吃音にどのように対処して人生を良い方向に持って行くか

 どもりを持つ子供の場合は学校で、大人の場合は職場で、また、街なかでの買い物や電話などの言葉を発するあらゆる場所で「どもる」ことにより「はずかしい・みじめな思いをする」ことは、ある程度より重いどもりの方ならば誰でも経験していることでしょう。

 また、なにげない日常会話ではほとんどそれとわからないくらいの軽いどもりの方が、仕事中に人前や電話で自分の名前など特定の言葉を発する時になると今までが嘘のようにどもりまくることもよくあります。
「軽いどもりだから良いじゃないか」と思われるかもしれませんが、仕事をする上では大きなマイナスを背負っていることになります。
 なぜならば、仕事(特に営業系、事務系)は「トークが命」だからです。
 世の中のIT化とは関係なく、むしろそれ以上に「人対人の顔を突き合わせての交渉の重要性」がますます高まっている今日この頃だからです。

 家庭内や友達間の日常会話では目立たないような軽い吃音者でも、肝心の仕事上(会議、顧客との交渉、プレゼンテーション)ので大きくどもってしまっては、「生きていくことの危機(仕事ができなければ稼げないので生きていけなくなります)」に直結してしまうので大変な問題なのです。

 このような方に限って人知れず悩んでいて「自殺してしまいたい」などと考えていることがあるのですが、家族でさえ悩んでいるとは知らずに話を聞いて驚いてしまう方が多いのです。
 このようなことは、どもりを経験した方でないと理解できないことでしょう。

 一般の会社・職場で仕事をするということは、自分の名前や会社名・組織名を毎日何十回何百回と言う事でもあるわけで(当たり前ですがどもりを持つ人にとっては当たり前のことではないのです)、学生時代にはある程度「逃げること」ができたことが、社会人として顧客を相手にして「自分の会社の名前や商品名、ましてや自分の名前」を言わずに仕事を進めることはできません。

 就職すれば、企業が生き残っていくために「あまり買いたくない人」を相手にして、ある意味において無理してでも売るために(要するに営業職ですね)、言葉巧みにアピールすることが当たり前のように求められますから、どもりを持つ人にとっては毎日が地獄になり得るわけです。
(特に、実力ではできなくて知人の「コネ」で就職した場合などは自分を苦しめるだけになってしまうことが多いですね。)

 言葉のうえでは「どもってもいい」とか「どもったまま生きていこう」などと言うことはできますが、実際に責任と売り上げを背負って顧客と交渉をするときなどに破壊的などもりを繰り返していたら「仕事をする人間としては」話になりません。(人間性を問うているのではありません。あくまでも仕事をする人間としての話です)

 それ以上に、「本人の心」が持ちません。(こちらの方が心配です。)
うつ病などの心の病気になってしまうと回復には長い時間がかかることが多く、本人だけではなく家族の生活にも悪影響を与えてしまうことになりますので、「できないことはできない」と割り切って、「自分のいまの言語能力で生きていける職場(要するに実力で就職できるるところ)」を見つけることに全力を注いだ方が結果的に長続きすると思います。

 「そこまで言うのだったら、どもりを持つ人はこういう種類の(言葉を使うような)仕事には就かなければ良いじゃないか」ということになりますが、全くその通りなのです。
 ・・が、生きていくために(ある程度以上の給料をもらうためには)言葉を使う職場で働く必要があるので、いろいろな問題が出てくるわけです。(私の社会人駆け出しの頃がそうでした。)
 *、「物作り」で世界に冠たる経済大国を作り上げた日本ですが、いまでは同じようなものをアジアの他の国でも作れるようになってきています。日本の人件費を考えると単純な製品では国際競争力が全くないのがいまの日本です。(日本人の日給が他の国の月給などという例はいくらでもありますから対抗できません。)付加価値の高い仕事をするには、多くの場合、言葉による高度なコミュケーションを必要とします。

 かつての高度成長時やバブルの頃ならば、仕事のできない社員(言葉がスムーズに出ないで業務に大きな支障が出れば結局仕事にならないという意味で他意はありません)がひとりやふたりいたとしても雇っておくだけの余裕がありましたが、90年代以降のいわゆる「失われた十年」を経て、また追い打ちをかけるように起きたリーマンショックも相まって困窮をきわめている日本の企業では、社員個人に求められる仕事の質と量が過大となっており、また、ひとりの社員でできるだけ多くの職種をこなすことが求められますので(マルチタスク)厳しいです。

