吃音と現在の雇用状況(再掲載一部改編:2008年12月8日)

いまさらですが、日本の雇用は、90年代の終わり頃からいまに至るまで極めて不安定、というよりも、それ以前とは様相が全く変わってしまったという状況です。
背景には、世界的な経済の悪化、日本の経済構造の大きな変化があることはもちろんですが、それ以上に、ここ20年以上にわたり日本の政治が極めて劣化していて無策なのが響いているのでしょう。

このブログのテーマである「ある程度以上の重さのどもりを持っている人」にとっては、仕事をして稼いで生きていくことを考えたときに、よりシビアな現実に対峙しなければならない時代になりました。

90年代からの急激なリストラを経て選ばれた人しか正社員として採用されないような二極化が進んでいるいま、第三者からみてはっきりわかるくらいの重さの「どもり」を持っている人が学卒後に就職したり転職することは、どもりでない人の就職と比べて遙かに厳しいものとなっているし、今後はより厳しくなるでしょう。

どんなにきれい事を並べてみても、人は、働くことでお金を稼ぎそのお金で毎日を生きていていることは否定のしようがありません。
そして、この不況下では、個人だけではなく会社間でも生き残りをかけた熾烈な競争が繰り広げられているので、状況はますます厳しくなっています。

厳しい言い方ですが、現実には会社側からみて「使える人間、より稼ぐ人間、何でも器用にこなす人間」でなければ仕事の社会では生き残れません。
なぜならば、公務員の世界をのぞいて、一般の民間の仕事では、自分たちで稼いだお金で会社を維持し社員に給与を払っているからです。

いまの日本で人が生きていくには、どんなに少なくても月20万円くらいは稼がないと、家賃を払い、食事をして、洋服を買い、光熱費を払い・・・・・という生活ができません。
しかし現実にはそう言う最低限の収入も得られない状況がいくらでもあることを考えなくてはいけません。
「ネットカフェ難民」などという言葉がでてからだいぶ時間がたちましたが、最近までオフィスで働いていた方が、リストラや会社内でのいじめによりホームレス化することも「とても希」なことではなくなっています。都会を歩いていてちょっと注意していると、そういう方が目に入ってきます。

そのような客観状況下で・・・・・
仕事に支障が出るくらいの重さのどもり、つまり、会話や電話で自分や会社の名前が言えなかったり相手との会話が円滑にできないくらいのどもりを持っていながら、生活に十分な金額を稼ぐにはどれほどの苦労があるでしょうか?
定期的にある程度以上の金額が稼げる職に就ければ良いのですが、そうでない方がどれくらいの数いらっしゃるのでしょうか?

私たちは、このようなことに対して有効な処方箋がないもどかしさを感じながらいまを生きています。
吃音者をサポートする体制は、私が高校生として自殺を考えながらもなんとか生きていた70年代末や就職ができずに引きこもっていた80年代後半とほとんど変わっていないのです。
私自身もかつて、大学卒業後も就職できずにしばらく引きこもりのような生活をした後になんとか立ち直り職安に通い就職した経験があるだけに、やりきれません。(ある程度より重い吃音者の就職の状況は、私の頃(80年代末から90年代前半くらい)よりも遙かに厳しくなっています。)

どもりは、その症状の重さによって、生活や仕事、また、人生に与える影響がまるで違いますから、(それほど重くはない)私でさえこうなのですから、日常生活のなかで常にどもっているくらいの方の場合のご苦労は筆舌に尽くしがたいものです。
*自力で就職がなかなかできないくらいの(日常生活のコミュニケーションに支障が出るような重さの)どもりは「重大な言語障害」としてしっかりと法律で位置づけて、国や自治体の責任で福祉政策として物心両面からしっかりとサポートする必要があることはいうまでもありません。

80年代末から、小規模なセルフヘルプグループで活動してきた頃の仲間との20年以上にわたる交流のなかでも、どもることで会社を辞めざるを得なかったり仕事が不安定になる人、また、どもることによるストレスがうつ病などのこころの病気として、また、体のほかの部分に出てしまう人、など、いろいろな意味でメンバーの人生に大きな悪影響を与えています。
残念ながら「どもりで良かった」などと言える状況ではまったくないのが本当のところです。
*仲間うちで話すのですが、「バブル崩壊前の就職難でなかった頃からどもりのために就職で苦労したり、家族にさえもどもりの苦悩を理解してもらえず地団駄を踏んだり、学校や会社に行けなくなり引きこもるなどいろいろと経験しながらもなんとか死なずに生き続けてきた我々は、知らず知らずのうちに「たくましさを、強さ」を身につけているので、「そう簡単にはへこたれない・・・」と語り合っています。

参考: 吃音:「学卒後は皆、サラリーマンへ」という考え方は・・・(再掲載一部改編:2008年10月)

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