吃音者が、自分の人生で自分なりの「立ち位置(生きる場所)」を見つけられるようになるには、どのようなサポート体制を構築していけばよいのだろうか?(再掲載一部改編:2008年9月24日)

 「ある程度以上の重さのどもりを持った人が自分の立ち位置を自分で見つけられるようになる」ためのサポートというのは、言い換えれば、
「どもりを持っている人が自分なりの生き方をできる場所を社会(家庭、地域社会、職場)のなかで見つけることができて、生活していけるだけのお金を自分で稼ぐことができ、それなりの生きがいをも持つことができる」ということです。
*どもりには第三者がほとんど気づかないようなごく軽いものから、しゃべる言葉のほとんどがどもるような重いものまであります。(客観的な症状が軽い=悩んでいないということでもありません)
ですから、その違いを十分に考慮して、吃音者自身の努力では自立した人生が送れない(就職できない、学校に通えない、など)場合には、福祉政策による国や自治体のバックアップが必要です。が、現状ではゼロに近いようです。

 そのためには、人生の方向性を決めていく大事な時期である思春期において、どもりの悩みのために勉強が手につかなくなったり、そのほかの、その年齢で経験すべきことができなくなってしまわないように、(もちろん本人の努力がまず第一に必要ですが)、必要にして十分なサポートをする体制を作ることが必要です。

 現在では「生涯発達」という言葉があるように、生まれてから死ぬまでが発達の時期であると考えられていますが、そのような哲学的な考え方とは別に、長い人生の準備段階として、「大いに勉強し、友人と語り合い、アクティブに活動すべき時期である青春時代」を、 どもりの悩みのために無為に過ごしてほしくないのです。

 そのためには、どもることにまつわる様々な悩み(心の悩み、症状そのものについての悩み、学校生活や家庭生活、職場においての人間関係の悩みなど広範囲にわたる悩み)に対応できるような、学識、臨床経験ともに豊富で人間的にも経験豊富なカウンセラーが身近にいてくれることが必要です。
相談相手には、訓練されたカウンセラーでなくても、身内をはじめ、何でも話せる友達やセルフヘルプグループの仲間などでも良いと思われるかもしれませんが、カウンセリングの訓練や心理学の知識がないと感情にまかせた言葉や個人の経験だけからの思い込みでアドバイスすることがあり、結果的にどもりで悩んでいる人を大きく傷つけてしまいがちです。

 特に身内の場合には、経済的環境や心理的環境を共有している場合が多いので、親近感がかえって災いし、家族間の関係を極端に悪くする原因となる場合もあります。ですから、友人や身内のほかに、利害関係のないプロの相談相手であるカウンセラーの存在というのは是非とも必要なものです。

 そのカウンセラーには、普通の学校の先生やそのOB、または、大学を出たての心理学士や修士を終了したばかりの若者などの「間に合わせ」ではない、学識はもちろん人生経験も豊富な「本当のプロフェッショナル」が必要です。
学校の先生や両親などの吃音者に対する対応に問題がある場合は、はっきりとそれを指摘でき、良い方向に進めるように強力に指導できるるだけの経験と知識、また人間的な力も必要でしょう。
それらのカウンセラーは子供の場合でも、必ずしも学校内にいてくれる必要はなく、学校帰りや会社帰りに、また、土曜や日曜に気軽に通えるような、「街中にあるクリニック」という位置づけで良いのではないかと思います。

 そういう意味では、街中にある精神科の病院や心療内科が、短時間のカウンセリングしか行なわず(行なえず)投薬に頼るような方法ではなくて、ひとりの患者に1時間くらいのカウンセリング時間を割いても経営が成り立つような保険制度にしたり、また、言語聴覚士が街中で独立開業しても食べていけるような制度にすることが必要です。
 また、臨床心理士も(必ずしも医師の管理下でなくとも活動できるような形で国家資格化し)独立してカウンセラーとして保険が適用されるような体制にする必要があります。(そうすることにより、国民病といわれているうつ病に対しても、効果的な対応ができるようになると思います。)

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