吃音:仕事の(生きていく)ためにことばの流暢性を保つ、良くしていくことについて

どもりには重さや症状の違いがあります。
その違いにより、「どもり、吃音者」のイメージは大きく異なります。

どもりでない人がイメージする「どもり、吃音者」というのは・・・
「わわわたしは・・・すすスズキです」というような形です。
テレビでもたまに放映される山下清画伯のようなしゃべり方だと思います。
悲劇的というよりも滑稽なイメージ、おちょこちょい、落ち着きがない、というイメージがあるのではないでしょうか?

しかし、ある程度以上の重さのどもりが吃音者の人生に与える影響は、どもりでない方では想像もできないような大きなものです。
日常生活の会話や電話によるコミュニケーションにはっきりとした支障が出るくらいのどもりがある場合には、学校生活、就職、仕事などの人生全般に、大きな悪影響がでます。

よく言われること・・・
「面接では人柄を見るのでどもったところで大丈夫・・・」
公立高校などの入試の面接ではそうかもしれません。

しかし、就職するための面接は違います。条件付きです。
どもるとしても、仕事が遂行できるくらいのどもりの重さであること。
事務や営業職の面接で、自分の名前が言えない、ことばが出てくるまで数秒以上かかる、顔を引きつらせてかつ大きくつっかえながらでないとことばが出てこない、という状態では採用したくてもできません。
たとえ誰かのコネで入ったとしても、「この人にはどこで働いてもらおうか?」ということになってしまいます。(このあたりのことは自分の経験を踏まえてここで何回も書いています。)
何よりも入ってから本人が苦労しまくりの日々を送ることになるでしょう。
*日常生活の何気ない会話ではほとんどどもらなくて、まわりの人からは「あの人はたまにちょっとどもるね」くらいにしか思われていない人でも、「電話をかける、電話で自分の名前を言う、学校での発表、学校でひとりで本を音読み、仕事の契約がかかったビジネストーク、仕事上のクレームに対処するためのビジネストーク」では、全く別人のように重い吃音が出ることは良くあることです。

ですから、吃音を持っている人は「吃音の症状や重さ」を冷静に見つめてから、無理のない方向で就職することが必要です。
もしも希望する職種がしゃべりで勝負するものでしたら、徐々にそちらの方向に向けて階段を上るように転職していけば良いでしょう。

★今のままのことばの状態で無理のない仕事について生きていく
★ひとつ上のことばの流暢性を要求される仕事にチャレンジしていく
どちらの生き方も正解で優劣のつけようがありません。本人の人生観も絡んできます。

しかし、どもりで問題なのは、
★ことばの面で無理をしないで安定的に生きたいと思っている方が、「いまの重さ」よりもよりもさらに重いどもりとなってしまい、追い詰められる場合があること、
★努力して努力して「軽くなった」と思っていたどもりが、ある日急に(または、徐々に)悪化し始めて、いまの仕事が遂行できなくなってきた、
ということがあたりまえのようにあるということなのです。

このブログでは、吃音についてプラクティカルに考えたいので、「いまの流暢性を保つ」、「流暢性をUPさせる」ことを考えます。
(*日常生活の何気ない会話においても常に大きくどもるような重いどもりの場合は、明らかに公的な福祉でサポートされるべきです。もはや個人やグループでの努力の域を超えています、が、驚くことにいまの日本ではサポートが事実上ありません。)

それには・・・適度に負荷をかけながらしゃべる訓練を自分で工夫しながら行っていく必要があります。
例えば
★家のなかでひとりで電話→家族の聞いている前で電話→外の公衆電話で電話
★電話する相手も、個人の携帯電話→家族が出る家の固定電話
(*気の合うどもり仲間で小さなセルフヘルプグループを作り練習すればさらに良いと思います。)
(*ほんとうは街のなかに、困っている吃音者(こども~おとな)が気軽にかかれるどもりの臨床に通じた国家資格者である言語聴覚士が開業していれば良いのですが、いまの日本でそれは望めません。)

その際に重要なのは心の危機管理です、
必要に応じて精神科医や臨床心理士にサポートしてもらい心の危機管理を行うことです。

参考
★2012年5月5日: 吃音仲間でできること(セルフヘルプグループの原点に戻る)
★2012年5月13日: お互いに信頼できる吃音者が集まってできること

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