吃音と就職(その3)

 さて、
 引きこもりがちになってきた「どもりを持つ学生」は、自分なりに考えます。「どもり」だからいけないんだ!、どもりを治そう!

 子供の頃から常に頭の中にあった「治したい」という欲求、
誰にも言えず、心の中に無理矢理閉じ込めていたものが、火山が噴火するように一気に吹き出してきます。
 
 インターネットが広く普及している今では、まず、ネットで調べます。
見てみると、セルフヘルプグループの地味なホームページよりも、民間矯正所のホームページに目がいくはずです。
*、10年前、20年前ではなくて、「いま」という視点で書くと、民間矯正所に足を向ける前に「セルフヘルプグループ」に行ったほうが、お金もかかりませんし明らかに得るものも多いと思いますが、相変わらず民間の方に行ってしまうのですね・・・

 インターネットが一般化する前の90年代前半までは、昭和の時代からというよりも戦前から連綿と続いてきた、
電信柱に貼られた矯正所の怪しい広告や、マンガや週刊誌などに小さく載っている矯正所の広告を見つめつつ、
「怪しい」と思いながらも、次第に「ここしかない」と思い詰めたものですが、

 いまでは、パソコンや携帯のディスプレイに表示される民間無資格どもり矯正所の、「治る」、「改善する」というキャッチコピーをみて、「行ってみよう」と行動に移すまでの敷居はかなり低くなっていると思います。
*、いまでも、大都市に多いどもり矯正所に通うために、地方からお金をかけて来る人もいるのでしょう。

 小学生のころから学生になったいまに至るまで、自分のどもりの悩みを遠慮なく話せる相手がいなかっただけに、矯正所の「先生」の言葉は心にしみるかもしれません。
 純情な人ならば、涙を流しながら「これで、悩みから解放される」と思うかもしれません。

 大金を払い通い始めてみると、ちょっと「軽くなってきた」ような気がします。
このまま、先生の言うように通い続ければ、子供の頃からの夢「どもりが治る」が実現するのではないか?

 ここからは2パターンに分かれます。

「まわりの人から見るとほとんどわからないような軽いどもり(といっても電話をかける時や授業中は結構どもる)で、客観的な症状以上に深刻に悩んでしまうメンタルなどもり」の場合は、
民間矯正所の内容にかかわらず、どもりで悩んでいる仲間に出会えて悩みを打ち明けられるようになるというだけで、
結果的に、「かなり軽くなった」と思える場合があります。
 これはとても良いことですね。
 これを機に立ち直り、進学や就職ができたようなケースに多く接しています。
*、最近の矯正所では、大勢がひとつの教室に集まるような方法でなくて、1対1のカウンセリングのような方式がありますね。それでは仲間と出会うことができません。

 しかし、一方、(第三者から見てはっきりわかるような)それなりの重さのどもりを抱えて矯正所に通い出した場合。
 最初こそ、少し軽くなったような気はします。
それは「安心感」からですが、しばらく通い続けると、実はほとんど変わっていないことに気づきます。
 その後もしばらくは通い続けますが、人の輪に入るのが苦手で教室の中でも孤独になりがちの方の場合には、徐々に足が向かなくなってきます。
  症状の変化や矯正所の内容に関係なく、悩みを打ち明けられる「仲間に会いに来る」ということだけでも通い続ける方もいます。それは孤独でいるよりも遙かに良いことです。このことがセルフヘルプグループの起源になっていますね。

 しかし、どもりの重さ=希望する職に就けないこと、ではありません。
 それなりに重いどもりを持ちながらも民間企業の営業職などでがんばっておられる方も結構いらっしゃいます。
(それができない人、がんばれない人はダメなどとは考えないでください。生き方の違い、考え方の違い、と考えれば良いと思います。)

さて、いままでは、
1、自分のもとからの希望・目標を達成するために、どもりのことはあまり考慮せずに苦労覚悟でひたすら進んでみる。
 ということについて書いてきました。

 それではどうすればよいのでしょう?
 こういう選択をする人はある程度の覚悟をもって生きているでしょうし、それなりの行動力もあるはずです。
 ただ、一生懸命に努力しても目標が果たせなかった場合の「敗北感」が、自分のこころの許容範囲ならば良いのですが、それを超えてしまうと無理をしてきた分一気に参ってしまうことがあるかもしれません。

 計画的に無理をしましょう。
○、愚痴をこぼせる友人が必要です。
○、気軽に相談に行けるホームドクター的な精神科医、臨床心理士を作りましょう。
○、できれば親しく接してもらえる吃音に学識と臨床経験の深い言語聴覚士(これはかなり難しいでしょう)
○、必要に応じて「セルフヘルプグループ」に参加して、友人を作ったり、情報を得ましょう。
○、気の合うグループで工夫して「言語訓練」などを行ない、どもりの軽減にチャレンジするのも否定されることではありません。
○、家族に自分がどもりで困っていることをわかってもらうように努力し、応援してもらいます。(これもかなり難しいです)

 上に書いたことは、努力しても目標を達成できない場合の、生き方の方向転換をする際の力強いサポート、になると思います。
*、このような「目標を立てて努力してそれを達成して・・・・」という生き方自体に無理があるので変えた方がよい、という考え方もあります。参考のために書きました。

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