吃音について自分(たち)で考えることの大切さ

 80年代末のことですが、私はどもりのために大卒後も就職できずに、力が尽きたかのようにしばらくの間引きこもりました。
*、正確には「就職せずに」です。なぜならば、言葉を使わない職種ならばできたはずです。

 その後、ちょっと元気が出てきて通った民間のどもり矯正所は、いま、ネット上に広告があるような個人カウンセリング形式ではなくて、昔ながらの学習塾のように、教室に何人かが集まって受講するものでした。
 内容は、戦前からあった日本の伝統的などもり矯正所のものですから、「腹式呼吸をする、ゆっくりしゃべる、音を引きながらしゃべる」というようなものでした。
*、私の世代までが、そういう矯正所を知っている最後の世代かもしれません。

 私はそこでどもりが治ったかというと、もちろん「ノー」です。
しかし、引きこもりから脱して就職するための力をもらったのも確かなことです。
そこで、同じような境遇の同じくらいの年齢の仲間に会えたことが、立ち直る大きなきっかけとなりました。
○、子供の頃からどもりで悩んでいて、(でも、まわりには理解者がいない)、学校を出てもなかなか就職できない(しない)。
○、学校や会社でどもりのためにたいへん困っている。精神的にもギリギリの毎日である。
こんな仲間達ですから、出会ったその日から親友のような感じでした。

 その後、それぞれ、自分の道を見つけていくメンバーを見てきましたし、未だにそのメンバーのの何名かとはつながりがあります。
*、どもらない人よりかは、どもることで、ヘビーな人生の浮き沈みを経験している人が多いようです。

 さて、私は、矯正所に通い出した頃から強く思っていたことがあります。
それは、どもりについては
自分(たち)の頭で考え、自分(たちで)試行錯誤することの大切さなのです。

 それが、私を、既存のセルフヘルプグループへの参加をおもいとどまらせていました。

 なぜならば、
インターネットが普及していない当時(80年代末~90年代初め)、どもりについての情報は限られていて、本屋さんや図書館などで得られるどもりやセルフヘルプグループについての情報量も圧倒的に少なく、かつ断片的でした。
 そこから得られるセルフヘルプグループの活動状況は、「なにがしかの専門家を招いての何々」というものや、また「アメリカやヨーロッパの○○心理学、××療法について学ぶ」などの情報が多かったように記憶しています。
*、当時(80年代末~90年代初め頃)は、オフィスにはすでにパソコンは十分に普及していて、マニアにも使っている人は多くいました。そして、いわゆるパソコン通信も行なわれていましたが、一般の人が広くパソコンを使いWebページに触れることができるまでには、1995年のWindows95の発売を待たなければなりません。

 つまり、オリジナルでないのですね。
 学問的にどもりの原因が分かっていて、治療法やリハビリテーションの方法が確立しているのならばそれらを学ぶことも必要でしょうが、分かっていないから我々吃音者が困っているのに、なんで、自分たちのオリジナルな考えで考えて行動しないのだろうか?と・・・
 むしろ、セルフヘルプグループのパイオニアとして、世の中に広く訴え、提案していける立場なのに・・・・と疑問を持ちました。

そんなこともあり、矯正所の仲間で小さなグループを作り、まさにオリジナルな活動を始めたわけです。

 いまでも、吃音者を取り巻く環境は私が活動していた頃(90年代初め)と同じです。
本当に困っている人が駆け込むところがないに等しいのです。

 これからは、今まで以上に、日本中にそれぞれ特徴を持った大小のセルフヘルプグループが数多く出来れば良いと思います。
その目的は様々で良いのです。
「どもりを治す、軽くするため」のグループ、
「どもったままを認めていこうとする」グループ、などが多くできて、お互いが刺激し合えるような関係が築ければベストですね。

 いまでは、ネット上で、個人レベルでも十分に情報発信ができますから、良い意味での「混乱」を、吃音者と吃音者を取り巻く社会に作り出していけば良いと思います。

 お互いに感情的にならずに意見をどしどしぶつけ合って、そのなかから新しいものを生み出していく。
日本人には、その教育システムやメンタリティーから苦手な方法かもしれませんが、これからはそういう方法が良いのではないでしょうか?

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中