吃音:(生きるため=働くために)どこかで話す世界に飛び込むことについて(再掲載一部改編:2008年4月)

4月7日(2008年)の書き込み「吃音:話す訓練に入る前の準備」に続きます。

日常会話や電話でかなりどもり、自分の言いたいことを伝えるのに時間がかかるくらいの人や、
客観的な重症度はそれほどではないが本人が過度に気にしてうつ状態になっているような場合は、
学校を出てからもなかなか就職ができないケースが多数あります。
*、私自身がそうでしたし、まわり(どもり仲間?)にも多くいます。街なかのどもり矯正所やセルフヘルプグループには、そのような境遇の方たちが今日も訪れていることでしょう。

本人も親も困り果てて・・・「どうしよう・・・」となっている場合もいくらでもあります。これがどもりの「本当のところ」です。

しかし、そのような方も、いつまでもふらふらしているわけにはいかず、(場合によっては親兄弟に「いつまで遊んでるんだ」とさんざんに批判されて)、人生のどこかの時期に決意して(というか追い込まれたあげくに)就職するというパターンが多いのです。

かつての日本(昭和30年代くらいまで)では、都市や都市近郊でも、どもりなどで話すことが苦手な人たちに対しては、今のように誰でも会社に入るということではなくて、他の種類の働き口がいくらでもあったようですね。
(2011年9月1日投稿:「吃音と職業、現実を踏まえた議論をすることの重要性」を参照してください。)

そのような環境でおおらかに働くことにより、徐々に自信をつけてからリ・スタートしたり、今後の自分なりの方向性を見つけることができたのかもしれません。

また、80年代後半から90年代のはじめ頃までは、今のように非正規雇用がそれほど多くありませんでしたから、とりあえずでも正社員として仕事をしながら比較的安定した環境でどもりと取り組むこともできました。(私はこれくらいの世代です)

そういった意味では、グローバル化や非正規雇用が進んだ現在の仕事の環境は、どもりで悩んでいる人にとってはかなり厳しい環境だと思います。このようななかで、ある程度以上の重さのどもりを持ちながらも、はじめて世の中に出て仕事をしていこうと努力されている皆さんの苦労は大変なものだと思います。

ぜひ、あきらめずに、そして腐らずにがんばってほしいと思います。

そのようにがんばろうとしている人たちに必要なことは・・・・・・・・
今の日本では同好会的に仲間うちでしか行っていないような、「販売・営業の現場での電話や交渉などが少しでもスムースにできるようになるための心理的なサポート」や、「実際の場面を想定してのシュミレーション練習」です。

私がかつて(90年代初頭)関わっていた小人数のセルフヘルプグループでは心理劇でそれらの状況を再現して、皆で問題点を洗い出して良い方向に向かうように工夫していました。

どもりを持ちながら生きて行くには、今までこのブログで触れてきたような「哲学」が必要なのは言うまでもありませんが、現実に自分の力で働いて生きていくための道具としての最低限の(言語能力)をつけることも必要です。
*、どもりが重くそれができない方には、福祉のシステムで本格的なバックアップが必要なことはいうまでもありません。

不用意に、「どもったままでよい・・・・」などというメッセージを発信してしまうと、そのことばが持つなメッセージの本質が正しく伝わらずに・・・・・
今どもりで悩んでいる人の素直な悩みや希望、つまり、少しでも軽くしたい、できれば治したいという素直な感情を冷たく否定してしまうことにもなりかねず、今現在どもりで困っている人の「生の気持ち」との距離が出てしまいます。

それくらい、今、どもりで悩んでいる人が持つ感情はセンシティブですし、生きている環境には厳しいものがあるのです。

日本の企業はいま、国内や外国の同業他社との競争を勝ち抜くために必死です。
世間で言われるIT化とは裏腹に、オフィスや営業の現場で従業員に求められるのは「言葉による流ちょうなコミュニケーション」です。

厳しい話ばかり書いてしまいましたが、そういう現実だからこそ、今までのいろいろな事情はさておき、
いま現在、どもりの人や彼らをサポートする人たちが置かれている厳しい状態を正しく認識し、少しでも良い方向にもっていくようにしなければなりません。

本当に、どもりで必要以上の余計な苦労するのは自分たちの世代が最後にしたいものです。

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