吃音:自分(達)で工夫して(ことばの流暢性の向上を目指して)言語訓練などをすること

今回は、「どもりを軽くするために言語訓練をする」という・・・
こどもの頃からどもりで悩んでいる人には念願の、でも、否定的な考えを持つ人も多いことについて書いてみます。

*高校生以上をターゲットとして書きます。
*書き始めるにあたって、いつも書いていることですが、どもりの重さや症状の違いについて書いておきます。ひとことで「どもり」といっても重さや症状は実に様々です。日常生活にはほとんど影響のないごく軽いものから、人生に大きな悪影響を与えるものまであります。第三者から見てそれほど重くないと思われるどもりを持っている場合でも吃音者本人は自殺を考えるほど悩んでいる場合すらあります。また、それぞれのどもりを自分としてどのようにとらえるかは本人次第であり、ある考え方を押しつけられるべきものではありません。これが大前提です。


なぜ「否定的な考えを持つ人も多い」のか?
★日本では極めて限定的ながら明治期から組織的な吃音矯正が始まっていたようですが、一部を除いては吃音矯正のメインストリームは吃音矯正所という名前の民間無資格施設でした。その施設の多くは、自身がどもりで苦労した人により運営されてきました。
そこでは主に経験則による取り組みがなされてきました。悪く言えば「思いつき」の方法によると言えるでしょう。しかし、吃音者が通える施設が全くないのでできた施設ですから一方的に非難することはできません。
その問題点としては、実際には「治らない人」「良くならない人」が圧倒的に多かったのに、ほんとうのことを発表し公開しなかったので、どもりを治すことを目的とする言語訓練に対する否定的な考えの根源になっています。

*矯正所に通う人はもともとしゃべりの苦手な吃音者で、また、悩みに悩んで矯正所に通っていて弱気になっていることもあり、不満や疑問はあっても矯正所側にクレームをつけることをしない(できない)ということが、民間の矯正所が長い間続いてきた根底にあるのではないでしょうか? また、そこで治った・良くなったという人がシンパとなって、「治らない・良くならないというクレームをつけようとする人」を結果として押さえるような動きをしたので、良くならない・治らないなどの疑問を持つ人は次第に通わなくなってしまい、次にまた実情を知らない新しい人が入ってくるというパターンをくり返してきました。(この頃よく言われる「ブラック企業」に似ていますね)

*戦後も連綿と続いてきた、吃音者が教室に集まって集団で呼吸練習をするような伝統的な吃音矯正所は、少なくとも東京圏では、ほぼ姿を消したのではないでしょうか? 代わって出てきたのは、インターネット上で宣伝されている違う形での吃音矯正(個人指導が多いようで仲間ができにくい)やセミナー形式のものと形を変えています。

★同じ吃音者間でも「重さの違い」による微妙な問題がある。
かつての民間矯正所で行われていた「方法」で軽くなり、いままでできなかった就職ができたという人が少なからずいます。
その多くは、第三者が客観的に見た場合には、症状や重さも大きくは変わっていないことが多いのですが、「そこで知り合った同じ悩みを持つ仲間とふれあって大きくこころが癒やされて元気を取り戻し、場合によっては仲間同志で工夫して練習をするなど試行錯誤をくり返し、自分で生きる自信をつけて就職ができた」というのが本当のところでしょう。(結果として、どもりの症状が軽くなる場合もあるでしょう。)
しかし、重いどもりを持つ人は、これが吃音者の集まりかと思うほどにしゃべる人がいる矯正所の仲間に溶け込むことができずに孤立してしまう場合があります。そこでは「軽くなった」と感じることができないばかりか、かえって孤立感を深めてしまう場合すらあるので、このあたりことからも、「言語訓練をする」ということに否定的な考えが出てくるのかも知れません。

*いまのネット上で宣伝されている個人毎の指導による吃音矯正やセミナー形式のものの場合は、かつての民間矯正所のいちばんのメリットであった「同じ悩みを持つ吃音者同志が知り合い自由に話し合い試行錯誤する」ということできなくなっているのではないでしょうか?

★専門家といわれる言語聴覚士やことばの教室の先生などが接する吃音者(特に思春期以降)のどもりを、治せない、なかなか軽くできない・・・、そもそもどう扱って良いか分からない(特に思春期以降の吃音)という臨床にあたる人の実情が、吃音への積極的な取り組みから遠ざかるように働いているのではないでしょうか?

