吃音:環境を整えたうえで、あえて自分を追い込んでみる(本論、その1)

(序論から続きます。)
いろいろと問題があったにせよ、なんとか学校(高校、専門学校、大学、大学院など)に入り、さらに就職(就業)について考える時期になったという想定で考えます。

就職(就業)に備えて自分を良い意味で追い込んでいくこと。
「どもりの症状の軽減=つまり軽くすること」を目指しても良いし、
また、子供の頃からどもってきて、どうも、自分がどもっているということに納得がいかないというか、「どうして自分がどもりで苦労しなければいけないんだ!」というやるせない気持ちに一定の区切りをつける、という目的でも良いのではないかと思います。

準備としては、
まずは、「自分のどもりの重さと症状」、「精神的・経済的な家庭環境(子供の場合)」や、「自分の意志の強さ」、「人生の目標やタイムスケジュール」などを自分なりに精査して、
やり方に極端な無理があり精神的に大きく参ってしまわないように、また、逆境に置かれて極端な苦労をすることがないようにも注意します。
チャレンジは自分で行なうのが基本ですが、専門家(精神科医、臨床心理士など)の力も借りてリスク管理をしてもらいましょう。(これが「冒険」と「探検」の違いです)

さて、学生が就職(就業)について考える頃になると、「どもりの問題」が顕在化します。
こどもの頃よりどもりを原因として苦労はしたとしても、どもりで学校はクビになりません。

ここ(就職)で人生の大きな関門にぶち当たるのです。

*、といっても学生時代も苦しみますね。私も大いに苦しみました。いまの学校や社会の状況では、どもりを原因とする不登校や引きこもりはどれくらいいるのでしょうか?心配しています。

学生になるとアルバイトをする人が多くいます。
が、「日常生活に影響が出るくらいの重さのどもり」を持っている場合は、顧客とあたりまえのように話したり電話をかけたりするアルバイトは敷居が決定的に高いですね。

というか、応募の電話をするところですでに躊躇があるでしょうし、(メールで申し込んでもどこかで面接がある)、無理して電話をしたとしても、自分を名前を言うのにも滞っているようでしたら断られます。
*、ことばを使わないか、またはメインで使わないアルバイトは充分にできると思います。この場合でも、応募の際や面接時は話すことになります。

ある程度以上の重さのどもりを持っていると、どうしてもしゃべる世界から逃れたい気持ちがあり、学生時代はそれが許されるのでついついそのままになってしまいます。

就職の時期が近づいてきてから大きく焦りだすのです。
自分がどもりで、名前さえも言いたいときになかなか言えないという自分の姿を、否応なく強烈に意識させられる事態となります。
ギリギリまで逃げに逃げて、ぶっつけ本番で電話をしたり面接を受けても良い結果が出るはずがありません。
どもらない人でも、「どもり様の症状」になってしまうことが多いのですから・・・
*、ここで、「どもりの重さ」、そして、「自分の意思、人生の目標、生き方」という問題が出てくるでしょう。
何気ない日常会話レベルで意思の疎通に問題が出るくらいの重さのどもりを持っている場合は、いまのままの自分(の、どもりの状態で)受け入れてくれる職場を探す方が結果的に良い方向に進むのではないでしょうか。
吃音者自身やサポートする人たちに必要なのは、時と状況により大きく方向性を変えることができる柔軟なこころです。そのように考えていくと、吃音者に対応する専門家は、専門領域の広範な知識はもちろん、クライアントを優しくふんわりと包み込むことができるような「(人間力)=学識と臨床経験と広範な教養、そして人生経験に裏付けられた」が必要です。

就職の前になって焦らないように、「前もってチャレンジして苦労をしておく、」ということが、
今回の「環境を整えたうえで、あえて自分を追い込んでみる」ことの意義です。

ことばを使うアルバイトに踏み切れない場合は、ボランティアからはじめましょう。
自分に自信を持つために、自分が必要とされている環境で働いてみることです。
ことばを使うアルバイトにチャレンジする前に必要なことです・・・無茶はいけませんね。
困っている人に接して、何かをしてあげて充実感を得る経験を積むことです。「自己肯定感」の醸成です。大切なことです。

次に、
いまの自分のどもりの重さや精神状態も考慮しながら、少しずつ、しゃべる量が多い環境や緊張する環境で話したり電話をかけるようなアルバイトにチャレンジしていくのです。
徐々に難しい環境で働くというところがミソですね。
どもりの波をコントロールする必要もあるでしょうし、仕事によっては、「どもるわけにはいかないことがいくらでもある」という現実に向き合うことにもなります。
そこでは、自分のできることとできないことがはっきりと分かるでしょうし、自分の本質的な「強さ」はどれくらいかも分かるでしょう。
吃音を必要以上に重くしない「平衡状態に保つ知恵」も少しずつ身についてくるかもしれません。

今回はこのあたりにしておきます。

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