吃音学者イリノイ大学ヤイリ教授の講演会を聞いて

 先週、吃音の世界的権威といわれている(と書いてありました)、ヤイリ教授、Ehud Yairi(イリノイ大学Department of Speech and Hearing Scienceの名誉教授)の吃音に関する講演会を聞いて来ました。
「音声言語医学会」のHPにも公告が出ています。(本日、11月2日が最終回の講演らしいので数日すればHPからは消えてしまうかもしれません)
 吃音の研究もゆっくりであるが確実に進んでいるようで、驚いたのは、ここ数週間くらいのことですがという前置きのもとに、吃音が多く出ている家系の遺伝子を解析したら、吃音に関わる5つの染色体がわかったとのことで、また、吃音が自然治癒するか、慢性化するかについても遺伝的な違いがあり、今後の目標として遺伝子を調べて慢性化する子を特定し集中的に治療を行なうことを目標にするとのこと。
 そのほかにもいろいろありましたが、講演のなかでもビデオで吃音者を治療する様子が流されました。
 今回の講演を聞くまでもなく、いつも私が紹介する「吃音の克服」という訳本を読めば、アメリカでは20世紀の前半からかなり大規模に吃音研究がなされてきて、吃音を治療するためのさまざまな技法が考え出されては否定されたりの変遷を経ているのはご承知のことと思います。
 その、かつて行なわれて今は??と思っていた方法が今でも試みられていることを知り少し戸惑ったりもしました。
 今回の講演会を聞いて、結論から言えば、吃音を治す薬が出来たわけでも外科的な手術が開発されたわけでもありませんが、少なくとも日本よりははるかにシステマチックに直接吃音を治療するということが大学で試みられているということに今更ながら感銘を受けました。
 アメリカでは国のお金がかなり出て研究されているようです。
 
 具体的な治療法(大人の吃音者)は、やっぱりなというか、私の感じでは行動療法的なものに思えました、
 
 ひと昔以上前の日本の民間の吃音矯正所、それは矯正所の先生が行なった療法の意義というよりも、そこで多くの吃音仲間に出会えて、その矯正所の外で、お互いに電話を掛け合って練習をしたり、皆で町に出て町行く人に道を聞く練習をしたり、そんなことがありましたが、そんなことの洗練された姿を今回のヤイリ教授の治療のビデオの中に見た気がします。

 なお、ヤイリ教授のことは、イリノイ大学(University of Illinois at Urbana-Champaign Department of Speech and Hearing Science)のホームページを検索すれば、詳しく出ています。

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