吃音:(生きるため、働くために)どこかの時点で「話す世界」に飛び込むことについて(再掲載一部改編:2008年4月)

★日常会話や電話においてコミュニケーションに支障が出るくらいどもり、自分の言いたいことを伝えるのに(かなり)時間がかかる人や、
★第三者から見ると、どもりとは気づかないくらいの軽さでも、本人は過度に気にしてうつ状態になっているような場合(精神的な意味で重いどもり)は、
 学校を出てからも、なかなか就職ができない(しない)ことが多いようです。
*実は私自身がそうでした。どもり仲間(?)にも多くいます。街のなかのどもり矯正所やセルフヘルプグループには、そのような境遇の人が今日も訪れていることでしょう。

 本人も親も困り果てて・・・「どうしよう・・・」となっている場合もいくらでもあります。
これがどもりの「本当のところ」です。
 しかし、そのような人も、いつまでもふらふらしているわけにはいかず(場合によっては親兄弟に「いつまで遊んでるんだ」とさんざんに批判されて追い込まれて)、どこかの時点で決意して就職するというパターンが多いのです。

 かつての日本(昭和30年代くらいまで)では、都市や都市近郊でも、どもりなどで話すことが苦手な人たちに対しては、今のように誰もが「会社」に入るということではなくて、「他の働き口」があったようですね。
(2011年9月1日投稿:「吃音と職業、現実を踏まえた議論をすることの重要性」を参照してください。)

 そのような環境でおおらかに働くことにより、徐々に自信をつけてからリ・スタートしたり、今後の自分なりの方向性を見つけることができたのかもしれません。

 また、80年代後半から90年代のはじめ頃までは非正規雇用がそれほど多くありませんでしたから、とりあえずでも、ほどほどの中小企業の正社員として仕事をしながら比較的安定した環境でどもりと取り組むこともできました。(私はこれくらいの世代です。でもそれからがそれ以上に山あり谷ありでした・・・)

 そういった意味では、経済のグローバル化が進み、非正規雇用がふえてなかなか正社員になれないいまの働く環境は、ある程度以上の重さのどもりで悩んでいる人にとってはかなり厳しい環境だと思います。
 このようななかで、ある程度以上の重さのどもりを持ちながらも、はじめて世の中に出て仕事をしていこうと努力されている皆さんの苦労は大変なものだと思います。

 ぜひ、あきらめずに、そして腐らずにがんばってほしいと思います。

 そのようにがんばろうとしている人たちに必要なことは・・・・・・・・
 今の日本では同好会的に仲間うちでしか行っていないような、「販売・営業の現場での電話や交渉などが少しでもスムースにできるようになるための心理的なサポート」や、「実際の場面を想定してのシュミレーション練習」です。

 私がかつて(90年代初頭)関わっていた小人数のセルフヘルプグループでは心理劇でそれらの状況を再現して、皆で問題点を洗い出して良い方向に向かうように工夫していました。

 どもりを持ちながら生きて行くには、今までこのブログで触れたり、会合などで聞く諸先輩方の語る「哲学」が必要なのは言うまでもありませんが、現実に自分の力で働いて生きていくための道具としての最低限の(言語能力=ことばの流暢性)をつけることも必要です。
*、どもりが重くそれができない方には、福祉のシステムで本格的なバックアップが必要なことはいうまでもありません。

 不用意に、「どもったままでよい・・・・」などというメッセージを発信してしまうと、そのことばが持つなメッセージの本質が正しく伝わらずに・・・・・
今どもりで悩んでいる人の素直な悩みや希望、つまり、少しでも軽くしたい、できれば治したいという素直な感情を冷たく否定してしまうことにもなりかねず、今現在どもりで困っている人の「生の気持ち」との距離が出てしまいます。

 それくらい、今、どもりで悩んでいる人が持つ感情はセンシティブですし、生きている環境には厳しいものがあるのです。

 日本の企業はいま、国内や外国の同業他社との競争を勝ち抜くために必死です。
 世間で言われるIT化とは裏腹に、オフィスや営業の現場で従業員に求められるのは「言葉による流ちょうなコミュニケーション」です。

 厳しい話ばかり書いてしまいましたが、そういう現実だからこそ、今までのいろいろな事情はさておき、
 いま現在、どもりの人や彼らをサポートする人たちが置かれている厳しい状態を正しく認識し、少しでも良い方向にもっていくようにしなければなりません。

本当に、どもりで必要以上の余計な苦労するのは自分たちの世代が最後にしたいものです。

*この書き込みは2008年4月7日「吃音:話す訓練に入る前の準備」に続いて書いたものです。

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