吃音で困っている人の現実を知ること(再掲載一部改編:2012年2月22日)

 いつも書いていますが、どもりの原因は未だにわかっていません。
 21世紀初頭の人類の科学レベルでは、「脳科学」などといっても幼稚なもので、脳の手術や投薬によって、またリハビリテーションによって確実にどもりを治すことなどはまさに夢物語です。
*うつ病も薬で治る時代になりましたなどという宣伝も見かけますが、一部の軽いものを除いては、現実は全く違います。社会的な背景がある心の病気なので、うつ病を経験し仕事を休職した方や退職した方。身近に鬱病の患者がいる方ならば身にしみておわかりのことと思います。時間をかけた丁寧な心理カウンセリング、家族の協力、職場の理解と会社の経済的余裕(休職者を抱えていける、その後もとの地位に復帰できる)などがあって、また場合によっては転職・転業をするなどの決断と家族のバックアップがあってはじめて良い方向に進んでいくものです。

 いま、学齢期以前に自然治癒せずに思春期以降にどもりを持ち越して、日常生活や学校生活、仕事に支障があるような重さや症状のかたで、その後、少しでも「どもりが良くなった」という方々は、(自分も含めてですが)、まさに自分で工夫したの対症療法の結果です。それも、我流や、昔から民間の無資格矯正所で流布されてきたような民間療法を自分なりにまた、どもりの仲間同志でアレンジして、さらには実生活で多くの苦労を積みながら、「結果的に軽くなった」という方々です。

 つまり、医学的にどのような理由で軽くなったかということがわからないので、いつまでたってもそれらは亜流としか存在できず、また、専門家といわれている人の知識や治療の実力が、(身をもって体験している吃音者の自分のどもりに関しての知識を凌駕できないために)、知識欲旺盛な吃音者から見透かされる場合すらあります。

★専門家といわれる人が(特に思春期以降のどもりは)治せないというか、扱えない(扱わない)現実、
★どもりは個人ごとに症状も、そのバックボーンも大きく違うという現実、
★吃音者もそれぞれ求めるものが違う、という現実
などを考えるときに専門家を含む第三者ができることはすべきことは、まずは、いまをできるだけ生きやすくなるお手伝いをすることではないでしょうか?

★学校や職場で、どもりを原因として陰湿ないじめを同級生や先生、同僚、上司から受けていないか?
★吃音を持った子供が家庭内で家族からネグレクトや言葉によるいじめを受けていないか?、
★学校を出てもどもりのために就職できず引きこもっていないか?
このような、どもりであるがための不都合にひとつケース毎に丁寧に対処していくこと。
また、場合よっては、少しでもなめらかに言葉が出てくるような言語訓練を個人ごとに工夫しながらおこなうこと。
かなり重いどもりの場合は、いたずらに言葉の流ちょう性を求めるのではなくて、まずは環境を整えて少しでも生きやすくして安心感を持ってもらえるようにすること。

 いま現実に困っている吃音者のまわりにいる人は、中途半端な理屈や精神論を吃音者に語らないで、現実に起きている問題を一つ一つ解決するためのお手伝いをすることからはじめる必要があります。

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