吃音者(児)とこころの歪み

 子供の頃より日常生活や学校生活に明らかに支障があるような「どもり」を持ったまま生きている場合には、こころが歪んでくることはよくあります。
 そして、それが、その後の長い人生に「結果として」暗い影を落としてしまうことが多いのです。

 それでも、まわりの環境が良い場合は、
つまり、家族はどもることに理解があり言葉の問題に過干渉せずに家庭内では安心してどもれるような場合や、学校においても、どもることによりいじめにあったり笑われたりすることが「少ない」場合(こんなことは現実には少ないでしょうが)、
 比較的、こころが歪むことなく素直に生きていけることが多いと思われます。

 現実には、家庭内では、どもるたびに親から「ゆっくりしゃべりなさい」「おちついてしゃべりなさい」と注意を受けるか、どもらないように言い直しをさせられる。
 学校では、同級生からからかわれたり陰に陽にいじめを受ける、場合によっては先生からもからかわれる(悪意はないとしても子供は傷つきます)、このようなケースの方がむしろ多いでしょう。
 世の中が不景気で人の気持ちがささくれ立っていますから余計かもしれません。

 このようなことが続いてくると、本人としてはなんとかがんばろうと努力していても、心の奥底(つまり深層心理)では根本的な「疲れ」が蓄積されていきます。蓄積が限度を超えれば心の病気として顕在化し大変なことになります。
(どこか、いまの日本においての、サラリーマンや先生のうつ病の問題と似ています。)

 あたりまえです。
 どもらない同級生はあたりまえのように授業中に本を読み、発表し、友達の家に電話をし・・そんな生活をしているのに、それらの「あたりまえ」のことをする前に、常に恐怖心や恥ずかしさを伴うのですから、そして肝心な言葉もなかなか出てこない・・・・・・
 背景には、どもりで困っている子供に対する公的なサービス(カウンセリング、治療)が貧弱であることがあるでしょう。
 これらのことが、どもりを持ったこどもに与える悪影響は、やはり、どもりが重いほど、まわりの環境が悪ければ悪いほど大きくなります。

 不景気で財政出動がなかなかできない時代に最小の出費でできる対策は、前回にも書いたように、
言葉の教室の現状を第三者が冷静な目で見直して問題点を整理し、「困っている子供本位の制度」に改めるという、あたりまえのことを実行することです。

*本当は、子供の頃(2歳~3歳くらいが多いようです)どもり始めたまさにそのときに、どもりについて熟知した言語病理学専門の医師・STのチームに相談できるような体制があれば、その時点でどもりを治すことができるのではないか考えます。(ブックリストに載せているマレー博士の「吃音の克服」で述べられています)
 しかし、少なくても、いまの日本ではそのような話はまさに絵空事。できることから進めていく必要があります。

 少しずつでも、どもりで小さな心を痛めるような子供が少なくなっていくように、できることから進めていく必要があります。

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