いま吃音で悩んでいる人とサポートする側の距離感

日常生活のコミュニケーションにおいて支障が出るくらいの重さのどもりを持っていて悩んでいる人と、そういう人たちをサポートする側(親、学校の先生、言語聴覚士、臨床心理士、精神科医など)との意識(危機感、切迫感)の差について書いてみます。

どのような問題においても当事者と当事者を取り巻く人との間には意識の差があります。
極端な例が、いま改めて問題が表面化している子供のいじめの問題です。
いじめられている子供の切迫感と、学校側(先生・教育委員会)の意識のずれは、天と地の差以上のものですが、
それを深刻な問題としてとらえて組織から根本的に変えていこうという発言すらない総理を見ていると情けなくというか切なくさえ感じてしまいます。

話を戻します。
どもりについても、昔から、当事者とサポートする側の距離感はありました。
私は、インターネットが一般化する1990年代後半より前にどもりの悩みのピークを迎えていました。(大卒後の就職です)

戦前・そして戦後のすぐくらいから連綿と続いていた民間のどもり矯正所に通った最後の頃の世代としてもいろいろと経験してきました。

80年代末くらいまではインターネットは一般化しておらず、どもりに悩んだ若者がどこに救いを求めたかというと、街なかの電信柱の貼り紙、週刊誌や漫画雑誌に載っていた小さな宣伝記事に載った、民間の無資格どもり矯正所の怪しげな宣伝です。

あの怪しい宣伝をみて、そこに最低でも数万円~数十万円(なかには百万円単位でお金をかけた方もいたらしい)という高額な料金を払って通うことは、よほど精神的に追い詰められてないとないでしょうが、当時は多くの吃音者が通ったのです。(私もそのひとりです)
*いまではインターネットを使って巧みに宣伝されている新しい形のどもり矯正(のようなもの)が氾濫しています。敷居が低くなった分、昔以上に要注意です。

その矯正所では、あらゆるどもり矯正がそうなように、通い出した当初は通い出したという安心感からか、少し軽くなったように思います。
そこで、矯正所の「先生」に、「2回目ですが少し良くなったような気がします!」などと言ってしまうと、もう、その人は良くなった人のグループにカウントされてしまいます。
民間のどもり矯正所は生活のかかった商売ですから、できるだけ多くの人を集めてこその仕事です。
もしも、どもりで悩んで来る人の立場になってひとりひとり丁寧に対応しクライアントの話に耳を傾けて対応し・・・などとやっていると、現実にはなかなか良くならないという圧倒的多数のケースを認めざるを得なくなり、商売が成り立たなくなります。

矯正所をはじめた頃は純粋にどもりで困っている人のために・・・という気持ちだったとしても、自分や従業員の生活のためにはそういうやり方をせざるを得なくなるでしょう。
これが民間矯正所の限界なのです。

一方、公的な病院や民間の病院などでは、
どもりで悩んでいる人を積極的に受け入れて家族をも含めて丁寧にカウンセリングし、そして必要に応じて言語治療や、心理的なカウンセリングを行っているかというと、ごく一部を除いて行われていません。事実上ないといって良いでしょう。
*医療保険の制度から吃音者に対して丁寧に対応するほど病院の赤字は増えていきます。同じことがうつ病などのこころの病気についても言えます。

また、小中学生に対して対して行われている「ことばの教室」も、どれくらいのクオリティー(サポート体制)でどもりを持った子供がサポートされているか分かりません。
地域差なく均一に手厚いサポートがされているとは思えませんので、このあたりの全国規模の調査と抜本的な見直しが必要と思われます。
*言語聴覚士の資格を持っていない「普通の先生」がことばの教室を担当していることがごく当たり前に行われているようです。いわゆる発達障害の子供を受け入れているようなので、専門分野を学び高度に訓練された各専門家が受け持つのがあたりまえと思うのですが・・・・。教員免許のありなしなどは子供本位に考えれば関係ないはずなのに、どこからか変な力が働いているのか???よく分かりません。

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いま吃音で悩んでいる人とサポートする側の距離感」への3件のフィードバック

  1. 管理人です。
    報告していただいてありがとうございます。発表お疲れ様でした。
    やはりそれなりの人数の人の前で発表するときには、(吃音者でなくても)、原稿の用意はもとより、リハーサルも必要と思います。

    言友会(私は直接関わったことはありません)というのは名前こそ同じですが、自由に活動している組織らしく、地域によりかなり活動内容(目的、考え方)に違いがあるようですね。

    吃音の相談や治療(言語訓練、心理カウンセリング)については、病院できちんと訓練された専門家が行うようにならないといけません。日本中どこにいても同じようなレベルのサービスが受けられなければそれはやっていないことと同じと思います。

    私のブログの「管理人のお気に入りのブログ」のところの「言葉の不思議-言語発達と障害」のアメリカ在住のスピーチセラピストのkayさんの書き込みを見ていると日本とアメリカの差を実感できます。

    また何かありましたら書き込んでください。ブログも読ませていただきます。

  2. 北海道言友会は異端らしい(吃音者よりことばの教室の先生やST、研究者が主)ですが、今回の反省会でも他地域(特に大阪)との違い、批判を聞きました。ここ数年の能科学的アプローチ(吃音は脳障害)で6歳未満までの言語練習ならば高確率で吃音は改善するのに日本では動きがにぶいと。

    小学校3年以上だともう吃音は固着してるので今までどおりってなるのですがね。

    自分のブログの吃音話も貼ります。暇な時にでも。

  3. 違う名前で以前コメント書いた者です。
    8/25の研修会無事終わりました。今回マスコミ取材はありませんでしたが、内容を絞り込んだ中で参加者70人程度と予想より多かったです。
    研修会の案内アドレス貼っておきます。
    自分は20分もらいましたが、他の先生方が伸びたので10分に纏めようとしたのですが余計にハラホロヒレハレな状態になりました。事前に原稿読みしないとダメだなと改めて反省しました。ま「隠れ吃音ってこんな感じ」ってサンプルになれたかなとポジティブシンキング。
    次回の企画として「吃音保護者へのサポート」「中高校生吃音者へのテクニック伝授&吃音成人者の体験談披露」を予定しています。集まればなんですけどね。

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