「吃音者が置かれている言葉の環境」と、「いま、仕事において求められる言葉によるコミュニケーション能力」の大きな差(再掲載改編:2008年2月)

インターネット社会となってからしばらくがたちました。
携帯やスマートフォン、PCなどによる情報交換により、どもりを持った人の間でも連絡が容易にとれるようになりました。
以前ならば、吃音者本人がひとり住まいの家に電話するならともかく、家族と同居している家への電話という大きな壁が存在し、友達への連絡すらままならなかったどもりの方も多いでしょう。(90年代前半までの携帯が普及していなかった頃の話です)
私がまさにそういう状況でした。学校の電話連絡網でも前の人からまわってきた連絡を次の人に伝える電話ができずに、自転車に乗って直接に伝えた苦い思い出があります。

かつて仲間内で作っていた小規模なセルフヘルプグループでは、こんな形で電話練習をしていました。(携帯が一般的ではなかった時代の80年代末から90年代初めの話です)
★、まずは、比較的楽に電話ができる「ひとり住まいの人」へ電話する(必ず本人が出る)練習から、徐々に、家族と同居している家に電話する(誰が出るかわからない)練習へとアップグレードさせる方法をとっていました。
練習というと堅苦しいものを想像しますが、ゲームのように楽しみながら行なうことが肝心ですね。その際には、どもりには重い人と軽い人がいるのでそれらを踏まえながら進めていくことが必要です。

しかし、仕事の世界となるとまったく違います。
仕事の世界では、ネット社会の進展とは裏腹に、人対人(face to face)の話し言葉による高度なコミュニケーション能力が問われます。
大企業から零細企業まで企業間の競争がますます激しくなっていて、限られた市場の取り合いになっています。無理矢理にでも他社の顧客を奪わなければならないのです。
このような状況下では、ある程度以上の重さのどもりを持った人が社会人(特に民間企業)として生きていくのがいかに辛いことかは、その経験のない方でも想像がつくでしょう。

どもりの為に正社員になれずにいる
アルバイトや契約社員について考えてみると、一部の専門職を除いては、ほとんどの場合はルーチンワークで低賃金。
そういう仕事ほど、顧客に対して使う言葉もおきまりのマニュアル言葉が多く、どもりを持つ者にとっては辛いことでしょう。

正社員でもそうでなくても、ある程度以上の重さのどもりを持った状態で(言葉を日常的に使う仕事で)働くことは、いまの経済状況、雇用状況から考えると、吃音者の心に常に大きなプレッシャーがかかったままとなります。
その結果として、うつ病などの心の病になってしまい、仕事を休職したり、辞めざるを得なくなる方も多くいらっしゃるでしょう。
そのような場合には再就職を探しても、以前の雇用条件に近い仕事はなかなか見つかりません。
経済的に、そして精神的にも追い詰められている人が存在し、そのサポートは事実上無いに等しいのです。 そのような現実に根ざした、どもりの人たちをサポートする視点こそ必要なのです。

今までのセルフヘルプグループなどの活動とは違う、別次元での組織が必要です。
精神科医や臨床心理士、言語聴覚士などの専門家による言葉と心の本格的なサポートや、
どもりのために生活に困っている人をサポートするソーシャルワーカー、市役所やハローワークなどの行政の具体的なバックアップが必要です。

参考にしていただきたい書き込み
吃音:ときには大胆に生き方を変える 2012年4月3日
吃音を持つこどもの将来(職業)を見据えた現実的な育て方を! 2012年4月24日

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