吃音児のこころを解放してあげること

★どもりを持ったこどもにとっての小学生のころの重要性
吃音は2~3歳頃にはじまることが多いので、多くの場合、小学校に入った時点では既にどもっています。
個人差はかなりあるようですが、小学校3年くらいには自分のどもりを強烈に意識しはじめてどもることに劣等感や恥ずかしさを感じ、いまの学校の状況では陰湿ないじめを受けることもまれなことではないでしょう
*どもりは、その重さや症状の違いにより、人生に与える悪影響は天と地ほどに差があります。

具体的に言えば
▲授業中に指名されて発言するときにどもってしまう。
*最初のことばがなかなか出てこないか、同じ音の繰り返しか、言いたい言葉を発する前に意味のない声(音)を出さないと話すことができない。このときの「恥ずかしさ・敗北感・挫折感」は経験者のみでしか共有することができないでしょう。
▲指名されて教科書を読むときにもどもってしまいすらすらと読めない。
*小学生のころの私が「死んで楽になりたい」と思ったのはこんなときと、明日教科書を読むことが分かっている前の晩でした。
▲先生や友達から名前を聞かれてもどもってしまい、なかなか最初の声が出てこない。
多くの場合、どもりのために学校で苦労していること、いじめを受けていることを、家に帰ってから親御さんに話すことはないでしょう。


★こどもにヘンな我慢をさせない工夫を

人生はいろいろと壁がありそれを乗り越えていくことによって成長していきます。ある程度の我慢は必要です。
ここでいう「へんな我慢をさせない」ということは、そういう皆が乗り越えていくべきことで甘やかしなさい!ということではなくて、どもりという障害によりできないことを、無理を強いてさせようとしたり、どもりのためにできないことを責めることをしない、というあたりまえのことです。

どもりを持ったお子さんをお持ちの親御さんは、自分でどもりの疑似体験をしてみると良いと思います。電話をするときも人と話をするときも買い物をするときも、最初の言葉を発する前に5秒以上時間をおいて絞り出すように話したり、また、「わわわたしは、す、す、すずきです」というようなどもり特有な症状で、半日以上、コミュニケーションをとってみてください。
どもりを持ったお子さんは24時間そういうなかで生きているのです。


★一生引きずるようなこころの傷を残さないように、お子さんの心を解放してあげて、バックアップしてあげること
 小学校に入ってからも続いているある程度以上の重さのどもりは、この先も完全には治らないという前提で考えるのが、お子さんの人生の危機管理上良いと思います。
*親御さんがこどものどもりを心配して小児科医に聞くと、「そのうち治りますからあまり神経質にならずにしてください」とアドバイスされることが未だにあるようです。とんでもないことです。
児童精神科医や言語聴覚士を紹介してくれるのがあたりまえと思いますが、私の頃(昭和40年代前半)ならともかく、いまでもそういうことがあると聞き驚いています。

学校のなかでは、親御さんがつきっきりで監視していない限り、笑われたり、ときにはいじめられたりすることから完全に逃れることはできません。
ですから、せめて家庭のなかでは・・・
♥お子さんが自由にどもることができる、
♥そんなお子さんを自由にどもらせてあげることができる家庭の雰囲気、
♥学校でどもって恥ずかしい思いをしたことを家族の前で話せる雰囲気の家庭
を作ることでお子さんのこころを解放してあげてください。

どもっているお子さんの症状がどうしても心配だったら、親子で大きな声で歌を歌ったり、大きな声で本を一緒に読むことなどをしてみたらどうでしょうか?

あとは、できるだけ正確な情報の収集に努めてください。
安心して相談できる言語聴覚士、臨床心理士(臨床発達心理士)、精神科医を見つけてホームドクターとしてください。
どもりのセルフヘルプグループや吃音を研究している大学の先生が行うことのある相談会に参加したり、どもりを持ったこどものためのキャンプなどに親子で参加するのも良いと思います。
*お子さんが学校の「ことばの教室」に通っている場合には、学校側から多少煙たがられても授業の内容やサポートのクォリティをチェックした方が良いと思います。(学校によって、普通の先生が担当している場合もあれば言語聴覚士などの専門家が担当している場合もあり、いろいろなようです。)せっかく受けているサポートですから、お子さんにとっても、また、今後利用される他のお子さんにとっても良いものになればと思います。

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