吃音研究や臨床の現状(医学的な研究の進歩状況、公的なサポートの仕組みと問題点など)をありのままに伝えて、あとは個人の選択に任せる(再掲載一部改編:2010年10月)

表参道2010冬

表参道2010冬

 ちいさな子供から大人まで、吃音者の年齢層は様々です。 また、子供といっても、幼稚園、小学校、中学校、高校・・・と成長にしたがって友人関係、クラブ活動、授業などの本人を囲む環境は大きく変わり、受験を控えているとそれだけでもストレスがかかるうえにどもりの悩みがプラスされますね。 心とカラダが成長していく大事な時期に、ある程度以上の重いどもりで大きく悩んだり苦しんだりすることは、これからの人生に直接的・間接的な大きな影響を与えることは間違いありません。そのようなどもりを持つ子供にはどのようなアドバイスができるのでしょうか?

★まずは、本人の「いま悩んでいること・想い」を、予断をせずにひたすら傾聴することではないでしょうか。
 大人が(たとえ同じ吃音者でも専門家でも)相談に乗るときに気をつけなければいけないことは「決めつけないこと」です。
 どもりを持ちながら生きてきていろいろ経験したことを伝えたい・・・、または、自分の専門領域から役に立つアドバイスをあげたい・・・、 という気持ちはよくわかりますが、それは吃音者としての自分の経験やある領域の専門家としての知見でしかありません。
*残念ながら、どもりについては、専門家たるべき言語聴覚士の教育や臨床実習において割かれる時間や内容はお寒いのが現実のようです。(特に思春期以降のどもりの対応について)  

 一方、ここ10年くらいの世の中の変わり方には革命的なものがあり、吃音者を取り囲む環境(家庭、学校、就職、職場)も当然のように大きく変わっていますので、過去の経験が役に立ちにくくなっています。

また、吃音(経験者)の大人が経験してきてそれなりに高めてきたどもりに対する想い(哲学?)は自分のものでしかないことを知るべきです。受け継がれないと考えておくべきでしょう。
  なぜならば、どもりの医学的な治療法が確立していない(というか原因すら解明されていない)現在において、「どもりに対する想いや哲学」はそれ自体では「治療法」にはならず、あくまでも生きていく上での指針であり、「人生のなかでどもりをどのように位置づけて試行錯誤しながら自分なりの人生を切り開いていくか」ということであり、それにより「結果としてどもりが軽くなったり、ほとんど治ったと同じようになった」ということは、あくまでも「結果」なのです。  

その過程を無理に類型化して、どもりを持っている子供にチャートを示すように導こうとしても、子供の自然な気持ちや自由な想いを妨げてしまうだけに終わるかもしれません。
子供は大人には逆らえませんから=特にどもりで悩んでいる子供は「自分はそうは思わない」と心のなかでは思っていたとしても、ほとんどの場合は大人のアドバイスに逆らって意見することはできないでしょうし、あきらめてしまい、「わかったふり」をするかもしれません。

  「今の時点で、どもりはどこまでわかっていて、どこがわかっていないか」 「日本ではどんな体制(病院、他の専門施設など)で子供やおとなのどもりに対応しているか、どこに問題点があるか。」など・・・ どもりの医学的な治療法(投薬、手術)や確立されたリハビリ法がない現在、戦前から続いている民間療法までを含めて、どんな対処方法があるかをすべて開示して、あとは、個人の選択に任せる・・・  

重要なことは、どもりを持った子供が問題にぶつかったりしたときに、学校の帰りや休日に歯医者に行くような気軽さで行ける専門機関(言語聴覚士がいる言語クリニック)や専門家(臨床心理士や精神科医、など)を置くことです。
さらには、どもりを持っている子供が集まって自由に語り合えるサロンのような場も是非必要です。
(阪神大震災の後に、親をなくした子供たちが集まって話し合える建物が神戸に作られたそうです。その団体が東北にも同じようなものを作ろうと活動しているようですが、日本中のどもりで悩んでいる子供たちのためにも、常設でなくて公民館などの一部屋で良いので、週に一度くらいの割合で部屋を無料開放するべきです。)

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