*「脳科学の発達」などとテレビなどではもてはやされてはいますが、21世紀初頭の科学技術では、ことばを発するメカニズムすら詳細には分かりません。脳の領域に踏み込んでどもりを治す手術、または確実に治すためのリハビリテーションは、まだ「夢のまた夢」であることは、専門家ではなくても分かっていることです。

話を戻します。
こういう現状でも、あえて「どもりを軽くしよう・治そう」と考えてトライする人がいるのはなぜでしょうか?
簡単ですね、それは生きていくためであり、もっというと、「働いてお金をもらい自分の力で生きていくため」です。
小・中学生や高校生でいえば、授業中に質問されても答えられない(なかなか答えられない)、指名されても声を出して本を読めない(うまく読めない)、電話も(うまく)できない、名前が言えない、・・・こんな状態で困っていて、というか、みじめになってきてどうしようもないからでしょう。(いまの学校では、格好のいじめの標的になり得てしまいます。)
自分の努力の外側にあるように思える、「どもりであるがために○○ができないという現実」を、でも、なんとか変えたいという吃音者の切なる願い、素直な考えが無くならない限り、「なんとかしたい、治したい、軽くしたい」と思いトライする人はなくならないと思います。(このあたりも、どもりの重さの違いによる心持ちの違いは大きいと思います。)
また、このような試行錯誤をすることが、よく言われる「吃音の受容(自分がどもっていることを受け入れること)」につながっていく場合もあると思います。


さて、本題です。
 今回のテーマの「ことばの流暢性をあげる」ためには、自分を「良い意味で追い込んでいく」必要があります。
しかし、それは、自分の心を狭い迷路のようなところに追い込んでしまい人生をさらに苦しいものとしたり、心の病気になり苦しい思いをする危険性すらありますので十分な注意が必要です。
自分ひとりで思いつきのように行うのではなくて、「危機管理」をしっかりとしながら行う必要があります。

★他の病気による吃音に似た症状ではないかチェックする?
これは明らかに医師の分野です。交通事故や脳の病気、発達障害による吃音に似た症状が出ている場合もあるでしょう。

★家族の理解を求める
自分がどもりで悩んでいて学校に通えなくなりそうだったり、クラスでいじめを受けている。
どもりのために就職活動に支障が出ていることなど、どもりで悩んでいる・困っていることを正直に家族に伝え理解と支援を求めることです。
・・・と言っても、現実には、理解してくれなかったり無関心な場合が多いのが現実です。
*しかし、理解してくれなくても、話しておく、と言うことは重要なことです。
*なかには、「どもりくらいで甘えたことを言っている、世の中にはもっと苦労している人がいる」などと説教されてしまうようなとんでもない家庭もあります。

★こころの専門家と(さらに、できればことばの専門家)を見つけておいて、いつでも相談できる体制を作っておく
これから、「無理をしていく」わけですから、苦しいこともあるでしょうし結果的にうまくいかないことも多々あると思います。必要以上に落ち込んだりしないように、こころの専門家を確保しておきましょう。

★なんでも話せる少数のどもり仲間でグループを作りトライする
どうしても見つからない場合を除いて、同じどもりの悩みを持つできれば同じくらいの年齢の同じような境遇のメンバーでグループを作りトライします。
仲間をみつけるのはネット上でもできるでしょうが、やはり会ってみてかなり話し込んだ上で進めていかないと危険ですね。どもりのセルフヘルプグループに参加してみて見つけるというのも良い方法だと思います。

★ネットをフルに使う
グループのホームページを作って活動状況を世界中に流せば、共感した人が新たに加わりたいと申し込んで来るかも知れませんし、世界中の著名な吃音を研究学者に直接連絡を取ることも可能です。

★できるだけプラクティカルに考える(現実的でないものは省いていく)
活動を進めていくなかで、観念論は極力廃して、論理的、現実的に進めていくと良いでしょう。もちろん活動の背景には温かなlこころが必要ですね。

次回は、活動の詳細について書く予定です。(??)
*これも、いままで書いてきたことと同じようなことにはなると思います。例えば、グループ間での電話練習、部屋を借りてのサイコドラマなど・・・

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