 いままでの話では、どもりを持ちながら生きている方は「お先真っ暗」で絶望しなければいけなくなりますね。
(実際、私も、80年代末の大卒後も就職できないでひきこもってしまったときには、自分をまったく価値のない存在と思い込み毎日のように死ぬことばかり考えていました。まさに絶望の世界ですね。その後約2年遅れで自分で職安に通い仕事を見つけて営業マンとして就職しましたが、このことは過去に書いています。)

 それでは、現実を踏まえたうえで、どのようにして自分の人生を良い方向に進めていけばよいかを考えてみます。

 どもりの仲間と会っている時やどもりの会合の時の一時的に高揚した感情ではなくて、普段、生きている「日常」のなかで、どうしたら吃音の不安に押しつぶされずに自分らしく生きていけるか。

 どもっていることにより就職できなかったり、どもることにより職を失いかねない状況において、できるだけ不安をなくしていく方法、安心して生きていく場所を確保するプラクティカルな方法があるのか?

 自分としては努力しているが、どもりを原因として就職できない状況が続くと、家族からは「サボっている」「本当は働けるのに甘えている」というように陰に陽に批判されてしまい、家庭などの普段いる場所にも居づらくなっている場合にはどうしたらよいのか?
 そして、そのような状況にある吃音者に援助をするアドバイザー・治療者は、どのようなアドバイスをすればよいのか?

 まずは「自分の立ち位置を知る」ことではないでしょうか?

 学校の授業中の発表や教科書を読まされるたびにどもってしまう。友達の家に電話するときに、どっもってしまうのが怖くてなかなか電話できない。
 専門学校や大学に通っていてそろそろ就職活動をしなければならないが、なかなか始められない、
または、始めてみたが、予想通り、またはそれ以上にどもって自信をすっかりとなくしてしまい、うつ病などの心の病気にかかってしまった。
 なんとか会社に勤めているが、いままでは言葉をほとんど使わなくて良い職場にいたのでなんとかなっていたが、最近、言葉をかなり使う部署に変わった。どうなるかと心配していたが、やはり大きくどもってしまい上司から厳重な注意を受けた。

 いくつか例を書きましたが、こんな感じ、またはそれ以上の、どもることによる「人生の危機」に遭遇しているときに、「いまの自分を正面から冷静に受け止めて」なんて、絶対に無理ですね。そこで・・・・・・

 「自分の心がパニックになっている」と感じたら緊急避難的に精神科医にかかりましょう。
精神科医にかかればどもりが治るということではありません。むしろ、医師の吃音に対する知識のなさにびっくりされると思います。
 そういうことを医者に期待するのではなくて、どもりを原因として心理的に追い詰められていることに対する緊急的な対処です。適切な薬(精神安定剤など)を処方してもらえます。
 医師に、どもることによりどのように心理的に追い詰められているのかを詳しく説明すれば、精神科医の立場からできる限りの援助をしてくれるでしょう。(口頭でうまく説明できないのならば文書にして持って行きましょう。)

 次に孤独から抜け出すことです。
 家族が大勢いるなかで生活していても「孤独」な場合もあるし、ひとりで生活していても親友や良き隣人がいる場合には孤独どころか幸せな場合もありますね。実に多様です。

 吃音で孤独になっている、自分のどもりの悩みをわかってくれる人がいない・・・ということでしたら、近くにあるセルフヘルプグループを探して参加してみましょう。
 もちろんグループの中にもいろいろな方がいるでしょうから、その中で気の合う仲間を見つけて深くつきあっていけばよいと思います。
 同じ吃音を持つ仲間と接していくうちに、自分の悩みのなかの「思い込み」の部分が見えてくるでしょうし、いままでのどもりで悩んできた人生を俯瞰できるようになってくると思います。

 例えば、自分より重いどもりなのに就職して働いている人もいれば、そうでない人もいる。家庭的に恵まれている人もいればそうでない人もいる。いろいろな例に触れていけば、自分が徐々に見えてきて、自分の立ち位置がだんだんとしっかりとしてきます。
 
 途中ですが、後日、続きを書きます。

 お元気で。

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