吃音を持ちながら、こどもから思春期の時期までを乗り切ること(将来の仕事を見据えて)

 日常生活や学校生活においてはっきりとした支障が出るような重さのどもりを持っているこどもが、こどもの頃から思春期までをなんとか乗り切って成長し、生活に十分なお金が稼げる安定した職業に就けるような社会人になるにはどうしたら良いのでしょうか?
*、どもりなどの障害のない方でも安定した職業に就くことが難しい厳しい時代ではありますね。

 どうしてこんなことを書くかというと、学校を卒業後は、自分で生きていくために必要にして十分なお金を稼げないと、文字通り「生きていけないから」という、あたりまえでむずかしいことがあるからです。

 これから、①環境(家庭環境、学校の環境など)面、②どもりの症状自体をできるだけ軽くする、というふたつの観点から考えてみたいのですが、
 
 まず、前提として「QOL」ということばから考えてみます。

 QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは、字のまま読んでいただければわかる通り「生活の質」ということです。
 例えば、成人病にかかっていて、もはや医療的には手の施しようがない場合に、最後の時を迎えるにあったってできるだけ人間らしい最後を迎えることができるようにする「緩和ケア病棟」などという考え方、こんなときに使われることが多いですね。

 吃音にもQOLという考え方が当てはまるのでしょうか?
 これはかなり難しい問題です。なぜならば「どもりの重さ」の違いによって人生に与える影響が天と地ほど違うからです。また、年齢によっても、どもりをどのように位置づけて対処すればよいかも大きく異なります。

 今回はこどもから思春期までという範囲で考えていますから、将来を見据えた「仕事」を選ぶという観点からも考えなければなりません。

○、もしかしたら、「いまの考え方」に抜けているかもしれない観点。
「どもりはなかなか治らないもの・・」と一般的に言われているので、「どもりを持ちながらでもできるだけ人間らしく生きていこう」という考え方がありますが(私もよく書きますが)、本当にそれだけでよいのでしょうか?
*、この考え方自体、比較的軽いどもりの人とかなり重いどもりの場合では大きく違うと思います。

 人は、大人になれば仕事をして自分で生きていくためのお金を稼ぎます。
*、障害の種類や程度によっては公的な援助が必要であることは言うまでもなく、障害を持った方は遠慮することなくそれを受けられるようにすべきです。吃音の場合も、ある程度より重い場合は公的なサポートが受けられるようにすべきですが、そのような動きはありません。

 仕事には、主にデスクの上で書いたり計算したり電話したりする仕事、主に体を使って稼ぐ仕事など多種多様です。
 しかし、いまの日本では、最初の就職で、できるだけ大きく優良な企業に入れたりや公務員になれた場合とそうでない場合の賃金の格差は大変なものです。
*かつての日本(90年代初めくらいまで)では、一億総中流、と言われるほど比較的格差の少ない社会でした。

 現在では、最初の就職に失敗すると正社員になれない人生を歩むしかなくなるかもしれません。
 それでも、どもりなどの障害がなくて言葉を使う仕事でも体を使う仕事でも何でもそれなりに器用にこなせるような人ならば、何度か転職を繰り返すような生き方をしていても、本人の努力次第で正社員として生き抜いていくこともできるでしょうが、「ある程度以上の重いどもりで、かける電話もしどろもどろ」では、例えば、中小企業に正社員として就職して営業から現場まで器用にこなして会社をもり立てていく、つまり、自分の給料を増やすこと、は現実問題としてかなり難しいでしょう。
*、10年くらい前までと現在では仕事の状況が一変していることは現役の方ならば痛感していることと思います。

 いくら机上の理論で「QOL、生活の質」と言ったところで、生活していけるだけの金を稼げないと生きていけない。こういうシビアな観点が、いまの福祉的な考え方、に抜けているのではないかと心配します。
(援助する専門家の側にそういう経験がなく自分の生活がそれなりに保障されていればなかなか危機感は出ませんね)
 
 生きていくことは「仕事をして稼いで生きていく」ということですから、その稼いでいくことが十分にできなければQOLどころではありません。
 ですから、「子供の頃から始まったどもりを将来を心配してできれば早期に治してあげたいと思う親心」や、「仕事や学業に支障が少ないようにできるだけ軽くしたいとする吃音者本人の想い」は否定するどころか十分に尊重しなければなりません。それを否定してみても机上の空論にしかなりません。

 あるべき姿は、国としてどもりの重さを測る物差しを作り、どもることでうつ病になったり不登校になったり、学校を出ても仕事になかなか就けないような人に対しての公立のどもりのカウンセリング施設をつくり、ソーシャルワーカーなどを配置して、症状や家庭の経済状態に合わせて仕事の斡旋までも行なうようにすれば良いですね。

 次回には、①環境(家庭環境、学校の環境など)面、②どもりの症状自体をできるだけ軽くする面、という両面から考えていきます。

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