雇用状況の変化と吃音者(再掲載一部改編:2006年5月14日)

中高年以上の吃音(克服)体験談を直接聞いたりWebでみると、
「とりあえず入社できて」、「そこでいろいろと苦労しながら・・・・」、というところから始まることが多いようです。
*、言うまでもありませんが、20年前30年前と今とでは時代背景・経済環境が決定的に違い、それらの話は残念ながらあまり役に立ちません。

新聞やTVの報道では景気の回復が盛んに伝えられていますが(2006年時)、一部の大企業や業界が恩恵を受けていにすぎないことは皆さんが実感されているところでしょう。
その景気回復でさえ、大幅なリストラや中国景気に頼るものであことは明白であり不安定なものです。
*2012年9月現在、「中国リスク」で雇用がさらに不安定になりそうで心配です。

現在の若い吃音者は、まず、正社員になるという大きな壁にあたります。
バブル崩壊、大幅なリストラ、を経ての社員採用である現在、 どもりで電話もろくに出来ない、名前も言えないような人の正社員としての採用は、よほど強力なコネがあるか、言葉の欠点を補って余りあるほどの専門性を持った人間でない限り極めて厳しいといわざるを得ません。 今の企業(日本)には余裕がないのです。

多くのどもりの人が苦手な電話は、実際に仕事上で「かけまくって」、 最初はしどろもどろから始まって徐々になれてくるものです。その練習の場がなかなか与えられません。
私が中途採用ながらそれなりの会社に就職できて、どもりながらも営業として働かせてもらえ徐々に自信を付けることが出来たのは、「正社員としてそれなりの会社に就職できてこそ」だったのです。

現在はそのあたりの事情が決定的に違っています。
★学校を出ても就職できなかったどもりの若者、また、どもりで何年もフリーターとして働いている人が多い。
★卒業後きちんと入社したが、言葉の問題でやめることとなってしまってそれ以降はなかなか社会復帰できない人が多い。
このあたりが「どもり」の問題の本質ではないでしょうか?

これらの問題に対応するような公的な援助、
たとえば、「どもりを持っている人が初めての就職をするときや、いちどやめた後に社会復帰に向けて実践的な言語訓練をすること、また、どもることと、どもることにより起きる様々な問題による不安をできるだけ少なくするための心理カウンセリング」はありません。
*職安で相談員に「私はどもりなのでなるべく話さないでよい仕事を紹介してください」と頼めばそれなりに対応はしてくれるとは思いますが・・・

そのような現実を踏まえた上でいま我々ができることは(実は、我々や我々の先輩が細々と自分達で工夫して行ってきたことですが・・・)、
吃音者の仲間を募り、 ここ数年くらいの間にメンバーと同じくらいの重さのどもりを持ちながらも正社員として就職できて活躍している、できれば同じくらいの年齢の方にアドバイザーになってもらい、どもりで悩んでいる人が就職に挑めるような実践的かつ効果的な言語訓練を行います。また、 どもりによって挫折しそう、挫折してしまった人たちの心理的な援助などを行うこともできます。
*仲間内でサークル活動として行うことですしカウンセリングの教育なども受けていない素人の集まりですから、互いに傷つけ合わないように細心の注意を払いましょう。たまには言語聴覚士や臨床心理士などの専門家にきてもらいアドバイスしてもらうとなお良いですね。

参考:お互いに信頼できる吃音者が集まってできること(2012年5月13日)

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