吃音に慣れるための「訓練」、(再掲載一部改編、2010年3月)

テーマを読むだけで「拒否反応」が出てしまう方もいらっしゃると思いますが、あくまでも「吃音へのプラクティカルな対応」を考えるブログなので書いていきます。

(ある程度より重い)どもりを持っていて一般の職種(営業・事務職など)に就くための就職活動を始めることは、いまが大不況でたいへんな就職難であることを考えるとかなりハードルの高いことです。
就職できるどころか、ハードルの高さにかえって傷ついて自信をなくしてしまう危険性すらあるでしょう。
*、私もかつて、大卒後約2年遅れで就職活動をしましたが、その頃(80年代末)と今では経済状況が全く違いますので比較などできません。
*、「ある程度より重いどもり」というところがいちばん難しいところです。今回は、電話で就職に関する問い合わせをするときなどに「どもりまくっってしまい、会話が成立しないかそれに準ずる状態」ということになると思います。どもりはその重さによって「天と地ほどの違い」があります。これを前提にしないと話がおかしくなります。
自力では仕事が見つけられず知人や有力者のいわゆる「コネ」で企業に就職した場合には、就いた会社や職種によっては、仕事に就いてからたいへんな苦労や挫折を味わうことを覚悟しなければなりません。
できれば、仕事は自力で見つけるべきです。なぜならば自分の力で入ったところならば無理が少ないからです。

いつも書いていますが、「生きていくことは働くこと」です。学校を出たら、自分で働いて生きていくためのお金を稼ぐことが必要です。
仕事には、いわゆる「会社員」だけでなくて、農、林、漁業、福祉・・・などたくさんありますが、多くの方がいわゆる「会社員」(営業系、事務系、技術系)にこだわるのは給与の面と安定性からでしょう。(今では一部の大企業をのぞいては、その安定性も大きく揺らいでいます。10年前20年前とは全く違う世の中なのに、未だに会社信仰が強いですね。)
*心身に重い障害を持っていて一般の就職システムで仕事につくことができないような場合には、国としてサポートしていくシステムが(かなり不完全ですが)あります。どもりの場合も、ある程度以上の重い吃音で、自分ではなかなか就職できない場合には、福祉政策による「お金の面」「人の面」からのサポートが必要ですが、そんな話すら出ていません。

さて、人が利益追求集団である企業で働いていくことは、言い換えれば、その企業や職種に「適応する」ことでもあります。
*、まわりに「適応しているかに見せる」のでもよいと思いますが、それができる器用な人は少ないですね。

本当は、「それぞれの人が自分らしく、したがって、障害を持った人も無理なく」と言いたいところですが、実際に企業で働いたことがある方ならば、「高度成長期かバブル期で余裕がある場合ならばともかく」、そのようなことは夢の話であることはおわかりのことと思います。
*、一部の大企業や中小企業では、工夫して、障害者を雇用して得意な部分でがんばってもらい、会社も儲かるし本人もお金も生き甲斐も得られるという良い例もあります。こんな会社がどんどん増えていってほしいです。

でも、生きていくためには働かなくてはいけない。
そこで、それならば、吃音者の苦労が少しでも少なくなるように、仕事が円滑にいくように、「どもりが軽くなればいいな、できれば治るといいな」と思うのは、吃音者本人、そして吃音者の家族としては当然の気持ちです。

こんな現実のなかで、それらのニーズがあるのにもかかわらず、吃音者に対する公的なサポートは事実上小(中)学校までで終わります。それもかなり限定的で不完全なものです。

ある程度以上の重さのどもりを持っている人の悩みが深刻になってくるのは、受験勉強が大変になってくる中学や高校に入ってから、また、就職の問題がある高校、大学や専門学校に入ってからなのですが・・・

ですから、戦前からある民間の「無資格どもり矯正所」が、形を大きく変えながらもいつまでたってもなくならず存在し続けているのです。

話を進めます。
いまの吃音者には、結局のところ「自助努力」が必要です。というか、それしかありません。
どもり専門の病院もなく、専門家であるはずの言語聴覚士も吃音(それも思春期以降のもの)には対応できないというか、どうしたら良いかわからないと思います。
(たとえ、どもりについて深く勉強し献身的な専門家がいたとしても、薬も処方しない吃音患者ばかりを対象とした継続的なサポートは、病院の経営「社会保険の問題」という観点からも無理でしょう。日本で1カ所や2カ所そんなところがあったとしても美談にはなりますが、結局、どもりを持った人のほとんどはそれらの施設に通うことはできません。)

自分たちでできる有効な手段は、気の合う吃音仲間で小さなグループを作り意見交換や練習などを行うことです。
それは、いまある「セルフヘルプグループのこと」、と思われるかもしれませんがそうではありません。

セルフヘルプグループは、いろいろな立場の吃音者が集まるサロンのようなところですから、どもったままを受け入れていこうという考え方もあれば、治していこう軽くしていこうという考え方も共存して良いところです。(だと思います。)
むしろ、互いの違いを認識しながらもっと大きな枠で考えていこうという場かもしれません。

ここで言っているのは、たとえば、セルフヘルプグループの中で特に気のあった仲間が同じ目的(少しでも軽くしていこうとか、どもりとうまく共存していこう)の元に集まって活動すること、と考えればわかりやすいかもしれません。
今はネットがありますから、既存のグループに入らなくても自分が責任者となりグループを立ち上げても良いですね。
できれば、同じ目的を共有し、高校生以上で、同じくらいの重さのメンバー、がやりやすいでしょう。(お互いに余計な気を使わなくても良いですからね。)

その場では、お互いの違いも考えつつ、いろいろな活動ができます。 たとえば「サイコドラマ」をする。
公民館などの部屋を借りて、どもっている状況に近い設定を作り再現をしてみる。
たとえば会議で発表するときには特にどもってしまうようなメンバーがいたら、会場の机を並べ替えて会議室のようにします。そして、皆に「社員」になってもらい、静かな緊張する環境を作り出します。その上で発表してもらうのです。

もちろん、気のあった仲間ですから、本番と比べると安心してどもれる環境ではありますが、なるべく近い環境を作り、メンバーから「私の場合はこうやったらうまくできた」「こうしたら良いんじゃないか」などのフランクな意見を出してもらいながら進めていくのです。
あとは、自由な話し合いでも飲み会でも良いので、同じような悩みを持つ仲間がフランクにふれあうことにより「どもりの症状そのものがよくなる」ことよりも、実は、「生きる力」が出てくるのです。

「おかげさまでだいぶ良くなりまして就職もできそうです」などというメンバーが出てきて、でも、まわりで聞いているとほとんど症状そのものは変わっていない・・・などという状況になってきたらしめたもの、大成功です。

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