されてきたように思います。

 さて、その「○○」の中には、就職活動、登校、出社、電話、授業中の発表、会議での説明、大勢の友達といるときに話す、寿司屋さんで握り寿司を個々に注文する、などの言葉が入ってくるのですが、多くの場合は「○○できない」のではなく、自分から「していない」のです。今回はそのことについて書きます。

 多くの場合、吃音者は「全くしゃべれない」のではありません。
 (どもりはその重さによって、人生(日常生活、仕事、他)に及ぼす影響が大きく違いますので、「仕事に支障を来す」、どころか、「日常生活を送る上で重大な支障が出るような重さのどもり」の方もいらっしゃれば、第三者が聞いて、ほとんどそれとわからないくらいの軽い吃音者までいます。また、小学生の頃はかなりどもっていても年齢とともにかなり軽減される場合がある、など、時間による変化も無視できません。)

 しかし、子供の頃より蓄積された「どもることの恥ずかしさ」、「どもることの罪悪感」、「しゃべることへの恐怖」により、実際のどもりの症状や重さ以上に低く自分の言葉を「自己評価」してしまい、家族の前ですら(家族の前だからなおさら)最小限の言葉しか発しなくなったりします。(家族間や友達との日常会話は言いにくい言葉を避けることができますので、「言葉を声に出してはなす」という行為から遠ざかってしまいます。)

 私もそうですが、最初の言葉がなかなか出てこないようなどもり(ブロッキング)の声の出し方を観察していると、顔を歪めながらも無理やり言葉を絞り出すように話す場合と、話すべき言葉を出すまえに関係ない言葉や音をいろいろと出してからはじめて本当に出したい言葉が出てくるような、「言葉を発する前の恐怖心」、それも、「長い年月を経て蓄積されてきた恐怖心」を強く感じます。

 どもりの原因はわかっていません。
★脳の中のどこの回路に故障があり、どもっているのか?
★どもりかたにより故障している回路の部位が違うのか?
 たとえ、それらがはっきりとわかったとしても、それを「投薬や脳の手術で治せるようになる」ことなどは、想像すらできませんね。
あまりにも今の人類の科学レベルからはかけ離れています。スタートレックのような宇宙船ができそうな27世紀頃にはなんとかなるかもしれませんが?・・・
*ここでいうどもりは、事故による脳損傷や、知的障害による「どもり様の症状」など、明らかに原因がわかっているようなものは除きます。
*2月20日に書きましたが、アメリカが計画している巨大プロジェクトの「脳活動マップ計画」の進展によっては事情が変わってくるかもしれません。

 しかし、「今の自分のどもりをもとの症状以上に悪化せしめている原因」は容易に想像がつきます。
必要以上に、自分で重くしないために「今までの自分の生き方を見直して意識的に変えていくこと」や、ある方法、例えば、「精神科医や臨床心理士による長期のカウンセリングにより自分の考え方の偏りの傾向知り変えていく」ことや、「自分の話し言葉を客観的に評価してもらい、話すスピード、言葉の句切り、などに明らかな無理がないかをチェックし、場合によっては、一定の言語訓練を行っていく」ことも必要でしょう。
*もしかしたら、かなりの成果があるかもしれません。(個人差が大きいと思います)

 このようなことをしながら、少しずつ「話す世界」に飛びこんでいくのです。
 もしも、悩んでいるのが学生さんだったら、試行錯誤できる時間的な余裕がたっぷりとありますのでチャンスですね。
アルバイトなどで、しゃべる仕事にどんどんチャレンジしてみるべきです。ボランティアでも良いと思います。

 ひとりで寂しい、勇気が出ないのであれば、グループをつくり、皆でいろいろな仕事やボランティアにチャレンジすればよいのです。定期的に報告し合い語りあえば力が出てきますね。
どもりには重さの違いもあれば、個々の性格もそれぞれ違います。ですから、仮に同じくらいに見える重さのどもりであっても、ある人にはできても、別の人にはどうしてもできない仕事もあるでしょう。
*お互いの違いを尊重することも大切です。

 ひとりで考えてばかりいないで実際に動いてみると、いろいろな変化が自分自身にもまわりにも少しずつ起きてきます。
その変化は、結果としてどもりを軽くする方に働くこともあるし、かえって悪化させるかもしれません。
 でも、動いてみることが必要だと思います。

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