なぜ、いつまでたっても吃音者が安心して継続的に通えて、相談や治療できる経験豊富なプロがいる施設ができないのか?(再掲載一部改編:2009/03/16)

 いまこの時にも、いや、年度末の3月だからなおさら、
どもりで悩んでいて「どうしたらいいのかわからない。いっそ死んでしまいたい」と思っている方がいるでしょう。

 思いきって親に「どもりの悩み」を相談しても、「世の中にはもっと苦しいなかで頑張っている人がいるぞ」などといわれてしまう。(それでも、どもりの悩みを口にできる雰囲気の家庭ならば良いほうですね)
 こんなように、ひとりぼっちで悩んでいる人がどれくらいいらっしゃるでしょうか? 人口比1%だとしても100万人、そのなかで深刻に悩んでいる人が1%だとしても1万人。たいへんな数字です。

 3月といえば卒業や進級の季節。就職に向けての区切りの月です。
しかし、私が思い出すのは暗い思い出ばかりです。大学卒業後も就職できず(せずに)に引きこもってしまった春、4月のことです。春の明るい光が、昼間からごろごろしている自分には恨めしく映ったものです。

 今、改めて、その頃の自分を分析してみると、自分のことよりも家族のことを心配してしまうような性格でした。
 いまから思えばそのような考え方自体が間違いですね。「自分は家族のことを心配しているんだ。」と思おうとすることで自分をごまかしていたのでしょう。自分の心の崩壊を無意識のうちに防ぐ「防衛規制」なのかもしれません。
 自分なりの生き方ができて(自分が充実していて)はじめて、結果として家族にも安心してもらえるはずなのに、どもりで悩んで学業や仕事に大きな問題が出ているのに(家族の前では)元気なふりをしてみても自分を追い詰めていくだけです。

 さて、毎年3万人以上の自殺が出ている日本において、国民病とまでいわれている「うつ病」の場合は、不完全ながらも街中には精神科医がいて、自治体には精神衛生センターなどの公的サポート施設があります。

 それに比べて、どもりはどうでしょう。
 いつも書いているように、小(中)学生をサポートする通級のシステム「ことばの教室」がありますが(最近詳しく触れました)、それ以降は(それ以降に深刻化することのほうが多いのですが)事実上サポートなしになります。
 40年ほど前に吃音者自身の努力によりできたセルフヘルプグループは、あくまでもどもりで悩んでいる人の自助グループです。悩んでいる本人や親御さんが相談できる心やことばの専門家いるわけではありません。(しかし、そのセルフヘルプグループがその代わりをしなければいけないような状態が現在に至るまで続いています。)

 どうして、いつまでも(主に思春期以降の)吃音者のための各種施設やシステムができないのでしょうか?

○、本人や家族が隠すから(隠さざるを得ないようなバックグラウンドがあるから)
 2~3歳くらいに始まることの多いどもりですが、いざ、自分の子供がどもり出すと親は焦ります。
身内にどもりがいる場合は同じ苦労をさせたくないと心配するでしょうし、いない場合は、どうしたらよいかわからずにパニックになる親御さんもいらっしゃるでしょう。

 インターネットが一般化するまではどもりの情報は極端に少なかったのですが、最近はネットで簡単に調べられます。
調べてみると、実にいろいろな情報が出てきます。(インチキ情報が圧倒的に多いのですが・・・)
 インターネットが一般化する前(1990年代前半まで)に、苦労して民間の矯正所に通ったり、セルフヘルプグループに通っていたような一昔前の情報通ならば、現在、ネット上に氾濫している情報の中で、「どれがインチキか」はすぐわかると思いますが、
 「どもり」にはじめて触れる本人や親御さんにとっては、インチキ情報に振り回されて高額の「治療費?」を払うことになるかもしれません。これは、きちんとした公的な相談機関がないからにつきます。

 もしも、地域の保健所やかかりつけの小児科の紹介で、(どもりに精通した)臨床心理士、言語聴覚士などの相談が受けられるようなシステムになっていれば、少なくても、親がどうしたらよいかわからず右往左往することはないでしょう。
 こんな現状で頼りがちなのは、いい加減な「ご近所情報」です。なかには、針灸を紹介するご近所さんまでいるらしいです。

 こんな不確かな情報だけで日々だけが過ぎていきます。
だんだんと、「どもりは恥ずかしいもの」という意識が本人や家族のなかで形成されてきて、「自分の子供がどもっていることを隠したい」という、ある意味では自然な想いが、親御さんや本人の心のなかでできてきます。

○、言語聴覚士の地位の不安定さと吃音への取り組み方
 日本でも、10年ほど前にやっと国家資格となった言語聴覚士。でも、我々が日常に言語聴覚士に接することはまれですね。
自分や身内が問題に直面してみないと、こんな名前の専門家がいることすら知らない方が多いでしょう。

 求人レベルで考えてみても、求人自体が少なくて、非常勤か正規職員でも薄給の不安定な働き方になっているようです。(この原因については何回もここで考察しているので省きます。)
 そんな環境におかれながらも頑張っている言語聴覚士が、どもりの問題の深刻さを知り自分の職場で精力的に取り組もうとしても職場の環境が許してくれないでしょう。どもりは高価な薬を処方するわけでもないのに、治療相談に時間がかかり治療の効果もはっきりしないからですね。

 こんな問題を少しずつでも解決していきましょう。

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