吃音:心が折れないように生きる(再掲載一部改編:2010年1月)

 日常生活での何気ない会話にも支障があるような、また、学業や仕事においても明らかな支障があるような重さのどもりを持っていると、日々を生きていくなかで常に大きなストレスがかかります。

しかし、ことはそんなに簡単なものではなく、職場ではほとんどどもらないのに家ではかなりどもるとかその逆の場合など、どもりの症状は実にいろいろなのです。
客観的にみてほとんど気づかないような軽いどもりでも、自殺を考えるくらいの大きなストレスがかかっている場合もいくらでもあります。
*かつて(昭和30年代くらいまででしょうか)は、サラリーマンにならなくてもいろいろな職業の選択の幅があり、私の子供の頃(昭和40年代~50年代)にも、東京近郊の都市に住む私の小学校の同級生には、雑貨屋の息子、金物屋の娘、肉屋の子供が少なからずいました。どもりを持っていても比較的生きやすい方法が選択できたのです。経済構造の変化で、今後は、また、こういう時代に戻っていくこととなるのではないでしょうか?

 さて、企業などの複数の人間がいる組織で働いていくには、常に、スタッフや取引先との(真摯な、そしてときには戦略的「狡猾」な)高度なコミュニケーションが欠かせません。
学生で本格的に働いたことがない方、また、民間企業に比べて仕事上での軋轢の少ない公務員の方にはイメージしづらいかもしれませんが、「働く」ということは、イコール、「業務上で日常的に生じるトラブルをどのように戦略的に解決していくかの繰り返し」でもあります。相手を言葉で納得させる、たとえば、今までは違う会社の製品買っていた顧客に嫌われるのを承知で訪問して徐々に自分の会社の製品を買うように仕向ける、とか、自分の会社の利益を守るために本当はこちらにも責任の一端があることでもゴリ押しして自分の方に有利に持って行くこと、など、言葉を武器にして戦っていくことが要求されます。

 なぜならば、自分の組織が生き残っていかなければいけないからです。それが日本の現状です。ストレスフルな環境で生きていかなければならない吃音者には実につらい時代を生きているということが言えます。
 
 それではどうすればいいのか?
(注)いつも書いているように、どもりはその重さによって人生に与える影響が全く違います。「一般企業の事務系や営業系で働くということ」が「働くこと」などという固定観念だけで考えてしまうと、「重い」どもりの人には決定的に不利な状況でしかなくなります。

 世の中、生き方はいろいろですね。幸か不幸か「失われた10年」を経て経済構造が大きく変化した現在では、会社員が安定した職業ではないことは明らかです。どもりに悩んでなかなか仕事に就けない人が人生の袋小路に迷い込んでいるようでしたら、家族や友人が「違う生き方もあるよ」と声をかけてあげると良い方向に進める場合もありますのでぜひ協力してください。第三者からみて日常会話ではほとんどわからないような軽いどもりを持っている人が実は深く悩んでいて・・・などという場合には、成長につれていろいろと経験していくなかで大幅に改善され(もともと症状は軽いので心理的に軽くなるということ)、結果的には社会の第一線でどもらない人と同じように働いていける場合もあれば、同じような客観条件でもそうでない人もいます。

 また、もともとかなり重い症状の方が、成長につれて第三者からみた症状ではほとんど改善されていない場合でも自分にあった職業を見つけて生きていく場合もありますし、そうでない方もいます。

 もしかしたら「公務員だから必要ない」かもしれませんが、民間企業の社員がいろいろな矛盾に悩みながら一生懸命に働いて多額の税金を払っているからこそ国は成り立っているのです。

 本当に辛かったら、通勤時に駅頭に立つときに「死んでしまいたい」と思う前に、早めに生き方を根本的に変えましょう。
子供がいて何十年のマンションのローンを組んでいる場合はちょっと難しいかもしれませんが、そうでないのならば、言葉を武器にして過酷な競争下で働くような環境からは離れて、体を動かして働くことが中心の仕事へとシフトしていく。

 または、都会の激しい競争から離れて地方へ移り住む。
 当然現金収入は減るでしょうから今までと同じような消費生活はできませんが、どもりを原因としてうつ病になって何年も精神科医にかからなければならないような生き方よりは良いでしょう。(悩んで自殺してはどうしようもないですね。)

 そこまで深刻でないのならば、同じ都会で仕事をするにしても、今の仕事を続けながら、自分にあった職種をゆっくりと見つけてそちらにかえても良いです。
 もう少し良い状態ならば、どもりのセルフヘルプグループに参加して(自分で作っても良いでしょう)どもりの辛さを分かち合う、また必要に応じて適切な言語訓練を行い、仕事の環境にできるだけて適応して自分を楽にしてあげることが必要です。
 スポーツクラブ等で定期的に体を動かして発散することも、うつ病の予防としては有効なことです。

 また、どもりのこと(症状・心理的な悩み)を何でも話せる主治医(精神科医・臨床心理士・言語聴覚士など)を持つことなどの環境を確保することにより、「生きやすい」状態に自分を持って行くことが必要です。

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