吃音 :学校をやめる、会社を辞めるという選択はアリか・・・

ある程度よりも重いどもりのために学業や仕事に大きな支障が出て、「学校をやめる」、「会社を辞める」ということは吃音者の間では良く聞かれることです。
*どもりを持つ人の家族が「学校をやめる、会社を辞める」と聞かされると、たいていは猛反対します。「なんでやめるんだ!」という話しとなり、一生懸命に「どもりで苦しんでいる」と説明したとしても、たいていは心配してくれるどころか「その程度のことでやめるとは考え方が甘い」と怒られるでしょう。残念なことですが、家族でさえも、どもりという障害についての認識はその程度です。

私が大卒後に就職できずに民間の無資格どもり矯正所に通っていた80年代末ごろには、どもるために学校をやめたといっても多くは専門学校や大学でしたが、今はどうでしょうか?

昔とはレベルのちがう陰湿ないじめにより、小中学校においても、「やめる」ところまではいかなくても、「不登校」、そして「引きこもり」にまで至っているどもりを持った子供は多いのではないでしょうか?(むしろこちらの方が深刻かも知れません)
そして、そのような例があったとしても、学校の先生はもちろん、スクールカウンセラー、精神科医に相談してもお茶を濁すようなアドバイスしかもらえないというのが実態だと思います。
*どもりに精通していない人が中途半端なアドバイスをすれば、かえって状況が悪化することさえあります。

会社の場合においては・・・
例えば、自力で(今のどもりの状態で、実力で入れるところに入るということ)就職せずに、いわゆる「コネ」で就職した場合ですが、
自分の言語能力(どもりの重さの程度と職場で要求される話し言葉によるコミュニケーション能力の差異という意味において)が低いのに、企業の営業系や事務系に入ってしまった場合は、それはもう悲劇です。
有力者のコネで入った場合は、会社側もなかなか文句が言えませんので本人そして会社側にとって二重の悲劇にもなりかねません。
たとえ実力で入ったとしても、面接時に比較的言葉の調子が良くて運良く(運悪く)入った場合には、入ってからの苦労がたいへんなものとなります。

人間の心理は複雑で、どもりの症状や重さも時とともに変化しますし、また、吃音者を取り巻くまわりの状況もいろいろと変わってきますから、上記のふたつのような場合においても、結果的に良い方向に進むということもあります。
しかし、そのうまくいった例を持って、「〇〇さんはどもりを持っていながらも頑張っている・・・」などという言葉は、いま困っている人を追い詰めるだけであることはおわかりいただけると思います。

今の厳しい社会状況を考えたときに、学校においても、職場においても・・・、
陰湿ないじめにあっても有効な解決法がない場合、また、明らかに自分の言語能力ではいまの環境では生きていけないと分かった場合には、転校する、転職するということを「戦略的」に考えるべきです。
*戦略的というのは、追い込まれるようなやめ方をしないで自分の決断でやめると言うことです。
いまという時代背景を考えると、いつまでも我慢しても良いことはないでしょう。

しかし、バックグラウンドとして・・・
家族のどもりへの理解があること(子供の場合はもちろん社会人の場合も)と、しばらくの間無職でいられるかアルバイトでしのいでいけるということ(社会人の場合)とがあります。
これはたいへんに重要なことです。

学校においては、フリースクールという選択肢や、大検という選択肢もあるでしょう。また通信制の学校もありますね。
仕事においては、体を動かす農林水産業への転業、収入は大きく減っても都会から田舎へのアイ・ターン、など大胆な生き方の変更も十分にありです。
*いわゆる都会でのサラリーマンがもはや安定職でないことは、おわかりのことと思います。

そしてこれらの判断をするためにも、人生の危機管理のためにも・・・、
普段からなんでも気軽に相談できるような、こころのアドバイザー(ホームドクター)としての、
臨床心理士や精神科医、言語聴覚士を見つけておくことが必要です。
また、なんでも話し合える親友をひとりで良いので見つけておくことも必要です。
*どもりのセルフヘルプグループへの参加も良いでしょう。

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